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非アニメーターが、大好きなアニメ業界で働いて気づいた、3つの楽しさと苦労

「好きを仕事にする」という生き方には賛否両論あります。「好きなことを仕事にすれば四六時中好きなことだけを考えて生きていける」と考える人と、「好きなことが仕事になると息抜きできる時間がなくなる」と考える人がいるからです。

どちらも理解できますが、これまでの僕は完全に前者の人間で、好きなことの方がモチベーションが上がって成果も出るし、成長も早くなると感じています。

僕にとっての「好きなもの」は、アニメです。少年時代からアニメは好きでしたが、大学時代以降ひとり暮らしになってからは、深夜系のアニメまで幅広くアニメを観るようになりました。例えば今クールは12本のアニメを観ていて、今年はアニメ映画を観に10回くらい映画館に足を運びました。

画像:今年手に入れた宝物。名探偵コナン『天国へのカウントダウン』のセル画

そんな僕ですが、絵心は全くないので、仕事としてアニメ業界に携わるなんてことは一生ないと思っていました。けれど今、自分は何かのご縁があってアニメ業界で働いています。

今日は、僕がToon Boomという会社でアニメ業界の一員として自分の強みを活かせるポジションを運よく見つけて、実際に1年弱働いてみて気がついた、3つの楽しさと苦悩についてシェアします。

前提知識:現在私はToon Boom Animationの日本支社でマーケティングをしています。Toon Boomは、アニメ制作ソフトを開発・販売している会社で、北米や南米、欧州やアジアなどの海外地域では非常に高いシェアを誇ります。Wantedlyでは記事公開時点で、ソフトウェアトレーナーと新規営業を募集中です。

非アニメーターが、大好きなアニメ業界で働いてみて気づいた楽しさ その1

まずシェアしたいのが、変革期のアニメ業界で働けることの楽しさです。

そもそも、僕が今のアニメ業界を「変革期」だと思う理由は3つあります。業界歴が浅い僕なので間違っているところもあるかもしれませんが、自分なりの視点で簡単に説明してみます。

①配給方法および視聴スタイルが、大きく変わっている

NetflixやAmazon Prime、huluやYouTube Premium、Apple TV+にDisney +など、アメリカの大きな動画配信プラットフォームがそれぞれの思惑で、世界中のコンテンツに対して投資の姿勢を強めています。それに対抗する形で、日本国内のプラットフォームも様々な形で映像作品を定額制で配信するようになりました。

それと同時に、DVDやBlu-rayの市場は毎年減少傾向にあるので、アニメスタジオやクリエイターは、新しい視聴スタイルにアジャストしていかなければならない側面があります。

②作り手の高齢化と、働き方改革

実は、アニメ業界にも高齢化の流れがあります。社会全体で若者が少なくなっていることも理由のひとつですが、別の「若者がアニメ業界で働きたがらない理由」があるとすれば、それは「アニメ業界は辛くてお給料が安い・・・」という風潮があることも挙げられるでしょう。

その実情は、スタジオやその人の腕によってももちろん違いがあると思いますが、今のうちに業界で対策をとっていかないと、数年後にはカルチャーの存続に関わる問題に発展し得ると、僕は考えています。

③デジタル化の波

そもそも、まだ多くのアニメ会社が紙にペンで絵を描いて成り立っています。これまでデジタル化は全く進んできませんでした。その背景には、「紙とペンだからこそ出せる味がある」という考え方があって、おそらくそれは正しいので、一概にフルデジタル化が正しいとは言えないのが他業種と異なるところですが、それでも①②の現状を踏まえれば、もっともっとデジタルの良さを取り入れて効率化していかなければならない部分もあるのではと感じます。

このように業界全体が大変革を迎えるタイミングで、海外で人気の高いソフトウェアの開発会社で、日本市場に対してそのソフトの魅力を発信していく仕事をするというのは、非常にやりがいがあります。もしかして、自分の打ち出したメッセージがアニメーターの心に響いて、彼らが「一回使ってみよう」と思ってくれたら、ゆくゆくは業界が変わるかもしれないわけです。

めっちゃやりがいがあります(二回目)

非アニメーターが、大好きなアニメ業界で働いてみて気づいた楽しさ その2

Toon Boomはカナダ本社の会社です。海外での実績が豊富なので、世界中のスタジオと非常にたくさんの繋がりがあります。

Toon Boomのツールは海外における2Dアニメーション制作の標準ソフトとも言えるため、例えば日本でもう少しユーザーが増えてこれば、海外のスタジオと共同でコラボレーション企画ができるようになったりします。海外から日本のアニメ会社への発注や、日本のアニメ会社から海外の会社への発注など、相互にビジネスが行き来するようになるはずです。

日本はもう、すっかり人口減少の国ですので、国内市場は確実にシュリンクしていく中で、僕が大好きなアニメカルチャーを未来永劫続かせていくためには、市場を海外に広げねばなりません。きっと、ツール面で海外とコラボレーションしやすい状況を作っておくことは、これからの備えになると考えています。

僕の場合、カナダに4年間住んでいたという経緯もありますが、日本のカルチャーを海外に広げていける可能性がある仕事をしていきたいと思っています。そして今、このタイミングで大好きなアニメ業界の国際化にも関われる可能性があるというのは、とてもエキサイティングです。

非アニメーターが、大好きなアニメ業界で働いてみて気づいた楽しさ その3

最後に、これは単純すぎますが、大好きなアニメ業界で働くことができるということそのものに幸せを感じます。

いろんなスタジオを訪問して制作現場を拝見して、「あの作品がこの現場で作られた!!」なんてことを教えてもらうと、素直に嬉しく楽しく感じます。監督やアニメーターさんに会えば、この方があの・・・!なんて心の中で思っていることが、よくあります。

画像:今、大ヒット中の『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』監督、まんきゅうさん(左)と僕(右)

こんなこと言うとミーハーでちゃんと仕事をしてないように思われてしまうかもしれませんが、やっぱりアニメは元々、僕が毎日観てきて大好きなものですし、抑えても嬉しくなってしまいます。

そして、「自分の好きなアニメを作ってくれているこの人たちが、少しでも働きやすくなるように、道具の面からサポートしなければ・・・!」と思って、それを原動力に働いています。

非アニメーターが、大好きなアニメ業界で働いてみて気づいた苦労

他方、非アニメーターの自分がアニメ業界で働くわけですから、苦労がないわけではないです。

一番は、自分がこの業界で働いた経験がないということです。自分たちのソフトがアニメーターさんにどのように活用してもらえるのかを深く理解しようとすると、やっぱり業界について、そしてソフトについてかなり深く理解しなくてはならないのですが、アニメの制作工程はなかなか複雑で、会社によっても全然違うので、前提知識を得るのだけでもひと苦労でした(まだまだ修行中です)

とはいえそんな時でも、好きな業界のことだからこそ業界研究すら楽しめるという利点も感じます。アニメ業界のことを楽しみながら勉強できる方法といえば、やっぱりアニメ『SHIROBAKO』は必見です! それが全てではありませんが、基礎知識が得られるでしょう!

まとめ

ということで、僕なりに「好きを仕事に」してみて経験したことをまとめてみました。

半分は単純に好きなことを仕事にした話で、もう半分は今のアニメ業界で働くことに関する話になっちゃったかな?わかりにくくなってなければいいんですが。

最後に、Toon Boomでは人材採用をしています。ソフトウェアのことを学んで、アニメーター達にトレーニングする仕事と、新規開拓営業の仕事があります。どちらも、アニメ業界経験者だとすぐに仕事に入れるという面はありますが、単純に「今はSE(営業)でお客さんいソフトの説明をしてるけど、好きなアニメの業界でアニメソフトの説明をすることを仕事にしてみたい」とかでも結構フィットすると思います。

正直、簡単な挑戦ではありませんが、めちゃくちゃワクワクする仕事ではあります!興味ある方がいたら、とりあえずオフィスに遊びに来てくださいね。お話ししましょう!

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