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こんな場所が欲しかった!障害の有無に関わらず家族で遊べる「インクルーシブひろば ベル」の全貌をお見せします

障害児保育・支援事業のあゆみ、ベルの誕生まで

医療的ケア児という言葉を聞いたことはありますか?

「医療的ケア児」とは、胃ろうやたんの吸引、人工呼吸器といった医療的ケアの必要な子どものことです。周産期医療の発達により、多くの小さな命が助かるようになった一方で医療的ケア児はこの10年で急増し、現在、国内に20,000人以上いるといわれていますが、預け先が極端に少なく、家族が孤立しがちです

2014年に、日本で初めてとなる障害児・医療的ケア児を専門に長時間お預かりする「障害児保育園ヘレン」を立ち上げたのも、そんな社会課題の解のひとつでした。

その後、フローレンスは、医療的ケア児や障害児家庭向けの訪問保育やシッターサービスを手がけ、2021年9月には一度離職した医療的ケア児保護者の「もう一度はたらきたい」を叶える 『障害児かぞく「はたらく」プロジェクト』も開始しました。

インクルーシブひろば ベルが目指すのは、すべての子どもがわくわくするような遊びの場

今回ご紹介する「インクルーシブひろば ベル」は、フローレンスが品川区の医療的ケア児地域生活支援促進事業として委託を受けて2021年に開所した施設です。

2021年4月にオンライン相談を開始、同7月に交流スペースを一般開放しました。現在は、午前枠・午後枠、各3組ずつの予約制で、品川区以外にお住まいでも無料で利用できます。

「インクルーシブひろば ベル」が目指すのは、「障害の有無に関わらず、すべての子どもがわくわくするような遊びの場」。お子さんの育ちに寄り添い、親御さんが育児や療育に関する相談ができるよう、保育士・看護師がいる全国でもめずらしい遊び場で、利用された医療的ケア児やそのご家族にご好評いただいています。

ある医療的ケア児の親御さんは、退院後の生活について「心から楽しみにしていた在宅生活でしたが、病院とは違って周囲は医療的ケア児を見たこともない人ばかり。急にマイノリティになったように感じ、家に子どもと二人、取り残されたような気持ちになっていました。公園や児童館に娘を連れていくのも周囲の注目を集めるかなとためらい、気にせずに行けるようになるまで時間がかかりました」と話してくださいました。

「インクルーシブひろば ベルが、親御さんの心のオアシスでありたい、医療的ケアのあるお子さんにのびのびと遊んでほしい」

それは、長年に渡り医療的ケア児とその家族の支援拡充に取り組んできたフローレンスの心からの願いでもあります。

インクルーシブひろば ベルの全貌をご紹介!

ここからは、インクルーシブひろば ベルの特徴を中心にその全貌をご紹介します!


特徴その1:障害や医療的ケアの有無に関わらずお子さんとご家族が遊びやすい環境

施設内は、障害があったり、医療的ケアが必要なお子さんとそのご家族が過ごしやすいように様々な配慮がされています。なによりベルには看護師がいるので、専門的な観点から運営や保育・看護環境が整えられているので安心です!

◯ 全面バリアフリー

◯ 交流スペース内に水道・電源の設備

◯ 様々な座位保持椅子を完備

◯ 経鼻経管栄養・胃ろうの栄養ボトルがセッティングできる設備

◯ 色々な感覚を楽しめるおもちゃ

◯ リラックスしながら音や光などの刺激を楽しめるスヌーズレンの部屋


自分で姿勢を保てないお子さんのための座位保持椅子

特徴その2:障害児や医療的ケア児のきょうだいも一緒に楽しめる

医療的ケアが必要だったり障害のあるお子さんを持つ親御さんの悩みとして、ひと目が気になったり、安全を確保しながら遊ばせることができるか不安なため、障害児ときょうだいを一緒に連れて遊びに行ける場所がないとよく耳にします。

ベルは1回の予約が3組限定と少人数制で、専門性の高いスタッフがいるので、ひと目を気にせずきょうだいと一緒に遊べるのも最大の魅力です。また、保育士がいるので遊びを教えてもらったり、親御さんがちょっとした悩みを話したりもできます。

◯ きょうだいのお子さんものびのび遊べるスペースにはおもちゃや絵本がいっぱい

◯ お家から持ってきたおやつやお弁当を食べられる部屋には、電子レンジや冷蔵庫を完備。

◯ 子ども用トイレもあるので、小さなお子さんも安心。

◯ 保育士さんが、楽しい遊びを教えてくれます。簡単なおもちゃづくりの企画なども!


特徴その3:スヌーズレンのお部屋がある

スヌーズレンって? 百聞は一見にしかず、です。まずは、こちらをご覧ください。


いかがですか?見るだけでも癒やされますね。

スヌーズレンとは、心身ともにリラックスできる環境に身を置くことで、障害の有無にかかわらずお子さんと親御さんの最も自然で本能的な感覚を呼び起こす活動を指します。

「インクルーシブひろば ベル」では、障害のあるお子さんがリラックスして周囲の音や光などの刺激に気づいたり、受け入れたり、探索したりしやすいように環境を整備しています。

特徴その4:お悩みは、相談ルーム『しゃベルの部屋』(予約制)へ

育児の悩みは尽きないもの。誰かに相談したいな、というときは、「しゃベルの部屋」が利用できます。医療的ケア児コーディネーター、看護師、保育士、児童指導員などの資格を持つスタッフに育児や福祉制度について気軽に話せる相談ルームです。雑談だけでも大歓迎とのことですので、「しばらく大人と会話してなくて、気持ちが沈みがち」といった育児あるあるのお悩みを抱えてる方にもオススメです。

特徴その5:頼りになる!インクルーシブひろば ベルのスタッフ


インクルーシブひろば ベルの施設長の森下は、「障害児保育園ヘレン」の立ち上げに関わり、その後も医療的ケア児とその家族の支援拡充に尽力し続けています。

「医療的ケアの必要な子どもたちが、自分に医療的ケアが必要であることを忘れてしまうような世の中、医療的ケアが必要でも、あたりまえに保育園に行ける、あたりまえに小学校に通える、あたりまえに就職できる社会にしたい」と語る森下の、インクルーシブひろば ベルへの思いをご紹介します。

施設長:森下倫朗

インクルーシブひろば ベルは、障害のあるお子さんも医療的ケアの必要なお子さんも、健常のお子さんも、みんなが自由にのびのびと遊べる児童館です。

普段、家の中で子どもとずっと2人きりでいる親御さんが「ここに来てすごくリラックスできた」、「普段、誰にも話せないことが、ここだと話せる」と言ってくださることが多くて、この場所を訪れた親御さんにとっての”心のオアシス” ”ちょっと一息つける場所”になっていると実感しています。

残念ながら、まだコロナ禍ということもあって連日多くの方に利用していただける状況にはなっていません。まずはこの施設の特徴である、医療的ケア児にとっても安全な場所であること、看護師がいること、保育士がいることをより多くの方に知ってもらって、「そうだ、ベルに行ってみよう!」「ベルで遊びたいな」と思ったら気軽に来ていただきたいですし、親御さん自身も「ちょっとゆっくりしたいな」と、心が少し窮屈になったときなどに、ここでのんびりとゆったりと過ごしてほしいなと思っています。

インクルーシブひろば ベルに行ってみよう!

インクルーシブひろば ベルの紹介、お楽しみいただけましたでしょうか?

遊びに行きたいな!興味あるな、と思ったら、ぜひ利用者登録を!皆さんのお越しをお待ちしています!

利用者登録をする

利用登録・予約方法について、詳しくは公式サイトをご覧ください


医療的ケア児家庭支援事業から政策提言まで、寄付を原資に運営

医療的ケアを必要とするお子さんを育てるご苦労は計り知れないものです。

医療的ケアを必要とするお子さんは生まれてすぐ自宅に帰ることは少なく、病院のNICUなどに長い間入院します。

親御さんはお子さんに面会するために病院に通い、お子さんが退院してからは24時間付ききりのケアを行います。しかしながら、今の日本では十分な支援の制度がなく、多くの場合、親御さんのどちらかが仕事やその後のキャリアを諦めなければならない状況にあります

医療的ケア児とその家族に支援を届けたい。その思いから、2014年、フローレンスは日本で初めてとなる障害児・医療的ケア児を専門に長時間お預かりする「障害児保育園ヘレン」を開園しました。

その後、ヘレンに視察に訪れた医療的ケア児に関心の高い議員をはじめとした、当事者・支援団体などの関係者とともに支援拡充を国に訴えつづけた結果、6年ごしの活動が実り、ついに2021年9月に「医療的ケア児支援法(医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律)」が施行されました。

この法律により、支援が広がることが期待されていますが、まだまだ十分ではありません。

フローレンスがこれまで立ち上げてきた障害児保育園ヘレンや障害児訪問保育アニーのように新しい事業モデルの開発や、政策提言・啓発活動には初期投資や多くの費用が必要となります。フローレンスのチャレンジを支えてくださっているのが、支援企業、財団、多くの個人寄付者の方々からのご支援です。

フローレンスは、これからも親子の「あたらしいあたりまえ」をつくるために、新規事業への挑戦や政策提言活動に注力してまいります。

ぜひ、引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

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