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【Podcastインタビュー#4 菊池聡さん】海外と比較して見えた日本のUXデザイナーの課題と未来

クリエイティブやデジタルの世界で活躍されているスペシャリストにお話を伺うエイクエント ポッドキャスト。第4回のゲストは、Webサイト制作のスタンダードである「レスポンシブWebデザイン」を日本に広めた人物であり、現在日本でUXデザイナーの価値向上のために活動されている、菊池 聡さんです

こんな方に特にオススメのエピソードです:

・UXデザインやデザイン心理学に興味がある
・UXデザイナーの仕事内容やキャリアパスが知りたい(日本と欧米との違い)
・エイクエントで
UX関連のウェビナー講師をしている菊池さんについてもっと知りたい!

エイクエントのマーケティング担当の藤澤と、東京オフィスのエージェント島巻の2名でお話を伺いました。

菊池 聡さんのご経歴

アメリカの大学でマーケティングを学び、在学中に起業。日本とアメリカを行き来する生活の後、日本に帰国しデザインやコーディングにハマり、UX第一人者でもあるニールセン・ノーマン(Nielsen Norman Group)でUX資格を日本人で始めて取得。

現在は、ウェブディレクションズイースト合同会社代表として、Webサイト制作やUX戦略のコンサルティング、また国内外でUXカンファレンスやイベントを運営したりと、日本でUXをさらに広め、またUXデザイナーの価値を上げるために活動されています。

日本のUXデザイナーのキャリアパスを作りたい

-- まず、UXって何なんでしょうか?

UXはユーザーエクスペリエンス(Use Experience)なので、そのままユーザーの体験そのもののことで、プロダクトやサービスを使ってユーザーが感じたり考えたりすることをひっくるめてUXと呼んでいます。

-- 菊池さんは今どんなお仕事をされているんですか?

お客様のアプリとかウェブサイトのUXやUI(ユーザーインターフェイス)が、それを使うユーザーに合っているのかを検証したり見たりして、フィードバックをする仕事が多いですね。

あとは、サービスやプロダクトをデジタル展開したいけどどうしたら良いの? という企業へ、ゼロからスタートするためのサポートもしています。

-- 菊池さんはエイクエント主催のUXウェビナー講師もしていただいていますよね。いつも2時間みっちみちのワークショップで、「無料でここまでしてくれるのか!」という参加者からのフィードバックもいただいています。いつもありがとうございます!

いえいえ。

-- 国外のUX領域のスペシャリストとのコネクションがすごい広くて、菊池さんの原点はアメリカにあるのかな、と思っているのですが、アメリカの大学ではどんなことを学ばれたんですか?

最初アメリカではビジネスマーケティングを勉強していました。当時1994年くらいは日本ではマーケティングという学問が探してもなくて、じゃあアメリカに行こう、という流れだったんですよね。

-- 在学中にアメリカで起業した勇気がすごいと思うのですが、起業のきっかけは?

自分もともと車に乗っていて、改造していたんですけど、日本製のパーツを中国人から買うっていう。メイドインジャパンなのになんで中国に人から買うの? 日本語ができる自分が直接日本から仕入れたらビジネスになるよね、と考えたのが始まりでした。

-- 何年くらいやられたんですか?

5,6年やったかな。

-- なぜ会社を辞めて日本へ戻ろうと思ったんですか?

当時デジQという車のおもちゃを日本から輸入していたんですけど、クリスマス前に送ったコンテナが税関を通過できなくて間に合わず、在庫を抱えてしまった。そこで在庫商売きついな、在庫ない商売なんだろうというので、じゃあWebやろうと思ったんです。

-- そこでWebが出てくるんですね。そこからまたアメリカに渡ってUXを学ばれるまではどんな経緯だったんですか?

当時は山梨の弟の家に居候してHTMLとCSSを独学でやっていたけど、自分のレベルがわからなかったんですよ。それを使って働いたこともないし、見よう見まねでECサイトを作ったりしていたから。なので東京の講座を受けてみようと思って、そこの学校の先生が辞めちゃって後釜として僕が講師になった。

当時僕はマイクロフォーマットという書き方が好きで勉強していて、海外の本を書いている人と連絡するようになったんです。その人と日本で一緒にイベントをやろうか、となって「ウェブディレクションズイースト」というカンファレンスを開催するようになったんです。

で、その第1回目のスピーカーが「UXロンドン」というイベントをやっている人で、彼に2013年ごろから「日本でUXのイベントやらないか?」と誘われていたんですよ。でも自分がUXのことをわからないから、ちょっと待ってくれ、学ばなきゃ、と思い、UX第1人者のニールセン・ノーマンで学ぶことにしたんだけど、当時はオンラインコースなんてなかったので、各国を回ってコースを受けることになっちゃいました。

-- どのくらいの時間かけて(そのUX資格を)学ばれたんですか?

結局2年かかりましたね。復習とかものすごく大変で、テストは85%以上とか取らなきゃいけなくて。

-- どんなテスト? 筆記? 実技?

全部マークシートなんですけど、「当てはまるもの全て選べ」みたいな感じで、よく問題が練られていて難しいです。ロープレは講座の中であって、チームで別れてワークショップの中では一緒にやるけど、最後のテストは筆記のみでした。

ジャーニーマップが書けることよりも、ベースの心理学を

-- アメリカでは資格があることで就職や仕事をする際に大事になってくる?

インターンやジュニアレベルにとっては、資格があったほうが入りやすいと思います。Amazonの人とちょっと話した時は、その彼はそこでインタラクションデザインを学んでからAmazonに入ったと言っていました。ここ最近はいろんな大学でやっているから、大学でHuman Interactionとかを学んだ人がGoogleやFacebookにどんどん入っているけど、もし資格がなかったり大学で別のメジャーで学んだ人とかは資格があると良いと思います。日本はそういう資格とかがないですよね。

-- そうですよね。この資格があれば、みたいなのは特にないですよね。

そう、だから基礎で学ぶことが抜けている、と思うことが日本ではよくある。例えばニールセン・ノーマンは教授が認知心理学の方なので、認知心理学を最初でよく教えられるし、GoogleのUXサティフィケーションも、認知心理学からスタートしているっぽいですね。

だから、世の中の方がジャーニーマップとかなんとか言っているのは本当は基礎じゃなくて、本当はアメリカではサイコロジー(心理学)とかを基礎にして、その上にジャーニーマップとかを積んでいる。だから正直言って日本でUXデザイナーの方達と話をしていても話が噛み合わないことがあります。認知心理学を学んでないから。

-- どんな風に合わないのですか?

例えば、どうしてここにボタンを置いたのか、なぜこの色なのか?というのが説明できない。ストーリーや理屈がなく、「この方が目立つから」とか感覚で話しているように感じてしまうから説得力がない。海外だと絶対、「なぜそうしたの? それを裏付ける理論はあるの?」と聞かれる。「僕がこう感じたから」だとただの君の意見。

だから、ジャーニーマップができる、とかは特にジュニアレベルや入って4、5年目のUXデザイナーにとってあんまり重要ではないかな。ただ日本ではそこにフォーカスされている、というのは感じます。

-- 日本ではUXデザイナーになりたい人はどうやって学べば良い?

学校では芝浦工大や産業能率大学でクラスがある、と聞いたことがある。学校として勉強するのはすごい素晴らしいことなんですが、それがリアルな世界でどこで使われているか教えているかまで教えているかは僕は定かでないので分からないです。実際にどこでどう使われている、というところまで教えてくれていると良いですよね。

-- 菊池さんが教えてくれたら良いのに。

そう、そうなんですかね。でもそういうのがあったら良いのに、とは確かに思いますね。本当は一つの理論を勉強したら、実例とかでそれはこんなことに使われていますよ、というのもセットで学べると良いですよね。例えば最近Amazonのボタンがピル型に変わったのですが、その実例を理論とセットで教えてあげれば生徒は実例を見てるから忘れないしそれを応用できるようになるんですよ。

-- UXの理論を学びたい方は、エイクエント のウェビナーに来てもらいたいですね!

そうですね。

「困っている人がいるから」作った商品はヒットする

-- 日本とアメリカンのUXデザイナーの仕事内容に違いはありますか?

僕の主観ですが、日本はシステム開発・ウェブ開発とか作ることに興味があるけど、ユーザーの抱えている問題を探すのが苦手。ユーザーリサーチの量が少ない気がする。リサーチしてもそれで終わりとか、出てもグラフィックな情報を出してくることが多いです。

「うちのお客さんは40代の男性が多いです」、とか言ってくるけど、それってカテゴリーを自分らの視点でまとめただけで、彼らがどういう人たちか、どういう問題を抱えているかがわからないけどプロダクトを作っちゃってるんですよね、予想で。

-- どういうことを聞けば良いのか、とかどうやってそのリサーチデータを使ったら良いのか分かっていないのかもしれないですよね(耳が痛いです。。)

そうそう、そうです。例えばカメラでフラッシュを使いますよね、夜撮るとき。そのフラッシュを使う理由って何ですか? って言われたらなんて答えますか?

-- より綺麗に鮮明に撮影するため!

あ、素晴らしい、その通りなんです! これ1回目でその答え出てくるのって珍しいですよ。

大抵の人は、明るくしたいから、とか色をはっきりさせたいから、とか暗いからら、と答えるけど、本当の理由は、暗くて被写体を綺麗に撮れないから、というのが理由ですよね。でも、機能を作っているほとんどの人は、何でその機能を作っているのかわからないまま作っているんです。

この機能があって、何十代男性にヒットすると思うから、何十代むけの雰囲気にしてほしい、とか広告出して欲しい、とかいう風に物事が進んでいくんですよ。

でも、それはプロダクトありきの話ですよね。

それって不思議じゃないです? 困っている人がいないんだけど、もの作って困っている人を後から探す、みたいな感じで。本当は、困っている人がいるから、だからこの商品を作ったらいいよね、って作った商品はヒットしたりするじゃないですか。

例えばUberですよね。Uberは、バス停で待っている人たちがいて、その前をタクシーはバンバン通っているけど人が乗っていないのを見て、もしもタクシーがバスとかとほとんど変わらない料金だったらどう? タクシーより安かったらどう? というのがスタートじゃないですか。

だから、そういうような形で作れないのかな、プロダクトって? て思うことはよくあります。

UXデザイナーのキャリアパスをはっきりさせて、給料を上げたい

-- それではお時間が来てしまったので私たちから最後の質問を1つずつ。まず菊池さんが日本で達成したいことって何かあったら教えて欲しいです。

日本でUIとUXデザイナーのキャリアパスをはっきりさせたい。要は、今ってジュニアもないし、シニアもプリンシパルとかディレクターとかVP(バイスプレジデント)と呼ばれるカテゴリーが今あまりなくて、おしなべてUXデザイナーっていう括りはあるんだけどそこに差がないというか。これはUIデザイナーも一緒で。

だから求職と求人がマッチングしずらいように見えるんですよ。要はUXってバズってるじゃないですか、だから企業ってUIとかUXって人ができそうなこと全部ジョブディスクリプションに書いてきません?

-- おっしゃる通り、結構広義な意味で乱用されることがありますね。

そういうのって機会損失が多いような気がしてて、うまくマッチングできる方が良いと思っていて。あとは給料が上がった方が良い。

アメリカだとUXの初任給が600万くらいなんですよ。100万くらいの差があるんですよね日本と大体。で、その後に600-800万、1000万のところでうようよしてるんですよ、それをどうにかしたいな、と思って色々やっています。

-- UXデザイナーさんにとっても、UXデザイナーになったらこういうキャリアパスがあるんだ、って目安があると良いですよね。

そう、それがあったら、「このレベルだったらシニアレベルだから1000万出さないと人きませんよ」とかもっと言えると思うんですよ。UXデザイナー欲しいんですよ、という企業さんがエイクエントさんにきて、これもあれも・・・って話しだしたら、「これはUIデザイナーとUXデザイナー別ですよ」、「UXは御社の場合はチームを作るから、シニアが必要ですよ」、「リードUIデザイナーが必要だから、合わせて予算2000万くらいですね」とか言えるとスムーズだと思うんですけど、今ぜーんぶシャッフルした中から探しているような気がして。

「営業できて、開発できて、UIとUXデザインとHTMLとCSSできますか?」とか言われたんですよ。いる? こんな人? ていうのがあります。

キャリアパスをはっきりさせる、というのが僕が今一番考えているところです。

今後はよりビジネスを理解したUXデザイナーが求められる

-- 今後日本におけるUXデザイナーのニーズ、求められ方について菊池さんの考察は?

2015年当時は、日本のUIUXシーンは(アメリカやヨーロッパより)8-10年遅れていると言われていた。今は5年くらい遅れている。だから僕のカンファレンスは、大体5年くらい前のトピックを日本に持ってくることが多いんです。

逆に僕が5年後くらいにやろうと思っているトピック、つまりアメリカとかヨーロッパで今始まっていることっていうのは、UIとかUXデザイナーがよりビジネスを理解すること、が始まっている。

最近プロダクトマネージャーっていう役職があると思うんですが、UXデザイナーからプロダクトマネージャーに上がる、っていう人がちょっと増えてきています。それはビジネスのロジックを理解してから上がってきている。

-- よりUXとビジネスサイドの垣根を超えて繋がってきている、ニーズが高まっている?

そうですね。日本も5,6年するとそんな話がもっと出てくるんだと思います。

-- 私たちの候補者さんと今後のキャリアパスのお話をしていても、UXデザイン領域を超えてもう少しビジネスサイドにもキャリアを広げていきたい、というお話をちらほら聞くので、そいうことなんですね。

最後に菊池さんからメッセージをお願いします。

ぜひエイクエント の講座に来て勉強して、少しでもレベルアップをするのは大切かと思います!

インタビュー全編はこちら↓

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