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【代表インタビュー】「われわれの使命は何か」を問い続け、体現していく。これまでの変遷と”異常”なまでに「人材育成」にこだわる理由とは?

滋賀県に拠点を置き、県内のドコモショップ第一号店のオープンから、情報通信コンサルティング事業、英語学童事業、保育園事業など幅広い事業を展開するGRiP’S。

「経営学の父」であるピーター・ドラッカーの問いの「われわれの使命は何か」を考え抜くことが、存在意義を明確にし、より豊かな人生を歩めるファクターだと山川社長は語ります。

多岐にわたる事業展開と企業の根幹を支える人材開発、組織開発に注力する背景を代表取締役の山川紀子さんにお話をお伺いしました!

「自分は何をしたいんだろう」と自身の存在意義に悩んでいる方、必読の記事となっています!

常にお客様に最高のサービスを提供するために見つけた「コーチング」という育成アプローチ

ーーGRiP’S設立の背景を教えてください。

GRiP’Sの前身である山川電機工業所は、1949年、自動車電装関係の販売、サービス会社として現会長の父である山川太が創業し、滋賀県内の信頼と実績を積み重ねてきました。1993年には携帯業界へ参入し、NTT DOCOMOの一次代理店契約を締結。1994年には滋賀県のドコモショップ第一号店をオープンしました。これは、時代の流れを敏感にキャッチする会長の先見の明と、テクノロジーの可能性のもと、滋賀県に住む皆様のよりよい暮らしづくりの一助を担いたいという志によって成された背景があります。私は、そんな当時の社長と共に新規事業を支えるため、経理的なポジションから加入することになりました。

ーー県内初出店のドコモショップだったのですね!

携帯電話の普及によって、時代はまさに「第一次携帯電話ブーム」を迎えることとなり、ありがたいことに事業は好調な滑り出しでした。成長産業において人材の確保は不可欠であり、1998年には新卒採用を開始しました。当時は新卒採用を導入している企業はまだまだ少なく、社内では即戦力採用を重視する意見もありましたが、私自身、「人材の原石」をイチから育てていくことが今後の会社のためになると確信しており、新卒採用という人事戦略に踏み切りました。

――大きな決断でしたね。新卒採用を開始しようと思った理由は何ですか?

これまでは中途の即戦力を重視した採用を行っていましたが、ある程度キャリアのある方々は、自分のスタイルや型のようなものがあり、お客様への対応に偏りが生じてしまうことが懸念点でした。それが良い方に転ぶこともありますが、悪い方へいくことも。そういった偏りをなくし、お客様へ常に安心感のある対応を心がけるのなら、スタッフが共通の認識のもと、業務に取り組むことが大切だと考えました。ありがたいことに初めての新卒採用では、数十名名ほどの応募者が集まり、人材確保の観点からも新卒採用の可能性を感じましたね。当時入社した社員で今も現役で活躍している人もいるんですよ。

――GRiP’Sの人材開発は「コーチング文化」を取り入れているのが特徴的ですよね。これらを取り入れようと思ったきっかけはありますか?

業務の現場は連日のようにお客様が来店されて多忙でしたが、個々の力に偏りがあり、オペレーションが機能していなかったんです。それをなんとか私たちが軌道修正しようとするのですが、その場限りの単なる「指導」になってしまうことが多く、会社として進めていきたい方向性からずれていってしまうのではないかという危機感がありました。また、今後さらに事業が成長し、より多くの社員を迎え入れるにあたり、個人がイキイキと働き、スキルアップすることが会社の大きな推進力になると考えたんです。いわゆる「マネジメント」の部分で、どう社員に働いてもらうかを常に考えていました。そんな中、「コーチング」と出会ったんです。

コーチングは、一人ひとりの夢や目標をコーチと共有し、自分自身がその目標を達成するために、具体的にどのような課題があり、ステップがあるのかなどをコーチの多角的な「問い」を通して導き出します。ヤフーやソフトバンクのような大企業で導入されていることも特徴です。コーチングにおいて、最も感銘を受けたのはこの手法を取り入れることで、社員が自分の頭で自ら考え、答えを導き出せること。求める答えを与える「ティーチング」と違い、ある意味自問自答する機会を与えることで社員一人ひとりの主体性を育てることができるため、一人ひとりの考え方や個性を活かすことにも繋がります。

コーチングを取り入れる前は、どちらかというと社員にどうしたら会社の方針通りに動いてもらえるか、うまくコントロールできないかという考え方が中心でしたが、コーチングを知ることで今までの方法では社員を尊重できておらず、本当の意味でのマネジメントになっていなかったのだと思い知らされました。

■コーチングの定義

コーチングとは相手の話に耳を傾け、観察や質問を投げかけながら、ときに提案などをして相手の内面にある答えを引き出す目標達成の手法のことです。

■ビジネスにおいてのコーチングとは

ビジネスにおける「コーチング」とは、対象者の自主性を促し、能力や可能性を最大限に引き出しながら、目標達成に向けてモチベーションを高めるコミュニケーション手法のことを指します。企業の人材育成の場面でも活用され、「コーチング型マネジメント」と呼ばれることもあります。

大きな特徴は、「対象者の自発性を促す」ことです。目標達成に向け、行動を強制するのではなく、対話を重ねることで、対象者がポテンシャルを発揮できる状態に導き、自己成長を促します。

具体的には、

ー人間の可能性は無限であること
ー課題に対する答えは相手の中に必ずあること
ー相手が自ら答えを見つけるためのパートナーに徹すること

という3つの考え方に基づいており、それにより

ー自分自身で答えを導き出す能力
ー主体的、自主的に物事に取り組んだり考えたりする姿勢
ー新しい価値観や新しい答えにたどり着こうとする前向きな気持ち

を身に付けることができるといわれています。

引用:https://www.motivation-cloud.com/hr2048/c230

ーーコーチングを通して、GRIP’Sが「人を育成する」という土壌を作り始めることとなったのですね。その後、2015年に山川社長が代表取締役に就任された背景を教えてください。

1994年のドコモショップ一号店オープン後、1店舗が3店舗になり、その後も続々と滋賀県内でのショップ展開が広がりました。新卒採用を導入することで、組織としての一貫性が発揮されやすくなり、少しずつですが強固な集合体へと成長している手応えがありました。しかし、成長産業であるということは、新たに参入する競合他社も増加するものです。この先、淘汰されることのない企業として、より一層「人」にフォーカスする意識は強まっていきました。

そして、第一号店から20年経った頃のこと。人も育ち、それぞれが役割を全うし、事業活動は社員たちの力でしっかりと自律化されていました。ちょうどその頃、これまで70年続いてきた「山川」という名前のブランドから、卒業するタイミングが来たのではないかと考えました。

私が代表取締役に就任したのは、2015年。会社はこれまでの、「株式会社ヤマカワ」から、「株式会社GRiP’S」へ。この名前は、約1年間かけて私たちの存在意義や強みを社員たちと考えて作り上げた名前です。

社員が作った新社名とともにGRiP’Sとして再出発

ーーあらためて、存在意義を考えることとなったきっかけは何ですか?

株式会社GRiP’Sへと社名変更を遂げ、再出発した私たちの当時の心境は、もはや同じ目標を胸に抱く同志そのものでした。私自身も代表取締役に就任し、さらなる新境地へと会社を進めていく想いでいっぱいでした。企業の存在意義をあらためて考えることが、こんなにも何ものにも代えがたい挑戦心や情熱を生み出すのだと実感したものです。

企業の存在意義について深く考えたきっかけは、ピーター・ドラッカーの「5つの質問」と出会ったことです。まさに、「『われわれの使命は何か』を問い、その問いに対する答えを考え、明確にすることによって成功がもたらされている」との言葉通り、GRiP’Sも明確にした存在意義を共有することによって、強固な集合体となったのだと感じています。

ピーター・ドラッカーと5つの質問について

「経営学の父」と呼ばれ、書籍化・アニメ化もした「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のモデルとなった人物がピーター・ドラッカー。

「われわれの使命は何か」「われわれの顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」「われわれの成果は何か」「われわれの計画は何か」の5つの質問を繰り返し徹底的に考えることで、優れた持続可能性の高い事業や経営の成功が高まるものと言われている。

ーー社名変更、代表就任を経た後、何か変化はありましたか?

2015年以降、新規事業として保育園事業が発足しました。社会における認可保育園の待機児童の問題はかねてより取り上げられていましたが、GRiP’Sにおいてもその問題は決して他人事ではありませんでした。社員の中には女性も多く在籍しており、持続的な将来のビジョンを描きにくいという悩みは深刻です。また、会社にとっても育児との両立が難しいために退職を余儀なくされる者が出ることは貴重な存在を失ってしまいかねません。そんな背景もあり、保育園事業に参入しました。

社会問題を自分ごととして受け取り、事業を始めてみたものの、実際は、誰も経験したことのない領域のビジネスです。一つひとつの課題をクリアしていく必要があったわけですが、そんなとき幹部社員の存在は本当に頼もしかった。社名を共に考え、世の中に求められることを推進する滋賀の企業でありたい、という共通認識を持つ私たちは、新規事業に臆することなく果敢に挑戦しました。本当に社員のみんなには感謝しています。

GRiP’Sの誕生から成長へのステージとなった今、滋賀県へ貢献するために果たすべき使命

ーー今後のGRiP’Sの展望をお聞かせください。

これからのGRiP’Sを考えたとき、私たちは社会が求めていることをキャッチして、真っ先に手を挙げ続けられる企業でありたいと考えています。そのために最も大切なのは、「人」。世の中に必要とされる事柄を的確に捉え、なおかつそれを実行していける「人材」の宝庫のような会社にしていきたいのです。そうすれば、私たちにとって身近な社会である滋賀県で、もっともっと役に立てることがある。ここ滋賀県での法人営業の顧客数は累計600社以上、ドコモのマイショップは20万人が登録しています。ドコモショップも地域の中に根ざした店ばかり。私たちの店舗は単なるショップではなく、コミュニティスペースとしての役割をも担っていると自負しています。

何においても情熱を持って目の前のことに取り組み、事業を推進していける力を持つ人材の育成こそ、社会の役に立つと確信しており、それこそ私が今GRiP’Sで果たすべき使命と感じているんです。

現在、社員の9割は滋賀県民。私自身も滋賀県に多くを学ばせてもらい、育ててもらったと思っています。だからこそ、何か滋賀県で貢献できることに携わっていきたいですね。GRiP’Sでは、自分の力を発揮したい、もっと社会に貢献したいという人たちが活躍できるフィールドや体力を持っていたい。時代もまだまだ変わっていきます。それは当たり前のこととして、これからもそういう変化を楽しみ、チャンスと捉える人たちとGRiP’Sの使命を体現していきたいです。

株式会社GRiP’Sでは一緒に働く仲間を募集しています
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