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『キャリア教育は、まちづくり教育』、教職員研修会で提案したこと

昨年に続き、都農町の小・中学校全教職員研修会でお話をさせてもらいました。

今年は、具体的に4月から総合学習の時間を使って年間15時間のプログラム「つの未来学」と、職場体験プログラム「つのワク」を中心に、学生たちと接点が増えたため、昨年よりリアルな提案。

1. キャリア教育は、まちづくり教育

①学生の課題

都農町に限らず、地方の1万人の規模の町では、中高生全員が都心の大学や企業に行くわけではありません

自分の町に家があり、なじみもありますが、仕事がないので町の外に出ていきます。

東京や海外など、見聞を広めたい人は、どんどん外に出て行くべきと思いますが、特に外に出ていきたいわけではない人たちが、町に仕事がないのでやむを得ず、出て行ってしまうのは解決したい課題です。

町で仕事を探そうにも、会社を知らない起業の術がわからない

②町の課題

農業をはじめ、各事業所は人手不足で、後継者不足。まちづくりにおいて、若者の確保・定着が重要課題にもかかわらず、案外、事業所と小・中学生の間でも接点はほとんどないのが現状です。

そんな課題を解決するために、小・中学生が参加・体験というレベルではなくまちづくりの主体として、まちに不可欠な「仕事」のあるまちにしていくことが必要です。

③解決するために

僕らは2つのプログラムを企画提案、スタートをきりました。

・町の会社を知るために:「つのワク」
・町で仕事を創るために:「つの未来学」

1万人の町の学生に、意外と選択肢としてないのが「地元で働くこと」

キャリア教育とは、将来の選択肢をたくさんつくって、選ぶこと

1万人の町のキャリア教育では、自ら地元で働く選択肢もつくれるよう、当事者として「仕事のあるまち」をつくっていくことが必要で、実現のプロセスついて学ぶこと=『まちづくり教育』なのではないでしょうか?

2. 事業所にもメリットのある職場体験「つのワク」

せっかくの職場体験を、受け入れる事業所にとっても意味あるものにすることが、まちづくりにつながることになると思い、都農で働くことにワクワクするプログラム、「つのワク」を企画・実施しました。


これまでの職場体験は、日頃、事業所と接点の少ない先生たちが、忙しい時間をぬって、事業所に受け入れ要請をすることは難しく。

事業所側も人手の少ない中、体験を受け入れることは大変で。

とはいえ、キャリア教育にとって大事な「社会を知る」「かっこいい大人と出会って刺激を受ける」という意味で、「職場体験」はもっとも効果がある手段だと思います。

そこで、僕らは、学校を代行して、事業所を開拓し、受け入れ交渉をしました。

もうひとつ、事業所にとってもメリットの出る体験企画と事業所のPRを企画・コーディネイトしました。


全30社の事業所を個別に訪問し、事業所の経営理念や経営者の思い、中学生に伝えたいことを引き出し、こちらからは、職場体験の趣旨や、新しくチャレンジしたいこと、中学生に伝えて欲しいことを提案。


30社、それぞれに、中学生たちへのメッセージをいただきました。

都農町の場合、面白かったのは、事業所同志、ほとんど知り合いなので、他社が何を言ってたのか?健全なライバル意識が働き、結果的に他社にはない独自のメッセージをいただけました。


事業所にメリットが出るよう、30社を一覧でき、各社の経営・事業内容や、体験内容をまとめたWebサイトをつくりました。

事業所単体のホームページが都心ほど充実していない町においては、中学生向けではありながら、同時に、町民や取引事業者、移住希望者にとっても見てもらえるページになって、事業所のPRや採用活動に効果がでるといいなと思ってつくりました。

つのワク | 都農で働くことにワクワクする「つのワク」は、中学生が職場を体験するだけでなく、都農町に魅力的な事業所、経営者がいることを体感することで、地元に残って働tsunowaku.com

体験当日は、各事業所共通のテーマで依頼していた「仕事を楽しむ3カ条」を含めた経営者の思いからはじまり、仕事のオリエンテーション。


初日の体験が終了後、町でタブレットを配布している強みを活かして、30事業所に分散した学生たちがZOOMで対面

各事業所でどんな体験をして、翌日はどういう提案をするかなど、ざっくばらんに話しました。

中学生たちは学校外でZOOMでつながるのは、ほぼはじめてだったので、デジタル体験という意味でも、有意義なひとときに。


「つのワク」のもう一つの特徴として、単に受け身で体験するのではなく、中学生なりに改善提案をすることを最終日のゴールとし、提案のために仕事内容を知り、体験することとしました。


今後の「つのワク」では、最終日に、30事業所に学校へきてもらい、学生たちと30事業所が一堂に会せる企画を進めています。

3. リアルなまちづくりと連動した総合学習「つの未来学」

各学年の総合学習の時間、年間15時間を使い「つの未来学」と称して、1つの地域課題テーマを当事者と考え、解決アイデアを出し、アクションまで起こすプログラムを企画、実施中です。



2年生のテーマは「気候変動対策」


3つの課題の解決アイデアについて、それぞれ100個ずつアイデアを出し、最終的に10個のプロジェクトチームが結成されました。




中学校と同じテーマを、小学校ではレゴ®︎シリアスプレイ®︎のメソッドを活用したワークショップで実施。

小学生たちなりに、温暖化、二酸化炭素の削減についての理解を深めて、解決アイデアをレゴブロックで表現しました。




小・中学生における、気候変動対策アイデアの話を町長や町議会に共有、その後、町としても2050年に向けて『ゼロ・カーボン宣言』を出し、具体的なアクションを小・中学校と共同で進めていくことに!

まさに学生発の政策提言につながってきていると思います。

これから年末に向けて、小・中学生の選抜メンバーで、町議会の本会議で政策提言をできるレベルまでブラッシュアップしていく予定です。


4. まちづくり教育に必要なこと

昨年100周年を迎えた都農町では、これからの100年に向けてのグランドデザインを作成中、町民とのワークショップを20回、予定しています。


小・中学生や、学校の先生たちも、キャリア教育の一貫として、ワークショップに参画したり、リアルなまちづくりの課題を一緒に考えていってほしいものです。

子どもだから体験、という大人目線、上から目線ではなく、フラットに同じ土俵で考える週間づけをしたいものです。

都農東小学校でのワークショップについての子どもたちの発言は、大人よりも本質をついてるな、と思えるところもあり、おおいに期待したいなと。


少なくても、日本人の平均年齢は40代半ば。ゼロ・カーボン時代となる2050年に40代半ばになる世代は、いまの小・中学生になります。

2050年のまちづくりを考えるのであれば、小・中学生が主役、主体的に参画すべき!と思う理由です。

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