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燃える志。心に火を灯すヒューマンキャピタリストの一歩が人生を変える挑戦へ導く。

接するだけで元気をもらえたり、やる気が出たりするような人を「太陽みたいだ」と喩えることがある。フォースタートアップスのマネージャー シニアヒューマンキャピタリスト・前田 敦也には、この言葉がよく似合う。


「まずは、ちょっと元気がないようなら、その人の『本当に元気な時』を思い出してもらえるようにします。意思決定の参考になるよう様々な情報をお渡しして、ご自身が持つ良さを引き出せるように会話を重ね、伴走していきます。私が挑戦を後押しするという点で常に意識しているのは、志に火をつける、ということですね。」


高校生時代にプロを目指すほどのめり込み、人生観に大きな影響を与えてくれたのが、ダンスだった。そう、前田の心身には、ヒップホップから学んだメンタリティが根付いている。「ヒップホップって最高なんですよ!」と、一点の曇もない声で発せられた言葉には太陽のような存在感が滲み出ていた。


「今の仕事にも活かせる要素が全部詰まっているんです。ヒップホップには不良みたいなイメージがあるかもしれませんが、実は、起源を遡ると、平和、結束、愛、そして誰もが楽しむということの実現を目的としているハートフルなものなのです。“HipHop is you.”という考えがあり、やりたいことがあったなら、それに達するためには何を磨き、自分をいかに表現するのか、そこへ自分自身は何が出来るのか。だからこそ、私たちは内省も練習もしないといけない。」


前田にとってその価値観は、フォースタートアップスのVALUEのひとつである「Be a Talent(スタートアップスの最たる友人であり、パートナーであり、自らも最たる挑戦者たち。そして、自らの生き様を社会に発信せよ。)」にも重なると言う。


ヒップホップの世界でいう西海岸のMCが、自身や周囲の過酷な状況から創作し、発信して世界を変えようとするように、前田は前田自身の経験や心情を伝播させ、スタートアップへ挑戦する人を増やし、さらに世界へ広げることを目指している。


フォースタートアップスでは入社早々に大きな成果を挙げ、現在はマネージャーとして自らのチームも持つようになった。順風満帆のように見える彼の人生には、ここまでの道のりには怪我で夢を諦めた挫折も、自らもスタートアップ経営に携わって燃え尽きた苦心もあったからだと振り返る。


「全てが自分の成長のためになると思ってきたんです。」


【プロフィール】

前田 敦也 Atsuya Maeda
フォースタートアップス株式会社 タレントエージェンシー本部 
マネージャー シニアヒューマンキャピタリスト
天理大学を卒業後、東証プライム上場ITベンチャーにてプロダクトマーケティングに従事。その後慶應義塾大学発スタートアップの創業メンバー/マーケティング責任者として、累計10億円の資金調達や事業成長を経験。スタートアップで働く中、成長産業におけるHRの重要性を痛感し、2022年8月よりフォースタートアップスにジョイン。ヒューマンキャピタリストとして、インターネット産業を中心としたハイレイヤー支援や、TOEIC990点の英語力を活かしたグローバル支援を行う。


「守破離 × 質量転化」の法則で引き寄せた、入社早々の成果

前田は自分自身の強みを明確に理解している。特に「内省できること」「どんな状況でも感謝して喜べること」「泥臭く挑戦し続けられること」という点を強調する。これらの特性は、彼のキャリアを通じて一貫して自身を支え、導いてきた。


2022年8月、フォースタートアップスへ入社した前田は、自身が担当する企業へのCxO人材支援や、グローバル人材の支援など、ハイレイヤー向けの支援でも頭角を表した。入社から1年経たずにして、全社受注ランキングで2位となる成果を発揮。併せて、ハイクラス転職サービス「doda X」を運営するパーソルキャリア株式会社が主催する「HeadHunter of the Year by doda X 2023」で、「IT・インターネット(広告・メディア)部門 MVP」と、「エグゼクティブ支援人数部門 第3位」を受賞するなど、才能を開花させていった。


そのアプローチは、自社内の同じグループに所属したトップセールスパーソンの会話をシャドーイングするように覚え込み、知識も広範囲でインプットしていくというものであった。さらに、他のメンバーが持つ強みと自分を比較し、足りていないと思えば貪欲に取り入れる。そしてひたすらに行動量の増加と改善を繰り返して量化から質に転換していくものだ。まさに「守破離」と「質量転化」の法則に基づいているアプローチで成果に繋げていった。


「私が得意とするマーケティング領域でも同様ですが、定量的な成功事例がすでにあれば、まずは完全に模倣することから始めます。その後に独自のアプローチを取り入れて、数をこなすのと改善を重ねて、自身のスタイルを作り上げていくんです。たとえば、トップパフォーマンスとは何か、といった定義を論理的に固められたら、自分なりに到達方法を考えて、フレーム化します。」


これまでスタートアップの採用支援に身を置いたことはなかったが、前田は自らの経験を基に吸収し、一気にステップアップを果たした。自身よりも圧倒的にビジネス経験が豊富な経営者達に会い、自らの仮説をぶつけて背中を押すという支援スタイルに確信を持ち、スタートアップへの採用支援に使命感が芽生えた。


しかし、過去の話から振り返って聞いてみると、このように考えられるようになるまでの紆余曲折が彼を強くしていったことがわかった。


人を喜ばせることに”尽くす”、という成功体験

今でこそ柔和に、それで頼もしく話す前田だが、もともとは「繊細な性格で人の顔色をうかがうタイプ」だったそうだ。転機は高校時代に訪れる。入ったダンス部で、自己の価値観を形成する重要な体験があった。ダンスを通じて「人を喜ばせること」の素晴らしさを知り、「挑戦すれば何者にでもなれる」という確信を持ったことで、人生観が大きく変わった。


前田が門を叩いたダンス部は、日本ヒップホップダンスシーンのパイオニアといわれるダンサーが創設した全国大会常連の強豪チームであった。そのダンス部のパーパスが「ダンスを通じて人を喜ばせる」だった。飲み込みが早い方だったので、当初はダンススキルの面では周囲に認められる機会も多かったのだが、ある時、先生から「自分よがりな心で踊るダンスはイケてない」と厳しい指摘を受けたのだ。直後、約1年半にわたって、前田はステージに立つメンバーに選ばれない苦しい時期が続いた。


「状況を打破したく、先生からのアドバイスもあり、『心を変える』という挑戦を始めました。『ダンスを通じて人を喜ばせる』という部の目的に沿って自身の心のあり方を見直し、多くの方々に支えて頂きながら日々改善を重ねた結果、徐々に心のベクトルが自分自身だけでなく、外側へと向いていくようになっていきました。高校3年生の夏に、高校生活最後のステージとなる、ダンス部が最も重視するダンスイベントがありました。練習期間中に自然と後輩への指導や周囲のサポートに努めている自分がいました。それは、私自身が踊れる機会を得ることよりも、とにかくダンス部として良いステージを作って、見てくれるお客さんに喜んでもらいたいと考えていたからこそだったのだと振り返って思います。『圧倒的にかっこ良くなった』と最後のステージに立つメンバーに選ばれ、先生から告げられた言葉に胸熱くなったのを覚えています。モチベーションの源泉を、『人を喜ばせること』に置くことで、自らのパフォーマンスが大きく上昇する。何より、自分を変えることができるのだという成功体験により、自信も得ることができました。」


大学進学後もプロダンサーを目指した。しかし、膝の怪我によって夢は断念せざるを得なくなる。しかし、その挫折もポジティブに捉え、「自分を強くする機会」として捉えることができたのだ。明らかに、前田のマインドは大きく変わっていった。


ダンスという共通の言語を用いて、次のチャレンジのフィールドとして選んだのが英語の習得であった。海外のダンサーとも、言葉を経ずに通じ合うことに感動を覚えた経験があること、また5人兄弟の長男としての責任感から、前田はダンスへ向けていた情熱を全て英語学習に注いだ。アルバイトを3つ掛け持ちしながら勉強に打ち込み、TOEICのスコアは3ヶ月で300点から850点へ大幅に向上。結果、満点の990点を取得した。その後もチャレンジは続いていく。「もっと実世界で通用する人間になりたい」と考え、習得した英語を活かし、官民共催の留学奨学金制度「トビタテ留学JAPAN!」に応募し、アメリカの著名なビジネススクールへの留学を経験した。


現地では起業家クラブに所属し、VCや起業家との交流からテクノロジーやスタートアップの可能性に感銘を受ける。またドナルド・トランプが大統領となった選挙もリアルタイムで体感し、多様な価値観に触れたことは大きな刺激となっているという。帰国後、起業を見据えて大阪のネットベンチャーでデジタルマーケティングの長期インターンシップを始める。インターン生ながら売上数千万円規模の事業を立ち上げたり、社長とシリコンバレーに同行するなどの経験をさせてもらったという。学んだことを活かし起業する道もあったが、さらなる挑戦の機会を求めて東京へと移った。


『こんな会社が存在するなんてありえない!』と思った

東京ではHR領域や不動産領域に携わる上場企業に入社。日々、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングを叩き込まれていった。その後、幼馴染からの誘いがあり、大学生向けのサービスを起業。マーケティング戦略から、アプリ、SNS、コンテンツなどのデジタルマーケティングのなどの領域を管轄し、資金調達をチームで行った経験は成長をもたらした。同時に、現実と実力を思い知る経験にもなったと語る。


そして、新たな挑戦を模索し外資系企業への転職を視野に入れていた時、友人から一蹴された言葉で目覚めたという。「敦也らしくない、面白くない。」続けて、「いつでも最高に挑戦できる環境でなくていいの?」と投げかけられた言葉が前田の弱気になっていた心にとどめを刺した。心から元気ならこの意思決定をしていたか。答えは「NO」だった。この気づきを与えた存在が、フォースタートアップスの竹内 哲也であった。高校時代のダンス部の先輩、社会人になっていても定期的に会う仲であったからこそ、真摯に投げかけられた純粋な言葉は心を突き動かすものとなったのだろう。


そして、動き出す。竹内に誘われ、フォースタートアップス取締役陣と会話する機会があった。取締役・清水 和彦との会話を通じて、ミッション、ビジョン、バリューに強い共感を覚え、常務取締役の恒田 有希子との会話から、こんなにも本気で挑戦している人たちがいることを知り、”希望”を感じる衝撃を受けたと言う。この出会いが前田自身の信条である「人のために挑戦し、自分を変える」を改めて固め直すきっかけとなった。また、フォースタートアップスという環境が、それを実現するために最適な場所であると確信を持ったという。


「フォースタートアップスのミッション、ビジョン、バリューは全力で共感できるもので、それらを形骸化させず、本気で追求し続けている挑戦者でした。また、政府の定める『スタートアップ育成5か年計画』は事業ドメインのど真ん中。流れが来ていると感じました。前職でもVCによるバリューアップが重要だと体感していたこともあり、「人材」と「資金」を質・量ともに提供する、ハイブリッドキャピタルという戦略も美しく、感覚的にも論理的にも『伸びる!』と信じることができました。『こんな会社が存在するなんてありえない!』という衝撃と同時に入社を決めていました。」


せっかくなら、メジャーリーグで戦いたい

フォースタートアップスに入社後、得意領域でもあった通信・サービス業界をメインにスタートアップの採用支援を次々と進めていった。留学など海外経験もあったことから、国内スタートアップ企業のグローバル進出支援や採用支援、「成長産業カンファレンス 2023」などのカンファレンスや、Notion米国本社COOやCTOを招いた自社イベントでの通訳など、特技の英語を活かしたサポートも積極的に取り組んでいる。 


これまで取り組んできたヒューマンキャピタリストの仕事の中で、特にやりがいを感じたのは、自らが担当するスタートアップへの経営人材の支援だ。マーケターとしてのスキルを活かして行った、デジタル広告施策からコネクションを自ら構築。とある有名企業の上級職を務めていた方と半年間の対話を続け、スタートアップへの挑戦を後押しした。結果としてCXO候補で入社が決まった。この一連の経験は、ハイレイヤー人材の考え方や価値観を深く理解する機会となっただけでなく、支援先企業からも高い評価を得ることとなり、自らが果たしたかった「志に火をつけて挑戦を後押しする」を体感することができ、自信に繋がっている。


「自分を俯瞰して見て、心の底から『その人のために』と思い行動できているかどうかを問うようにしています。顧客や社会のためにという、私達の大前提を間違えずに、戦略や戦術を考えることを心がける。利己的な心で臨めばそれはクライアントに見抜かれてしまい良い関係構築に繋がらないことはこれまでの経験からも明確に感じていること。だからこそ、利他的な心構えをいかに持つための意味付けが、仕事を進めていく上でとても重要だと考えています。それさえあれば、フォースタートアップスの事業モデルなら自然と成果に繋がる。まだまだできていないことだらけなので日々精進ですが。」


現在はマネージャーとして自らのチームを持ち、事業部の一角を牽引する立場となった。前田が持つチームに対するビジョンは「志に火をつけて、繋げていく組織」。自身のチームやメンバーにはもちろんのこと、候補者の志にも火をつけることで、勇気を持って挑戦するよう促す。そして「(共に)進化の中心へ」という会社のミッションに沿って、フォースタートアップスに日本の進化を担う熱い志を持った人が集い、繋がり合い、世界を変えていくことを目指していく。また、前田はさらに視野を広げ、日本からグローバルへ進出するスタートアップを増やし、新たなステージで挑戦することも重要な目標としている。「より大きなステージで挑戦したい。せっかくなら、”メジャーリーグ”で戦いたい、という気持ちもありますから」と前田は目を輝かせる。


「いまの日本にはまだまだ成功体験が足りない」と話す。世界で勝ったのだという成功体験が一つでも増えることで、次に続く日本人を増やすのが前田の思いだ。そのために、まず自らが成長を続け、確固たる強さを手に入れ、スタートアップや候補者に示唆を与える存在にならなくてはならない、と飽くなき意欲を燃やす。スタートアップ内外にその熱気が伝わった時、前田自身はもちろん、きっと日本の起業家を取り巻くエコシステムは大きく変わっているだろう。


最後に余談だが、ヒップホップ好きの前田にお気に入りの曲を聞いてみた。10年前にダンス部でステージに立てなくてつらい時も、アルバイトを3つ掛け持ちしながら必死に英語を勉強していたときも、スタートアップで四苦八苦していたときも、挑戦している時にはいつも聴いていたとい曲を教えてくれた。「EVISBEATSの『ゆれる feat. 田我流』」にある「そんな時ほど心に太陽を/なるようになるさと言い切れる勇気を」というリリック。これを聞くと自然と肩の力が抜けて曇った心が晴れるという。やはり、彼は太陽のような人だった。

(取材・文/長谷川 賢人)

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