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信頼は分析で作る。DeNAヘルスケアを支えるデータアナリストたち

(この記事は DeNAヘルスケア事業本部サイトからの転載です)

2019年6月、メットライフ生命とDeNA子会社であるDeSCヘルスケアは、「ヘルスケア型保険(※1)」を共同開発。

従業員の歩数に応じ配当金額が変動する商品をリリースし、団体保険分野においては業界初となる新たな風を巻き起こしました。

この商品の開発に大きく貢献しているのが、ヘルスケアデータの分析などを担当するデータソリューショングループの3人です。

2019年上期にはDeNA全事業部の中から社長賞をチームで受賞。さらには、「第28回日本健康教育学会学術大会」で学会賞を受賞するといった成果をおさめたメンバーに、DeNAヘルスケアならではの保有データの強みや、ここだからこそ感じる仕事の喜びについて語っていただきました。

※1 DeNAが取り組むヘルスケア型保険については、『フルスイング』の記事をご覧ください。

分析設計から、商品開発まで。ヘルスケア事業全体を通してお客様に貢献

▲左から、中野 憲(なかの けん)、松島 龍司(まつしま りゅうじ)、谷 芳明(たに よしあき)。


——まずは皆さんの業務内容を教えてください。

中野 憲(以下、中野) 僕はこれまで、DeNAのさまざまな事業部で、データ分析を通して意思決定支援・オペレーション改善・分析環境構築の実施などをしてきました。

ヘルスケア事業には2017年4月にジョインし、InsurTech領域を担うデータソリューション部に入りました。当初分析担当は1人だったんですが、今は二人のメンバーを迎え、僕はマネージャーとしてチームを支えたり、自らも手を動かしています。

松島 龍司(以下、松島) 僕はもともとエンジニアだったのですが、データ分析の実務経験を積みたいという思いから、2018年2月にシェイクハンズという人事制度(※2)を利用してヘルスケア事業本部に異動しました。異動後、データ分析を行うための基盤構築や、分析スクリプトを再利用化するための仕組みづくりなどを行ってまいりました。このような基盤作りだけでなく、分析結果を健康保険組合に提供しながら、サービス開発の改善の後押しをしています。

谷 芳明(以下、谷) 私は、前々職で保険会社に勤めていました。今はKenCoM(※3)サービスに関する分析を行ったり、営業担当者と一緒に保険会社に商品開発の提案をしたりしています。保険会社の方と共同で商品企画をする業務は大切な仕事の1つですね。

※2 シェイクハンズ制度について『HR NOTE』に取材いただきました(2018.10.18)。

※3KenCoMとは健康保険組合・健診機関向けのヘルスケアエンターテインメントアプリで、「楽しみながら、健康に。」をテーマとしています。登録ユーザーの健康診断のデータを記録することで、一人ひとりにマッチしたコラム記事を配信したり、運動につながるイベントを催したりと、健康増進に貢献することを目指しています。


——データソリューショングループでの具体的な業務を教えてください。

中野:業務の流れをお伝えすると、まずはデータを分析する目的を決めて、仮説を立てます。

たとえば目的として「KenCoMを利用することで生活習慣病のリスクが低減しているかを明らかにする」と設定します。その後、「KenCoMを利用すると、歩活(※4)と歩数記録機能により日々の歩数が増え、それによりリスクが下がるのでは」といった仮説を設定します。そうして、その仮説を検証するために見るべきデータを設計し、実際に分析していきます。

手を動かして分析をする前に、なんのために、どのようにデータを見ていくか、ということを設計することが大切なんです。

※4「みんなで歩活(あるかつ)」のこと。「KenCoM」サービスの中で開催されるチーム対抗型のウォーキングイベントです。



——分析だけでなく、データを役立てるための設計の部分から担当しているんですね。

松島 そうです。目的と仮説を作った後は、確かな分析結果を出すために、データを分析可能な形式に変換・加工を実施します。

——「データを分析可能な形式に変換・加工」というと?

松島 データは複数の健康保険組合からいただくのですが、KenCoMのサービス利用データと健康診断結果、レセプトデータを、個人単位で紐付ける必要があります。また、健保によってはデータ量が膨大なので、処理を並列化させて、データ加工処理のパフォーマンスを上げる工夫も行っております。

分析するデータは個人が特定できない状態にする必要があり、匿名加工処理を施します。ここまで行って初めてデータ分析業務に入ることができます。

匿名加工についても、法令、関連するガイドライン等の遵守を前提として、自社独自の基準を付加して匿名性を高く保つようにするなどして、セキュリティ上も信頼性のあるデータに基づいたエビデンス構築に努めています。



——匿名加工後のデータはどのように分析していますか?

松島 たとえば、「保険加入者の健康改善効果とKenCoMへの登録を検証する分析」の場合、登録者群と未登録者群の健康改善を見ていくわけですが、登録者群と未登録者群では状態が異なる可能性があります。

仮に、KenCoM登録者のほうが男性比率や平均年齢が高い場合、単純に集計して比較すると、効果を見誤ることに繋がります。そうならないよう、状態、性別、年代の違いを調整しながら分析しています。

——分析結果は、どのように活用するんですか?

中野 まずは分析結果を健保組合の保健事業に役立て、より加速させていくこと。そしてKenCoMのサービスをブラッシュアップすることです。

データがあることで、「現在使っていただいている機能やコンテンツは何か? 健康増進効果が1番高いものは何か?」といった現状や課題が明らかになるんです。

これにより、「どのようなサービスや機能にしていけばお客様の健康増進により役立てられるのか」といった意思決定をサポートしています。

また、この分析をさまざまな産業のヘルスケア化やイノベートにも役立てることで、広く健康寿命の延伸を実現していければと考えています。具体的には当社のサービスやデータを活用し、ヘルスケア型の保険商品等へ活用する取り組みをスタートしています。

ヘルスケア型の保険とは、従来の「病気になった時の保障」だけでなく、ヘルスケアサービスが付帯することで、楽しく続けられる日常的な健康活動を支援する商品です。

このサービスやデータを活用したエビデンスを構築することで、「どの健康活動をどの程度実施すれば、どのくらいのインセンティブ(保険料の割引や還元)を返せるか」といったところを明らかにします。



——設計から分析・提案、商品開発まで、幅広い業務を担当しているんですね。中でも、データソリューショングループとして、最も大切にされている業務はなんでしょうか?

中野 最初の目的と仮説の構築、つまりイシューの設定がいちばん重要ですね。

——分析ではなく設計の段階なんですね!

中野 はい。僕らはお客様の健康増進に役立つサービスを構築するために分析しています。だから社内の意思決定者に気づきを与えたり、お客様に「運動しよう」「食事に気を付けよう」と思っていただくことで実際のアクションに繋げていただかなければ、いくらデータを分析しても意味がないんです。

そのため、自社サービスの企画担当・営業担当者や生命保険会社の担当の方と「現状にどんな課題があって、どんな解決策があるのか」ということを、まずはじめに議論することに重きをおいています。

“3つのデータ”でライフスタイルと疾患とのつながりを可視化する

——お客様に健康増進の意欲を高めてもらうためには、やはり確かなエビデンスを提示することが大事ですよね。

中野 はい。その通りです。ヘルスケアの領域では、今行う1つの行動の結果が、次の瞬間に効果として目に見えるものではありません。本当に長い時間をかけて効果が出る、さらにその効果は、「不健康になりにくい状態」として現れるわけですから、実感を得づらいんです。そこで客観的なエビデンスというのはとても重要なものになります。

エビデンスという点で、僕らは「3つのデータ」を分析することで、お客様の健康状態の流れを可視化できる仕組みを整えています。

——3つのデータとは何ですか?

中野 1つ目は「ライフログ」です。これは、スマホで計測する1日の歩数や、お客様自身で日常的に計測する体重、血圧などになります。

2つ目が「特定健診結果」です。企業の健康診断で受けた問診や血糖値、血圧などの検査値です。

そして3つ目が「レセプト」。医療機関を受診したときの明細書です。

この3つのデータを匿名加工したものを、連携している健康保険組合から提供いただいています。

ポイントは、一人の人物からこの3つのデータを取得し分析すること。3点揃っていることが、信頼性のある分析結果の構築に必要だと思っています。



——なぜ3点揃うことに意味があるのでしょうか?

中野 この3点データがあると、疾病に罹患するまでの流れがわかるんです。

ライフログや問診からは「普段どのくらい歩いているのか」「喫煙歴はあるのか」「体重は変わっているのか」などの行動データが分かります。

ライフログを踏まえて健康診断の結果を見ると、普段のどんな行動によって血圧や血糖値がどう変わったのかが見えてきます。

その後、レセプトを確認することで「どんな病気にかかったのか」「どのような薬を用いて治療しているのか」などが分かるんです。

3点を線で結ぶことで、普段の行動が最終的にどのような病気を引き起こすのかが見えてくるんですよね。

なので、同じ人物の3つのデータが分析できることに意味があるんです。

——なるほど。一人ひとりの体の状態を、流れに沿って分析できると。

中野 はい。この3つのデータ量が一定以上あり、かつそれを分析できる体制が整っている企業は、他にあまりないと思います。普段の行動を踏まえて健康状態を評価する基盤があるのは、DeNAヘルスケアならではの強みであり、希少価値ですね。

健康増進にアプローチできるから生まれる「やりがい」

谷 先ほど申しました通り、私は前々職で生命保険会社に勤めていて、そこでもお客様のデータを分析していました。ですが、その分析結果をもとに商品を開発することは出来ても、保険会社はお客様との接点が希薄なので、お客様の行動を変えるような直接的なアプローチは出来なかったんです。

たとえば、被保険者への給付データを分析して「大腸ポリープによる手術給付が最近増えている」ということがわかった場合、新商品の保険料を値上げすることはできます。ただ、まだ大腸ポリープに罹患していない被保険者に向けて、大腸ポリープ予防のための解決策を提供することは出来ませんでした。

当時は当たり前のことに思っていましたが、ここではお客様一人ひとりに対してアプローチできるKenCoMという基盤があるので、お客様に向けて具体的なアクションができるんです。 そこに可能性と楽しさを感じました。



——お客様のマインドを直接的に変えることができるうえに、本当の意味で一人ひとりの健康増進に繋がりますね。

谷 はい。分析結果をお客様の健康増進に直接繋げることができるので、日々「貢献している」という実感があって嬉しいですね。

こういった喜びを感じることができるので、DeNAヘルスケアに転職してきて本当によかったです。

「第28回日本健康教育学会学術大会」学会賞を受賞

——お客様に直接アプローチできることで、訴求力も高まると思います。そうなるとより信頼性が求められますよね。

谷 その通りですね。お客様のデータを分析して結果が出たとしても、その結果をすぐに、社外に公表することはしません。いくつもの検証を行い、妥当性を判断した上で公表します。

DeNAヘルスケアではお客様に正確な情報を提供することを重視しています。したがって、分析結果の妥当性を検証することは本当に重要だと思っています。

分析結果の正確性には細心の注意を払っていますね。



——具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。

中野 アカデミアの専門家や医療従事者の方に、分析結果をレビューいただいています。

医学的な観点から見ても問題ないのかを確認してもらったうえで、客観的に妥当だと判断した情報だけを発信しているんです。学会で発表をし、フィードバックをもらったりすることもありますね。

——医療領域の学会で発表するIT企業は珍しい気がします。

松島 先日、「KenCoMサービスの利用頻度によって生活習慣病の罹患率に差異があるかどうか」の検証を行い研究発表をしたところ、日本健康教育学会から学会賞をいただきました。サービス利用履歴、健康診断結果、レセプトデータをもとに、健康促進サービスの健康への影響度を分析したことについて評価していただけました。

大学教授の方や医療従事者が多い中で、100以上の演題から選んでいただいたのは、うれしかったですね。



——学会賞を受賞したことで、サービスの信頼性は大幅に高まるのでは?

中野 そうですね。でもさらに高められると思っていて、より信頼性を高めるために論文の発表にも積極的に取り組み始めています。

——論文ですか。これもIT企業には珍しい取り組みですね。

中野 エビデンスの信頼性を高めるためには、論文化も重要だと考えています。

エビデンスはKenCoMや保険商品などを構築するための基本になるものなので、不確かなものを提供すると、事業全体の信頼が一瞬で揺らいでしまう。

やはり、ヘルスケア領域では「信頼」がとても重要で、分析業務はそんな信頼構築を底支えする業務。そういう意味では、ヘルスケア事業の根幹を担っているので、特に注意していますね。

「業界の知識」と「健康への想い」がある方と働きたい

——データソリューショングループとしての課題はありますか?

中野 ヘルスケア事業全体の課題としては、データ量をもっと増やしていきたいです。KenCoMは健康保険組合や健診機関向けのアプリサービスではありますが、サービス自体をアップデートすることで、もっと多くの方に安心して利用いただきたいです。

また、僕たちには医学的な知識がまだ足りないと思っています。現在もエビデンスの信頼性を高めるために、専門家からレビューをいただいていますが、外部の方とのコミュニケーションになる分、どうしてもスピードが遅くなってしまうので、信頼性の担保とスピードが今の課題です。

——課題が解消すると、どんなメリットがあるんでしょうか。

中野 業務がスピードアップすると、サービス開発のブラッシュアップを迅速に行うことができます。するとお客様の満足度が高まり、サービスの利用頻度も上がって、もっと多くのデータを取得できる。その結果、分析の精度も高まって、最終的にはより多くの方の健康増進につながると考えています。



——業務のスピードが高まると、さらに多くのことにチャレンジできますよね。

中野 そうですね。まだまだやりたいことがたくさんあるんです! だからチーム内に医療や製薬業界のドメイン知識があって、かつ分析もバリバリできる方がいると本当に助かりますね。一緒にヘルスケア事業全体の信頼性を高めてほしいです。

谷 僕らは今、生命保険会社と製薬会社にとって理解しやすい分析結果の見せ方について、より多くの知見を得たいと思っています。

なので、プロジェクトを円滑に進めるためにも、過去に生命保険会社で商品開発を担当されていた方であったり、製薬会社で分析を担当していた方と一緒に仕事ができたらいいですね。僕らのスキルアップにも繋がるのでそれも嬉しいです。

——なるほど。医療、製薬ともに専門的な知識がある方がいると、仕事の精度とスピードが高まって、最終的にはお客様の健康増進につながる。

松島 そうですね。データ分析のスキルも大事ですけど、大前提として、やはりマインドが重要だと思っています。「ビッグデータ分析のスキルを磨きたい」と考えている方でも嬉しいですが、「たくさんの人を健康にしたい」という想いがある方と、一緒に事業を進めていきたいですね。

データソリューショングループには、その想いを実現できるだけのデータが集まってきますし、KenCoMというサービスがあるので、分析を通してお客様にアプローチができる。意義ある取り組みをするための基盤があるからこそ、ヘルスケア業界の中でも、他社に比べてDeNAヘルスケアの分析チームは、できる領域が広いんです!

そこに喜びや楽しさを感じてくれる方と、一緒に仕事がしたいですね。


中野 憲(なかの けん)|DeSCヘルスケア 事業推進室 データソリューショングループ グループリーダー

2013年4月DeNAに新卒入社。マンガボックス、Anycaなど主に非ゲーム領域のエンタメサービスにて、分析環境構築・意思決定支援・オペレーション改善等を実施。2017年4月よりDeSCヘルスケアに出向し、ヘルスケアデータの分析による事業推進に挑戦中。2019年4月よりデータソリューショングループのグループリーダーを務める。

松島 龍司(まつしま りゅうじ)|DeSCヘルスケア 事業推進室 データソリューショングループ

2015年1月、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。システム部長として決済サービスの開発・運用に携わる。2018年2月、シェイクハンズ制度を利用しヘルスケア事業に異動。現在は、健康保険組合向けに、医療費削減の為のデータ分析業務に従事。

谷 芳明(たに よしあき)|DeSCヘルスケア 事業推進室 データソリューショングループ

2018年6月にDeNAに中途入社。前々職の生命保険会社では支払率分析や引受査定を担当。前職のコンサルティング会社では機械学習を活用した顧客LTV予測モデル構築を担当。現在はレセプト・特定健診結果・ライフログデータを活用した保険商品開発に従事。


執筆:緒方 優樹 編集:八島 朱里 撮影:小堀 将生

※本記事掲載の情報は、2019年7月12日時点のものです。

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