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データの「向こう側」まで見通せるサイエンティストになるために。一歩ずつ着実に、誰もみたことがない世界をめざして。

Tomoyuki Nohara(Seinior Data Scientist)

2021年の2月に新たにFracta Leapにジョインし、データサイエンティストでありながら、センサーの開発も自ら行い、実験ラボの所長も務める野原さん。

機械学習、流体、電気など、様々な分野に精通する豊富な知識とスキルはどのように養われたのでしょうか。「山の中なのに最先端」という不思議な環境で育った少年時代から、ヒップホップと流体力学に夢中になった学生時代、パイオニアなどでの研究開発を経て、Fracta Leapへと至るまでの、その足跡を辿ります。

沖縄から本州へ。流体との出会い。

Q.これまでの経歴は?

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ご出身はどちらですか?
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野原:

沖縄県は那覇市に近い、大里村(おおざとそん)という村の出身です。沖縄県内で唯一、海がない山間の村なんですよ。そんな田舎ですが、父親の仕事が琉球大学工学部の技官だったので、90年代初頭には、すでに家にパソコンがあったんです。ブラウン管の、真っ暗な画面でプログラミングをしていた様子をよく覚えていますね。「山の中なのに最先端」そんな家庭で育ちました。

父は仕事で工学部の機械を扱っていましたが、実は電気分野にも強くて。大学で依頼された、故障したテレビの修理も家でよくやっていましたね。いつもハンダゴテで何かをいじってる。父に対してはそんな記憶があります。

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小さい時の将来の夢や、憧れていた職業はありますか??
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そうですね……。気づいたときには「きっと自分も父と同じように、機械や車を修理するような人になるのかな」と思っていました。もしくは、天文学者もいいな、と。今思うと、それも父が宇宙や星座が好きだったからかもしれません。そういう意味では、幼少期に父から受けた影響はとても大きかったですね。

               (今思うと、私より理系な父親ですね。)

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九州工業大学へと進んだのも、お父さんの影響でしょうか?
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それもありますが、一番の理由は私が文系の科目が苦手で、数学が得意だったからです。加えて、大学卒業後は沖縄で働くつもりだったのですが、以前から「一度は県外に出たいな」という思いもあり、九州工業大学を選択しました。

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進学したのは情報工学部。具体的にはどんなことを学ばれたんですか?
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研究室では流体のシミュレーションをやってました。はじめは流体回路の一次元システムシミュレーション...そうですね、例えば電車のドアとか、建設機械の油圧システムとか。水処理プラントも、ポンプと配管があってシステムになってますが、この「モデルをどう作っていくか」を考える過程が、私にとってはパズルを解く感覚に近くて。また、人によってモデルの組み立て方も変わるので「なぜ、この設計なんだろう?」と、いつも機械の中身を想像していました。

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なるほど。しかし、なかなか難しそうな研究ですね……!
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そうですね。よく教授に脅かされていました。「流体の方程式は世界で一番難しいんだぞ」と。ですが私にとっては、とても楽しい研究でもあったんですよね。難しい課題を、分解し、単純化し、パズルのように組み立て解決していく。そうやって、夢中になれる研究だったんです。その時に得られた感覚を、もう一度体験したい。今、私がFracta Leapで働いている理由のひとつかもしれません。

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なるほど。大学院でも、ずっと流体力学の研究を?
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大学院に進学してからは、音のシミュレーションの研究をはじめました。流体力学の研究でエンジンやポンプの開発に携わっていると、現場の人々は「機器の故障を予知したい」という課題を抱えていることがわかってきて。じゃあ何が故障のサインになっているかというと音だったんですね。ポンプやエンジンがこんな音を立てはじめたら故障につながる、というのは経験則としてはわかっている。それなら音をシミュレーションすることで、機器の故障を予測できるのではないか、と。研究室で、新しいメンバーを探していたので、興味が湧いて手を挙げました。

   (学生時代はストリートカルチャーに熱中。「DJになる!と東京に出て行った友人もいましたね」)

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なぜ立候補したんですか?
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昔から、音や音楽が好きだったからですね。特にヒップホップカルチャーが好きで。高校生の頃からDJをしたりダンスをしていました。大学時代のアパートも、テレビはないけどターンテーブルはある、みたいな環境で。リサイクショップで安く買ってきたスピーカーの音を聴き比べたり、自分でオーディオを組み立てるのも好きでした。だから「音のシミュレーション屋さん」というのは自分にぴったりだと思ったんです。

それで大学院では重機の防音対策を高めるために、エンジンルームの内壁をどういう形状にすれば、より音を吸収できるのか?そんなことをシミュレーションしていましたね。

人の感性も、インフラの劣化も「音」で読み解ける

Q. 前職ではどんな仕事に取り組んでいましたか?

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大学院卒業後の進路はどうされたんですか?先ほど、将来は地元で働くつもりだった。と仰っていましたね。
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大学院時代もずっとそう考えていて、沖縄電力へインターンシップに行ったんです。でもそこで「電力会社は発電施設を管理しているが、発電施設をつくっているわけではない!」ということに気づいたんです。遅いですよね。自分はやっぱり「ものづくり」がしたかったので、非常に困りました。

じゃあ、どの会社で働こうか?と考えているときに候補に上がったのがパイオニアだったんです。その後に、自分が持っているDJ機材もスピーカーも全部に「Pioneer」と刻印されていることに改めて気がついて。自分は音について研究していたし、これは持ってこいだと思って就職を決めました。

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まさに野原さんにぴったりの職場だったんですね。
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入社してからは、音や音楽についての研究開発部に配属されることになりました。最初に携わったのがダンサー向けオーディオ開発の基礎研究としての、ダンサーの動きの解析です。より具体的には、ダンサーの動きを「振動」として捉えて、それぞれのダンサーの持つ良さ=スタイルを数値化しようと試みました。

ヒップホップダンスが好きだったらから、この仕事はとにかく楽しかったですね。好きなダンサーを呼んだり、Youtubeでダンス動画をたくさん漁ったり、私自身がマーカーをつけて踊ってみたり。残念ながら『ダンサー向けオーディオ』というプロダクト自体が立ち消えになってしまい、研究は途中で終わってしまいましたが、とてもいい経験になりました。

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研究が終わってからは、どうされたんですか?
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次に手がけたのは「いい音の鳴るゴルフボールをつくる」という研究でした。ゴルフクラブでボールを打った時に音が鳴りますよね?私にはどのボールも全部同じ音に聞こえたんですが、プロの方はボールによって全く違う音が聞こえるらしくて。インタビューしてみると「ちょっと芯が頼りないなあ」とか「すこし濡れたような感じがする」とか。そこでゴルフ好きが「心地いい」と感じるのはどんな音なのかを機械学習を使って分析し、そのデータをボールメーカーの方たちに提供できるのではないか。という観点から始まった研究でした。

このときに携わったボールはタイガー・ウッズにも選ばれたんです。「ディープな音のするボールだ」と言ってくれて。もちろん、音以外の機能性も評価されたのだと思いますし、何よりもすごいのはボールメーカーのみなさんですが、やっぱり自分が携わったプロダクトが超一流のプロに選ばれるのは嬉しかったですね。

         (「タイガー・ウッズ、ボールと一緒に写真も撮ってくれて……」)

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まさに研究者冥利につきる瞬間ですね。それからもずっと感覚を数値化するような仕事を?
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それが当時、パイオニア全体の業績が悪化していたこともあって、音楽とかスポーツなど、エンタメ分野に関わる仕事は徐々に減ってきてしまって。最後の数年は、事業としても手堅いインフラ系の仕事に携わるようになりました。

具体的には道路管理のサポートです。とはいえ、やっていること自体は相変わらず「音・振動」に関わるもので。管理道路を巡回するパトロールカーにIoTセンサーを搭載し、路面から伝わる音を分析することで、道路の劣化を予測しようとしたんです。

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水道管の劣化を予測するFRACTAの取り組みにも似ていますね。
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まさにその通りです。ただ当時はこうしたDX的な取り組みへの関心度がまだまだ低かったこともあり、実証試験レベルから話が進まなくなってしまって。大企業ならではの腰の重さを感じることもありました。

一方で私自身、もっとデータサイエンスに集中して取り組みたいと思うようになっていて。そこでパイオニアを退職し、AIベンチャーのABEJAへと転職しました。ここでデータサイエンティストとしてPoCの受託開発を手がけていました。機械の異常検知などをやりながら、店舗の売上予測やレコメンドなど、ヒトに関わる仕事をやっていました。ですが、また物理現象に関わる仕事をしたいなと思ってきて。。

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パイオニアでは人の感性に関わるような仕事をされてきたのに、どうして?
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私にとっては、人間はあまりにも複雑過ぎて、ちょっと手に負えないな...と感じてしまったんです。やっぱり自分は機械や物理現象といったものを対象にデータサイエンスしたいなと思って。そんなことを考えていたときに、ヘッドハンターの方から紹介していただいたのがFracta Leapでした。

まずピンときたのは機械学習のスキルが生かせるうえに、扱っているのが「水」という流体だという点ですね。またいつか流体の研究をしてみたいと思っていたので、すぐに面接を受けに行きました。

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実際にメンバーと話してみてどうでしたか?
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お話しさせて頂いた際に、現状のFracta Leapの課題を率直に聞かせてもらえたんですね。それが、まさに今まで自分が培ってきた知識やスキルを活かせそうな内容だったんです。機械学習だけでは、データの向こう側にある現象までは理解することができない。つまり水だったり、プラントだったり、システムを構成する全てについて理解しているデータサイエンティストが必要だ、と。

私は機械学習だけでなく、機械工学や流体のベースがあったので「データの向こう側」もある程度わかる。データ収集のためにセンサーを開発したこともある。そんな経験を全て生かせる環境なんて、ここを逃したら次はもうないぞ!と。それでFracta Leapへとジョインすることになりました。

3時間でプロトタイピングできるラボをつくりたい

Q. Fracta Leapで取り組んでいることは?

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現在はどんな仕事を担当されていますか?
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データ解析を行うための、前段階の作業を行っています。前例がほとんどない分野なので、データを収集するためのシステム、ハードもソフトも、新たに自分たちで考えて作る必要があるんです。

加えて、実験室の室長業務も行っています。所謂マネージャー業務ですね。Fracta Leapと他のスタートアップと比較した際に、最も違うところは自社で研究室を所有していることかもしれません。責任が伴う大変な作業もありますが、同時に大学の研究室のような雰囲気ある。そんな場所です。

今後は、CAE実験室も新たに立ち上げる予定があるため、CAE技術者の方を募集していこうと思っています。並行してセンサー開発が進めば、データが蓄積されていくので、そのタイミングで機械学習エンジニアの方も募集しないといけません。この記事を読んで、興味を持ってくださった方はぜひ一度実験室に見学に来ていただけると嬉しいですね。

また、Fracta Leapのもうひとつの特徴として、水処理を行うプラントにおける全装置のデータ取得・分析・シミュレーション・実験まで自社で一貫して行うこと、が挙げられます。これら全ての分野に精通している人物が理想ですが...私自身、全てが得意分野だ、というわけではありません。いつもチームの皆に助けてもらっています。

個人的にはそれぞれの得意分野を組み合わせ、共に悩み、考え、ゼロから水処理装置を作り上げることで、チームで課題を解決していく。そんな思いに共感して頂けるエンジニアの方と働きたいな。と思っていますね。

実験室には社内外のユニークなメンバーが集っています。なかには電子工作や音楽作品を手がけるアーティストのような人もいたり。そういう人たちと共に、現在のプロジェクトに直結するセンサーから、未来のプロジェクトのプロトタイプまで、様々なものを作っています。

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まさに実験室という感じですね。
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もちろん仕事ですので、日々の細かい業務はもちろんあります。ですが、語弊を恐れずに言うなら「大学の研究室」のような雰囲気を大切にしたいと思っていますね。みなさんも経験があると思いますが、むずかしい課題の答えが見つかる瞬間は、意外と机の上でなかったりします。心理的に安心できるような環境で、皆が真剣に課題に取り組めること。ラボの自由さだったり、楽しさだったりを守っていくこと。これらは、室長としての私の重要な役割だと思っています。

今まさに研究室を拡張している最中なので、機材などもまだ不十分ではあるのですが「3時間でプロトタイピングができる環境を整える」これが、直近の私の目標ですね。

新しいアイデアが浮かんで、消えてしまう前に、一気に形にして検証する。そのために、使うかもしれない部品類は事前に一通り用意しておく。地味ではありますが、そうした環境をチームメンバーに提供することも、室長の仕事だと考えています。

小さな実験室から、地球の未来を守る仕事です。

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Fracta Leapはどんな会社だと感じていますか?
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実験ラボにしてもそうですが、とにかくスピード感を持って動けますね。栗田工業という強力なパートナーがいることも大きいと思います。

あとは...うまい例えになっているか分かりませんが......私は『キングダム』という漫画が好きなんです。この作品は、中国の戦国時代を舞台にしているんですが、主人公たちは、軍本隊とは別の「遊撃隊」的なポジションで、戦場を縦横無尽に駆け巡るんです。私の中では、このポジションがFracta Leapと似ている気がします。栗田工業が将軍の率いる大軍だとしたら、私たちが遊撃隊。少数精鋭だから、スピーディに目標を達成できる。そんなイメージですね。

           (「栗田工業が『王騎軍』でFracta Leapが『飛信隊』かな」)

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これからFracta Leapでどんな人と働きたいですか?
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先程も少し触れましたが「チームで働くこと」を常に意識できる方と、一緒に働きたいと思いますね。あと、加えるなら「既存の概念にとらわれることなく、物事を俯瞰しながら考えること」ができる方、でしょうか。とても基本的なことですが、解決が難しい課題に直面した時に、とても重要になってくる要素だと思います。

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Fracta Leapに興味を持たれた方に向けて、何かメッセージはありますか?
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Fracta Leapは未来の地球のために「水」と「プラント」を通じて様々な課題に取り組んでいます。私自身、今まで一般的な商業ベースの企業に勤務していましたが「今やっている仕事が、地球の未来を変えることになる」という感覚は今の仕事で初めて味わうことができました。もし、Fracta Leapに少しでも興味を持ってくださったのなら、ぜひ一度、研究室に見学に来てほしいですね。

大学工学部の技官である父の影響を受け歩み始めた情報工学の道。「ものづくりがしたい」という思いを起点に、Fracta Leapに至るまでの野原の姿をお伝えできたでしょうか。
「地球の未来を変える仕事」や野原が室長を務める「ラボ」に興味のある方は、ぜひ下記ボタンよりお話を聞きにきてください!

Fractal Leapメンバーのストーリーは、今後もまだまだ続きます。
次回もぜひ、お楽しみに!

Fracta Leapでは一緒に働く仲間を募集しています
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