1
/
5

本質を突いたクリエイションをするために私たちがすべきこと。地方創生ブランディング事例をもとに語るノングリッドらしさとは


観光を軸にした地域振興の組織「一般社団法人富山県西部観光社 水と匠」の法人立ち上げに際して、ノングリッドがブランディングをサポートしました。

本案件制作の裏側、また自社の強みについて社内インタビューを行いましたので、ぜひご覧ください。

インタビューメンバー:小池博史(Creative Director)・矢口愛子(Producer)


きっと良いものがつくれる。そう土地の魅力を感じ取ることがクリエイションのはじまり

- 今回の制作領域を教えてください。

矢口:まずは法人設立の記者発表に焦点を当て、CI/VI、コンセプトムービー、ブランドサイト制作や使用素材の撮影のほか、名刺や封筒、レターヘッド、営業資料といったロゴを使ったコミュニケーションツールも制作しました。「水と匠」というネーミングやコンセプトはクライアントの事業戦略として決定しており、ノングリッドでは、現地でのフィールドワークを経たのち、半年以上の長い時間をかけてブランディングをお手伝いしていきました。

またその後、渋谷ヒカリエで開催されたイベント会場の制作も手がけました。


- 観光法人のクライアントと共創するうえで、心がけたことは何でしょうか? 土地の魅力を伝えるためにまずどのような部分から着手しましたか?

小池:はじめ依頼のご相談をいただいた際、実は富山県西部地区についてあまり詳しく知らなかったんです。これまでノングリッドでは、自社ブランドの「Why juice?」のほか、奥能登国際芸術祭関連プロジェクト「おくノート」山梨県北杜市のブルワリー「うちゅうブルーイング」など、地域に根ざしたブランディングやプロジェクトのお手伝いに多く携わってきましたが、そのなかで、まず土地を知り、土地の人との関係性をつくらなければ真の魅力を知ることができないと、強く感じていました。表層だけのクリエイティブではその土地に住む人びとの想いも伝わらないし、我々含めたブランディングに関わるクリエイターがその土地を正しく理解していない状況があるなかでクリエイションをするは、とても難儀なこと。そこでお仕事をお引き受けする前に、現地へフィールドワークに出向くことにしました。旅に近いですね (笑)。

現地を訪れてみると、山と海からの恩恵を受けた、素晴らしい土地であることがわかりました。古くより鋳造、木工品や和紙づくりといった職人文化が息づく街である富山は、風土、食、工芸から民芸まで、広めたい魅力や価値がある土地だと、胸に響くものがありました。

矢口:フィールドワークから帰った小池に話を聞いた時、自分たちの感性とあっているなと確信に近いものがありました。かつて思想家の柳宗悦がこの土地に滞在し、土地がもつ価値を「土徳(土地とそこに暮らす人々からのいただきもの)」と言葉にしたそうです。この言葉の意味を理解し、国内外に広めていくためのクリエイティブをつくるというのはとても価値のあるプロジェクトだなと。

小池:それをいいと思えることが、ノングリッドの感性ですよね。素材が良くても料理できない人もいるじゃないですか。





責任と自信があるから最良のアウトプットができる。クリエイターとの信頼関係を大切にしたチームづくり

- 魅力を伝えるうえで心がけたことはなんでしょうか?

小池:まずは素材がいいことを素直に伝えたい、それが大前提と思いました。あまり脚色せず真摯に伝えていこうと。ノングリッドは多彩なクリエイターとの関係性をこの20年で構築していますので、クリエイターとのリレーションでつくる深度をふかめたアウトプットには自信をもっています。今回の写真と映像はノングリッドのパートナーであるビデオグラファーのShu Kojimaさん、アートディレクターに清水彩香さんを迎え、土地の魅力の共有をしていきました。

クリエイティブの質は、もちろんクリエイターの力量でも左右されますが、ノングリッドとしてはパートナーを選ぶ責任があるとつくづく感じています。基本的にクリエイターはクセがある (笑)。でもそこをどんな案件でどう生かしていくかは、クリエイティブを先導していく我々の使命だと思っています。

矢口:クライアント含めいいチームづくりができましたよね。私はそこから実制作でのプロデュース、ディレクションをおこなったのですが、クリエイティブをつくっていくなかで、クライアントのリクエストとクリエイターの意向との調整は、いつも慎重に進めているところ。例えば観光目線で見せたいものとクリエイターの視点で切り取りたいものに相違が生じた際に、クライアントサイドにはクリエイターの感性や意図を分かりやすく伝えること、クリエイターサイドには設定したターゲット等マーケティングに基づくファクトに理解を寄せられるよう説明すること、双方が納得しやすい伝え方をすることは、ベストな着地点に導くうえで注力しています。ノングリッドの強みのひとつであるアーティスティックな表現は、いわばアーティストに近いクリエイターとの関係で生み出されるもの。納得し進めていくことや信頼関係が重要といつも感じています。

半年に及んだプロジェクトでしたが、先ほども話した土地の魅力への理解に加え、密なやりとりを行うことはとても大切で、ベストなアウトプットに導くために意見交換ができるクライアントとの関係づくりも、常に意識しているところです。


- アウトプットで一番見せたい部分はどこでしょうか?

矢口:やはりムービーですね。これは法人設立の記者発表の冒頭に流されたのですが、現地のメディアや行政関係の方にいただいた「感動した!」という言葉や大きな拍手が記憶に残っています。現地の方々にいいなと思ってもらうことは、とても嬉しく、ほっとする瞬間でもあります。

その他にも、ウェブサイトでは、ターゲットとしているクリエイティブクラスター層に響くように、ひと目で土地の持つ資産がわかるようカテゴライズしたり、その土地の魅力をリアルに伝えるルートマップを用意するなど、デザインやコンテンツ面で工夫をしています。また、現地で運用していくなかで、質が担保できすようなデザイン設計もされています。



ノングリッドらしいクリエイティブの肌感をもって、人びとの生活や心が豊かになる手助けを

- ノングリッドのメンバーはクリエイティブをつくるうえでの感覚や肌感が似ているような気がします。

矢口:今回のように地方創生の案件となると、事実、私も知らない土地にクリエイターを引き連れていくことになるわけですが、その際も不安が少ないのは、先にフィールドワークに行った小池に対し、信頼と共感があるからかもしれません。こういう魅力があってこうしたら魅力を伝えれると思うんだってことに対して、いいなと思える。感性が近いことはチームの財産でもありますし、楽しく仕事ができると思います。自然や食、人や土地、ものづくりなどに、無頓着な人はいないですね。

小池:そういう意識はついたし、するようになった気がします。育ってきたのかもしれません。

矢口:ブランディングの仕事って型にはまったものではなく、開拓され創り上げていく過程に変化が伴うので、臨機応変な対応や柔軟性が求められます。そんななかでも、うまく立ち回っていくことで得られるクライアントやクリエイターからの信頼はやりがいのひとつ。こういった仕事を前向きに捉えらえる人や、自身の経験値を活かしつつものごとの変化に臆せず取り組める人が仲間に加わってくれたら嬉しく思います!


- 人びとの生活や心が豊かになるにはどのようなフックが必要で、ノングリッドがそのようなクリエイティブの創出を行う社会的役割・意義的な部分とはなんでしょうか。

小池:実は最近、ステートメントをブラッシュアップしています。ノングリッドのメンバーには、社会課題に対して意識高くいてほしいと思っていて。それは、社会で起きている課題は自分たちの生活に直結した課題であり、かつクライアントも同じ様に悩みを抱えているためです。そこを我々ならではの解決策で取り組んでいきたいと思っています。このような理解がないまま、クライアントのリクエストに対応するだけといった本質をついていないクリエイティブは、見た目で終わり。社会課題とクライアントとの課題とを解決することで、最終的に自分たちの生活も世の中も豊かになってくる。そこをすごく意識して欲しいし、いまいるメンバーは意識してくれていると思っています。

株式会社ノングリッドでは一緒に働く仲間を募集しています
10 いいね!
10 いいね!
同じタグの記事
今週のランキング