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連続エッセイ『FICに入って一ヶ月の新入社員が見たもの』第二回

著:8月1日入社の社員

<第一回>


普段は静かな午前の業務だが、この日は朝からミーティングもあった。
衝立で仕切られた会議室で顔合わせが行われ、資料が配られ、
ファシリテーターのよどみない説明と共に業務改善のプレゼンが行われる。

「いいですね、そのフォーマットは利用しましょう」
「月末月初は忙しいですから、第二週をめどにお願いします」

誰もが明快な話し方をするので、速やかに打ち合わせがまとまり、
ミーティングはあっという間に終わる。

会議は言いづらい不満とだらだらした説得とで長引くものという固定観念の真逆を行く、
サクサクとした歯切れのよい打ち合わせである。

無駄話などで誰かの邪魔をする人のいない環境は、
社員の平均的なモラルの高さによるものだ、と私は思う。
FICの社員は、皆そのモラルが非常に高い。

能率的に仕事をすること、自分の職分を守ること、
「丁寧に役目をこなす」というプロ意識。
それらを一人一人が自分のものとして内面化し、守っている。
かと言って窮屈なわけでは決してない。

グループウェアを使った連絡では平社員も役員も問わず、
フランクな絵文字が飛び交い、
打てば響く活発な意見が今日も交わされている。

成果物に対する鋭い、しかし陽気なレビューがぽんぽん飛び出す環境は、
それだけで新入社員の私のモチベーションを高めてくれる。

積極的に提案し、忌憚ない意見を述べ、明確な決定を下す。
ともすれば苦手としがちなこれらの行為を、自然と身につけさせてくれる、
そんな雰囲気がFICにはあるのだ。

これが会社の理念としても掲げられていた「人間力」だろうか。
ミーティング後におまけとして行ってもらった
新入社員向けレクチャーを聞きながら、私はふと思う。

そうこうしているうちにお昼の時間になった。
めいめい速やかに仕事を片付け、一時間の休憩に入る。
コロナ禍の今、FICのお昼は業務中にも増して静かだ。

それぞれの席にお弁当を広げ、
あるいは近くのスーパーにお昼を買いに出て、
スマホを眺めたりとくつろぎながら黙食にふける。

お昼の一時間は業務の連絡は一切せず、皆お互いの休憩時間を尊重する。
週の後半ともなると流石に疲れが溜まっているので、
お昼を食べた後は三軒先のコンビニにコーヒーを買いに出た。

昼下がりのドライヤーのような熱風が顔をなでる。
涼しい店内に入ると、新しく設置された検温センサーが迎えてくれた。

蓋付きのアイスコーヒーと、ブドウ糖補給のためのラムネを選ぶ。
そのうちキャラメルラテやココアなんかを買ってみてもいいな、
などと考えながら、私はオフィスに戻った。

<第三回に続く>

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