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ベトナムでピザ屋をしていた僕が、日本に戻りクックパッドの生鮮EC事業に挑戦する理由

はじめまして!クックパッド買物事業部でストアオペレーションチーム(出店するつくり手の販売機会を最大化するチーム)のリーダーをしている岡です。クックパッドマートも今年9月でサービス開始3周年。立ち上げ3ヶ月目にジョインした僕も気づけば古参メンバーの1人となっています。

この記事では「ベトナムでピザ屋をしていた僕が、日本に戻りクックパッドの生鮮EC事業に挑戦する理由」についてお話したいと思います。

大人しく、強い意思を持たなかった子供時代

まずは、生い立ちからお話ししたいと思います。生まれも育ちも横浜で、家族は姉・弟・妹の4人兄弟。小学生の時は、横浜と横須賀のちょうど中間にある金沢文庫という場所に住んでいました。両親とも車の免許を持っていなかったのでどこに行くのも自転車移動で、一時は兄弟全員が父の自転車に乗り、5人乗りで近所のスーパーに買い物に行ったりしてました。いまの時代だったら完全NGですね。(笑) 珍しがって近所の人から記念写真を撮らせて欲しいとお願いされたり、いつも賑やかな家庭でした。

[写真:4人兄弟集合写真。一番左が僕です]

タイトルの「ベトナムのピザ屋で働いていた」というと破天荒な印象を持たれるかもしれませんが、幼少期は比較的大人しい性格で、強い意思を持って何かをしたというのは少なかった記憶があります。唯一自分の意思でやりたいと始めたのが、友達の家で子供対象に開催していた図工教室。段ボールやガムテープで秘密基地を作ったり、とにかくものを作るのが好きでした。その延長で料理にも興味を持ち、これを作りたい!と思ったものを母に頼んで一緒に作ってもらっていました。「夕飯の後にどうしてもバナナの天ぷらを作りたいって言う時があって、お母さんは辛抱強く付き合ってあげたのよ」と、家族との食事の席でいまでも言われます(笑)。

小学校卒業後は姉が通っていた私立の中高一貫の学校に受験し入学。親や親戚のアドバイスを素直に聞き、特に深く考えることなく用意されたレールを乗っかっていた幼少時代でした。

中学と高校での2度の挫折

小学校のときにソフトボールをやっていた影響で中学の部活は野球部に入りました。部活自体そこまで厳しくなく、部活の後に友達とゲームセンターにいったりとゆるゆると過ごしていました。

転機が訪れたのは中学3年の夏。運良く区大会の決勝に進むことができたのですが、最終回に自分のエラーでチームは敗退。自分がもっと上手かったら、なんで自分はもっと真剣に野球をやっていなかったんだと、心底不甲斐ない気持ちになりました。

高校に入ると、中学とは違い野球部はスポーツ推薦の選手が入ってくるくらい本気で甲子園を目指しているチームでした。練習もキツそうなので入る予定はなかったのですが、中学での悔しい経験から入部を決めました。ただ、レベルの違うチームについていけず、朝から晩までチームの誰よりも練習をした自負があるのですが、結局高校3年間公式試合には1度も出れずに終わりました。いままでの人生において、自信をなくし自己肯定感がどん底だったのがこの時期でした。

立ち直るきっかけをくれたアメリカ留学

高校野球部引退後はまったくやる気が湧かず大学受験どころでなく、無気力状態な日々を過ごしていました。そんな僕を見かねたのか、親の薦めで当時シアトルの大学に通っていた姉のもとに遊びに行かせてもらいました。

初めてのアメリカに1人降り立ち、目にした世界は衝撃そのものでした。広大なキャンパス、流暢な英語を話す姉の留学生友達、よくわからないエスニックな料理のレストラン。全てが眩しく見えました。それから日本に帰ってからは猛勉強の生活が始まり、浪人期間を経てUniversity of San Franciscoというサンフランシスコの大学に奇跡的に入学することができました。

[写真:大学の卒業式]

アメリカの大学に入ってみるも当時は英語もたいして喋れず、マクドナルドでハンバーガーを1個頼んだらチーズバーガーが5個でてくるレベル(笑)。ただ、流石に2-3年程経つと徐々に慣れてきて、学校外にも活動範囲を広げ、シリコンバレーで働いている日本人向けイベントに学生ながら参加させてもらったり、Google、Facebook、Dropboxといった会社を訪問したりと貴重な体験をさせてもらい、無事卒業もすることができました。

「アジアxインターネット」で決めたファーストキャリア

大学在学中、シリコンバレーで見た最先端のIT企業を見て憧れの気持ちを抱くことはあったのですが、天邪鬼な性格からか先進国の完成された市場ではなく、これから伸びるだろうアジアの国で働きたいと思うようになり、「アジアxインターネット」で何かしたいと漠然に思うようになりました。それで縁あって、日本に帰ってVoyage Groupという渋谷のIT企業に新卒で入社し、アジア市場のインターネット市場調査サービスを提供する海外事業部で働くことになりました。

海外企業がアジア市場で定量・定性調査を行いたいときに使われるインターネットサービスを提供しており、顧客対応・案件運用をするために英語対応且つ24時間稼働のオペレーションチームをつくることが入社後の自分のミッションでした。2週間の新入社員研修が終わった翌週にはフィリピンに飛び、オフィス選びから採用、オペレーション構築、日本チームとの連携、チームカルチャー作りなどを担当し、数えきれないくらいの失敗をしながらも最速での拠点立ち上げを目標に試行錯誤の日々を過ごしました。当時は新卒で力が入りすぎていたのだと思いますが、自分ができないことはできないと認め、恥を捨てて教えを請うこと、素直でいることの重要さを肌で学びました

[写真:拠点開始3年目の社内イベント。テーマカラーが白だったので全員服が白]

それから3年経ちチームが安定運用できるようになったタイミングで、よりお客さんと距離の近いサービスに関わりたい、そして東南アジアで自分でサービスをやりたいという想いが強くなり、フィリピンを離れる決意をしました。

ピザ屋の店長になって見えてきたキャリアの方向性

次に向かったのはベトナムのホーチミン。元サイバーエージェントの先輩がPizza 4P'sというピザレストランを立ち上げていて、その会社の新規事業としてベトナム国内向け生鮮ECをやらせてもらうことになりました。レストランで使用するチーズをダラットという高原地帯で自社製造していたこともあり、チーズやヨーグルトなどの自社製品の販売から始め、野菜や肉・魚など信頼できる生産者を開拓しインターネット販売を始めました。食品偽装や農薬問題が頻発していたベトナムで、安心できる食品の販売に特化した比較的高所得層向けのサービスでした。しかし、想像以上にマーケットは小さく、サービスは2年程で伸び悩み事業を縮小していく決断をしました

[写真:ECサービス立ち上げ時のチーム写真]

一方で、レストランは3店舗目をオープンするも大盛況で1週間先まで予約もとれない状況。外部からの出資も受け本格的に多店舗展開を進めていくタイミングでした。元々はインターネットサービスがしたくてベトナムに来たのですが、EC事業がうまくいかなかったこともあり会社に対して恩返しがしたい、また自分はもっとできるんだと自己証明したい想いもあってか、レストラン事業に移ることを決めました。

多店舗展開をしていく上での当初の一番の課題は、店舗の運営において共通の仕組みが存在しなかったこと。特に日々の店舗オペレーションや人材育成は各店長により属人的に行われていたため、事業拡大のボトルネックになっていました。この問題は外からでなく、現場の内からでないと解決が難しいと考え、飲食未経験にもかかわらずホーチミン3店舗目の店長として店舗立ち上げをさせてもらうことになりました。開店後も150席程ある大規模店舗にも関わらず相変わらずの人気で、1日多い時は5回転する程でした。何が正解かわからないなかでガムシャラに働き、夜はレストラン上にある半屋外の従業員用洗濯物干し場に泊まり込み、シャワーもないので洗濯機のホースを抜いて体を洗っていました。いま考えるとなかなかハードな環境ですね(笑)。

[写真:店舗オープン前のミーティング。この時もまだ工事中なのでメンバーは一部私服です]

共通の仕組みづくりのために、お客様が来店し笑顔でお店をあとにしてもらうまでどんな体験をしてもらいたいか、アプリサービスでいうカスタマージャーニーマップのような理想の姿を定義し、その体験を作りあげるために各チームのすべきことを言語化・ルール化をしていきました。日々の営業では、理想との乖離が生まれたポイントを洗い出し、解決策を業務フローやルールにして現場に落とし込む。その繰り返しでした。そんな改善を愚直に積み重ねていくことで実績にも繋がっていき、自分なしでも店舗運営が回る状況になっていきました。オペレーションという守り要素が強い業務も、突き詰めて磨いていくと会社の競合優位性となり、攻めに転ずることもできるのだと現在にも活きる経験になりました。

その後、ベトナム最大のレストランレビューサイトのFoody.VNでは口コミ評価ベトナム1位になり、The New York Times、Forbes等でも特集され知名度も上がっていきました。僕自身も店長からエリアマネージャーになり、予約受付コールセンターやセントラルキッチンの立ち上げなど、会社が成長するための攻めのオペレーション構築を主に担当していました。しかし、食xインターネットのサービスをやりたいという想いは日に日に強くなり、市場規模や食品流通の観点からベトナムでは難しいという結論の上、日本への帰国を決めました。

近いのに遠い都市部の生産者と消費者を近づけるために

大学、社会人での海外生活を経て気づいたのが、どの国でも、家でもレストランでも、好きな人たちと美味しい物を食べている時はたいてい笑顔になること。食卓を囲むときに生まれる豊かさのようなものの可能性を強く感じるようになりました。

日本に帰り、そんな自分の考えを具現化したような事業をクックパッドが始めようとしていることをWantedlyで見つけ応募しました。ちょうど応募翌日に事業発案者の登壇イベントがあったので参加し、クックパッドマートが作ろうとしている世界観に強く共感したことを覚えています。また、個人的にもベトナムで失敗した生鮮EC事業のリベンジをしたいという思いもあり、クックパッドマートへの入社を決めました。

[写真:クックパッドマートのミッション]

クックパッドマートは、各地の商品を大規模流通センターに集約しそれを各消費者に配送するという中央集権型のモデルではなく、分散型のモデルを採用しています。これは、クックパッドマートに出店する生産者や専門店が出荷する小規模流通デポ(物流拠点)と消費者が商品を受け取るマートステーション(受け取り冷蔵庫)を地域毎に設け、それを繋ぐ流通網を作るというクックパッドマート独自の仕組みです。スマートフォンやIoTなどのテクノロジーの進歩により実現可能になったサービスであり、巨大な既存食品流通に対する大胆な挑戦でもあります。

クックパッドマートに入る前は、生産者は地方にいて、消費者は都市部にいるものという先入観があったのですが、実際には都市部近郊にも多種多様な生産者が数多くいます。僕の住む横浜市にも、少し自転車で行けば野菜畑や梨園、ぶどう園なんかもあったりします。効率を最重視した既存食品流通の弊害か、物理的には近いのに心理的には遠いという都市部の生産者さんと消費者の矛盾した距離感の存在を知りました。

[写真:生しらす特集で店舗さんと一緒に出荷作業をした際の様子]

分散型流通モデルで地域の生産者や専門店と消費者を繋ぐことができれば、鮮度の良い商品をよりお手軽に買えるという直売所や道の駅のような購入の選択肢を大規模なスケールで実現することが可能になります。既存食品流通を完全に代替していくのでなく、新しい生鮮食品の買い方の1つとしての社会への提案、それがクックパッドマートの挑戦であり、立ち上げから3年経ちその世界が少しずつ実現されていくことにワクワクしています。

「仕組み」づくりを追求する

toCの消費者向けサービスで働く醍醐味は、自分自身がサービスのユーザーになり得ることかなと思います。その分、いいところも悪いところも全て見えてしまうので毎日何度もアプリを開いて常に緊張感を持って施策を打っていけますし、自分達でサービスを作っている手触り感があります。また、1ユーザーとしてサービス価値を体感することができるのも良さの1つです。社内のSlackチャンネルで#Tabeta(食べた)チャンネルというのがあるのですが、社員が実際にユーザーとして購入した商品でこの商品をこうやって食べたよと自発的に紹介する場です。料理が得意な人が多いので投稿を見ているだけで楽しくなってしまいます。社員自身がマートを通して生活が豊かになっていると感じられることも多く、サービスを成長させていきたいという想いの原動力になっています。

[写真:クックパッドの別事業おりょうりえほんとのコラボ商品、カラフル焼きそばを娘と作った様子]

僕自身がクックパッドマートに入ってすぐは、生産者さんや専門店さんなどにサービスを利用してもらえないか話に行く店舗営業を担当していたのですが、サービス拡大に伴い、本来やりたかった出店後の店舗サポート業務を担当するようになりました。現在は、店舗が出店後にクックパッドマート上での販売量を増やしていくための販促支援や日々の出荷配送の安定運用のためのプロダクト作りのディレクションを主に担当しています。

クックパッドマートのミッションの1つに、「仕組み」づくりを追求するというものがあるのですが、まさに会社のカルチャーを表していると思います。生鮮ECというオンライン・オフライン両方の課題が存在する難易度の高い事業を進めていく上で、人力で頑張るのでなくテクノロジーの力を使って汎用性がありスケールアップできる形での課題解決が常に求められています。僕自身、プロダクト作りの経験はほぼ無い状態でいまの仕事をし始めたのですが、社内のエンジニアやデザイナーとも気軽に相談しやすいオープンな環境で、チームとして個人としての挑戦に対して寛容な環境で助けられています。

サービス開始から3年が経ち、サービス成長のため全力でアクセルを踏んでいくのが現在の事業フェーズです。僕の所属するストアオペレーションチームでは、商品や生産者にファンを作り、そのファン層が楽しく買物体験ができるようなプロダクト作りをしていくことが直近で向き合っている課題です。アプリサービスだから、クックパッドマートだからできるユニークな買物体験を実現できるよう日々仕組みづくりを進めています。

仲間募集中!こんな人と働きたい

前述したように、クックパッドマートはサービス立ち上げ期というよりは、サービスをグロースさせていくフェーズになっています。もちろんいまのサービスが完成形ではないので変化は常に受け入れていく必要はあるのですが、できあがったモデルを創意工夫で伸ばしていくことが好きな人が向いているタイミングかと思います。

自分の中でクックパッドマートはこうあるべきという仮説を強く持ち、それを関係者と擦り合わせながら、理想と現実の乖離をを埋めていける人。その乖離を埋めていくための仕組み化を泥臭く、愚直にやり抜ける人。プロダクトの力で課題解決をしていける人。そんな人にはぴったりな職場だと思います。

[写真:チームメンバーとオフィスの屋上で]

オンラインとオフラインが複雑に絡み合う生鮮ECプラットフォームづくりにピンと来た方、クックパッドマートのサービスに共感ポイントを見出した方、ぜひ一緒に働きましょう。僕の所属するストアオペレーションチームでも絶賛採用中です。

編集アシスタント
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クックパッドは、"毎日の料理を楽しみにする"というミッションのもと1998年3月に開始した、料理レシピ投稿・検索サービスです。現在の国内投稿レシピ数は約384万品を超え、国内では月間約5,000万人に利用されています。料理を通じて人々の暮らしをもっと豊かにしていくことを目指し、世界各国に向けてもサービスを展開しており、現在71カ国/地域・29言語に広がっています。(2023年3月末時点) これからも、日々料理を楽しみにするための方法や、その周辺にある小さな課題を解決していきます。
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