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地方設備工事会社のDXな話(その7:非IT人材によるRPA構築実例)

「だれでも簡単自動化、RPAは魔法の杖」・・・?

導入前、よくRPAのベンダーさんから「○○社さんは自社の非IT社員がすぐにRPA触って、すでに○○台のロボットが動いてますよ!」的なお話を伺っていました。
私自身、前職含めて5種類のRPAツール(Automation Anywhere、BizRobo!、UIPath、WinActor、マクロマン)を触っていますが、正直「ちょっと言いすぎかな?」と思っていました。

マクロ的に動作を記録して動かすくらいなら出来るかもですが、作っていくうちに
「条件分岐しないと無理」とか、
「ループさせないと網羅できない」とか
「ファイル保存するときにファイル名に日付を入れたい」とかやると、
これはVBAくらいは出来ないと難しいんじゃないか?と思っていますし、今のところ実際そうだと思っています。基礎知識なしでいきなり出来るかというと、そこまでではない・・・かな・・・。

UIPathは割とフレンドリーな感じだったのである程度は出来るかもしれませんが、当社は機能面評価でAutomationAnywhereを選定していて、UIPathに比べたら幾分敷居が高いと思います。少なくとも当社ではIFとかLOOPとかの意味も知らずにRPAを構築できるか?と訊かれたら「難しい」と答えます。
最近そういう記事も増えていますね。

結論、「基礎的なプログラミング知識を習得できれば非IT社員でも対応可能」です

逆に、変数の扱いや条件分岐といった「プログラミングの基礎の基礎」を習得しさえすれば、もしくはRPA作りながら覚えれば、非ITの社員でも十分に構築は可能だとも思っています。実際に当社では可能でした。1か月程度、就業時間の半分程度を構築を兼ねた学習に充てたところ、2台のロボットをリリースできるところまで習得できました。現在は若干処理の複雑な案件にも着手しています。
本人にインタビューしましたので、ご参考にしていただけると幸いです。
AutomationAnywhereに関しては、ディーコープさんのテクニカルサポートを受けています。



当社の「非IT社員&RPA開発者」の弁

〇以前はどんなお仕事をされていたのですか?
「道内の流通会社で受発注や仕入れを担当していました。」

〇RPAを使ってどのようなことをしているのですか?
「人の手で行う必要のない作業や、毎日行っている作業を自動化させるためRPAを作成しています。 数分でも日々積み重なれば相当な時間になるのが前職(事務)の経験で分かっていました。その無駄な時間を削減、他の作業や頭を使う業務、人がやるべき業務に充てるためにも極力無駄を削減し自動化を進めていきたいと思っています。」

〇RPAはもとより、初めてシステムの構築業務を経験したわけですが、何か困ったことは起きましたか?
「非ITの人間なので、最初はどこから手を付けたらいいのか状態でした。検索しても聞きなれない用語もあり、まずは用語の意味からいうこともあり時間が掛かります。明確な答えはなく、似たような事例等を自分で調べトライアンドエラーの繰り返しでした。どこまで調べていいのか、調べすぎて抜け出せなくなる事もありましたし、こういうものを作りたい!とイメージはできるが形にする流れのイメージができない点も困りました。できないというより、作って問題が見つかり作り直して…の繰り返しになり効率の悪い自分に苛立ちを覚える・・・みたいなストレスはありましたね(笑)」

〇実際にロボット(Bot)が出来上がった感想はいかがですか?
「初めて自分で作ったものが思った通りに動いたことは、単純に嬉しいです!」
「時間をかけて作っていた分愛着も湧いてるんだと思います。たった数分で終わる作業であったとしても、やらなくていいとなると対応していた人からすると楽になるはずなので、少しでも誰かの役に立てているのであればこんなに嬉しいことはない、と思っています。」

〇これからRPAを使ってどういう取り組みをしてみたいですか?
「本人が無駄と気づいていないような小さな処理、作業もまだまだあると思っています。大きくシステムを変える、アプリを作る等は私には難しいですが、RPAだとすぐに作成でき、業務が楽になったと感じてもらいやすいはずです。今は作成時間はかかってますが…。まずは業務の流れを把握することからですが、いろんな人の話を聞き、非ITの人間だからこそ、現場に寄り添って一緒に業務改善していけたらと思っています!」

今後

割とほったらかしにしてしまったのが反省点ですが(笑)、感じたことのないストレスは感じるにしても、ゴールを明確にしさえすれば何とかなりそう・・・というのが今のところです。

当社に限らず、ITに触れてこなかった社員がRPAやローコードで開発を行うこと自体、今後一般化していくものだと思います。

ただ、誰でも彼でも作って良いよ、はリスクが大きいかな・・・と。
仕事でやっている以上、セキュリティやシャドーITに対するガバナンスは考慮しなくてはいけないと思っていますし、その管理がIT部門のメインタスクになるのもちょっと違う。そもそも非ITの社員が開発に回るのは「業務に精通している」などの優位点が無いと、ただの人員補填とか、外部に対する目くらましにしかならない。人選も重要ですね。
当社でもまだまだ試行錯誤の連続ですが、引き続き可能性を探っていきます。

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