1
/
5

均衡実質為替レートを1か月で学ぶのにお薦めのペーパーと本5選を紹介します!

世界経済の先行きや市場の動向の不透明感が増してきたことから、資産運用を行っている人にとって、欧米の経済状況が悪化したら円高になる、といういつものパターンになりリスク資産が目減りしてしまうのではないかと気になっている方も通常の時より増えてきているのではないかと思います。

その中でリーマンショックの時と異なることのひとつは、均衡実質為替レート(以下、均衡レート)を推計することによって通貨のフェア・バリューの推計を行う実務が10年前より格段に進んだことです。

こちらのブログでは、均衡レートとはどういうものなのかをさくっと1か月くらいの期間、空いている時間を用いて勉強するのにお薦めのペーパーと書籍をご紹介します。

またクラウドクレジットでは、通貨の分析も含めた、貸付ポートフォリオの管理を行う業務をサポートいただける方を募集しています!

ポートフォリオ・マネージャー
世界のローンでの運用を行うポートフォリオ・マネージャーWANTED!
◆公式noteにて積極情報発信中! https://note.mu/crowdcredit_jp ◆クラウドファンディング×融資×海外×社会貢献 クラウドクレジットは、オンライン上で「個人投資家からお金を集め、企業に融資をして、金利収入を還元する」という仕組みを運営しています。 このビジネスモデルは「ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)」と呼ばれています。  <取り扱っているファンドの例> ・アフリカの未電化地域で家庭用太陽光発電システムによる電気普及を推進する事業の支援 ・ロシア全域とカザフスタンまでカバーする、フィンテック事業者への支援  など このサービスにより、投資家の方々には資産の活用・形成を、そして世界中の成長国にはさらなる発展や雇用の創出を生み出す機会を、提供しています。 ◆社会的インパクト投資 「社会的インパクト投資」と呼ばれる貧困層支援や教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、経済的なリターンと社会的なリターン(社会貢献)の両立を実現する投資手法があります。 この「社会的インパクト投資」の場合、電気が届いていない地域に電気が届く、CO2削減、女性支援といった形で「新興国の支援」が可能となります。 社会貢献というと従来の「寄付」による支援を思い浮かびますが、従来の「寄付」はその持続可能性についての課題やモラルハザードが問題として発生してしまいがちです。これらの課題、問題点を乗り越える新しい形として「社会的インパクト投資」は世界的に注目を集めています。 ◆さらなる事業拡大へ 主要株主には、伊藤忠商事・第一生命・三菱UFJ・SBI・ソニーフィナンシャル・ヤフージャパン・LINE・グローバルブレイン・フェムトパートナーズといった有名企業が名を連ねています。
クラウドクレジット株式会社


均衡レートの推計方法は

均衡レートの推計方法には大きく分けてFundamental Equilibrium Exchange Rate(FEER)、Macroeconomic Balance ApproachまたはExternal Balance Approachと呼ばれる手法とBehavioral Equilibrium Exchange Rate(BEER)と呼ばれる手法の2つがあります。

BEERの推計はさらに、1国の統計情報のみから推計を行う手法と、多くの国の統計情報を一般化して推計を行う手法の2つに分かれます。

実務ではBEERの推計を主として、FEERは答え合わせに用いるくらいのことが多いかなと感じており、BEERの推計を行う際に、円のように主要な通貨の均衡レートを推計する場合は円特有の事象をきちんと含められるよう1国の統計情報から推計を行い、逆に途上国の通貨の均衡レートを推計する場合は、(特に昔の)統計情報が揃っていないことが多いため、多くの国の統計情報から一般パラメータを抽出して推計を行うことが多いと思います。

これをケーススタディを交えて解説しているものとして分かりやすかったのが、少し昔になりますが、2007年にIMFがサブサハラ・アフリカの国々の均衡レートの推計を行ったペーパーです。

https://app.box.com/s/wqmak1r4isnwfdyyahlli7knbohkekju

このペーパーでは、各推計手法の概要が説明されているほか、BEERの推計で用いられる主なパラメータも紹介をされています。


同様に、2015年に経済産業省のプロジェクトでアジアの国々の均衡レートを推計しているペーパー

https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/15e038.pdf

でも各推計手法の紹介とBEERの推計に用いたパラメータの紹介がなされています。

また面白いのは、このプロジェクトを主導したのが経済産業省というところで、日本ではこの分野は政策当局の方が民間企業よりも進んでいる(進んでいた)といえるかもしれません。


世界の主要通貨の均衡レートは

細かい推計手法までは興味がないものの結果のみ気になるという方は、昨年2018年にBloomberg Economicsが発行したレポート「Finding Fair Value」

が分かりやすいです。

こちらのレポートには円の均衡レートの推計値も掲載されており(16~17ページ)、身近な情報として気になる方も少なくないかもしれません。


自分で推計モデルを構築する場合は

結果や仕組みを知るだけでなく実際に自分で各通貨の均衡レートを推計できるようモデルを構築する場合は、書籍「為替レート制度選択の経済分析」

為替レート制度選択の経済分析
Amazonで金京 拓司の為替レート制度選択の経済分析。アマゾンならポイント還元本が多数。金京 拓司作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また為替レート制度選択の経済分析もアマゾン配送商品なら通常配送無料。
https://www.amazon.co.jp/%E7%82%BA%E6%9B%BF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%E9%81%B8%E6%8A%9E%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%88%86%E6%9E%90-%E9%87%91%E4%BA%AC-%E6%8B%93%E5%8F%B8/dp/4492443843

で実践的なモデリングのプロセスが紹介されています。


実務のケーススタディは

実務上均衡レートをどう意思決定に用いるかのケーススタディとして、昨年2018年にIMFがArticle IVと呼ばれる公表レポート

https://app.box.com/s/a8dgidpb0moh6ckto7n78de0pb7wfxzs

でケニア・シリングという通貨が割高になってしまっている可能性が非常に高いため是正(通貨価値の下落)が必要、という提言を行っているのですが、当然適当には1国の政策当局に対する提言を行えませんので、根拠として均衡レート(BEERおよび補完としてのFEER)分析、他の類似国との実質実効為替レートの推移の比較も交えて説明がなされています。

クラウドクレジット株式会社では一緒に働く仲間を募集しています
5 いいね!
5 いいね!
同じタグの記事
今週のランキング