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【新刊ができるまで】「不満」から生まれた『だから僕たちは、組織を変えていける』が「希望の書」になるまで

5万部を突破した『だから僕たちは、組織を変えていける』の編集担当・石井一穂さんの「編集日記」をご紹介します。

はじめまして。編集部の石井といいます。
この度、当社のブログで「編集者の思い」をテーマとして立ち上げるらしく、映えある第1回として選んでいただきました。
そんな名誉ある第1回ですが、ちょっと愚痴ばかりになりそうです。(広報の濱中さん、すみません!)

今回、ご紹介する私が編集担当した書籍は、昨年11月29日に発売した『だから僕たちは、組織を変えていける』です。
3ヶ月で7刷、4.5万部突破と、予想を大きく超えて多くの人に届いているのですが、この本は私自身が抱えていた「不満」からスタートした本でした。

この本に込めた個人的な想いについて、気の向くままに書いてみたいと思います。

前職の組織体制に感じた「我慢の限界」

私はクロスメディア・パブリッシングに2020年に転職しました。
現在、書籍の企画をしているように、前の会社でも企画提案をする機会があったのですが、経営者の意向が強い会社でもあり、最終決済は社長にありました。

あるとき、提案した企画が部長や担当役員の反応がよく、社長含む会議にかけられることになりました。しかし、結局その企画は社長の同意を得られずに不採用となりました。

ここまでならよくあることで、それほど気にもしなかったと思います。

でも、「これはいけると思う」と言っていた部長や役員に、「ごめん」と謝られてしまったことがショックでした。「もっとこうすればよかった」など、無理矢理にでも理由をつけてくれたら、まだ自分でも納得できる余地がありました。

でも謝られてしまうと、自分ではもうどうしようもありません。

自分は自分の役目を果たすために、良い企画を出した。
なぜ上司は、良いと思った企画が通るまで粘ってくれなかったのか。
役目を果たすことより、社内の評価を守ることを優先したのでは。

そう感じてしまったのです。

もちろん、上の人の気持ちもわかります。
数字というノルマを課されながら、そのための手段は自由に選べない。
正直、そっちの方が無理難題かもしれません。リーダーは大変です。
それに、部長も役員も人としては好きでした。

そんな好きだった人まで嫌いにさせてしまう管理主義的な組織構造や、嫌いになりかけている自分も嫌になり、2020年6月に転職しました。

組織への希望を一冊にしたい

転職して1ヵ月で企画の相談に行ったのが、『だから僕たちは、組織を変えていける』の著者、斉藤徹さんです。斉藤さんの話は、組織を諦めて転職をした私には希望のように感じました。

「たとえ現場からでも、組織を変えていくことはできる」

「そのためにはチームの関係性を高め、思考、行動へと良い影響を及ぼしていく」

「すると、やがて結果がでる。その小さな成功の影響を広めていくことで、やがて組織全体が変わっていく」

さらには、そのための具体的な手段まで体系化されていました。

「関係性の質を高めるためには、心理的安全性の向上が必要」

「思考の質を高めるためには、組織のビジョンやパーパスの共有が必要」

「行動の質を高めるためには、内発的な動機づけが必要」

ダニエル・キムの「成功循環モデル」をベースに、近年のビジネス界で注目されているワードが、実践をともなって鮮やかにつながっていました。

前職の部長や役員がこれを実践していてくれたら、もしくは、私がこれを実践できていたら、自分は組織を諦めなくても済んだかもしれない。そんな希望を感じたのを覚えています。

そもそも、リーダーシップ本は「部下をどう動かすか。どう変えるか」というものばかりです。でもそれは、「会社やリーダーの言うことが正しい」ことが前提になっている話です。

もしかしたら、ユーザーに近い現場の人や、最先端の時代の空気感をとらえている若い人たちが考えていることのほうが、正しいこともあるかもしれません。そういった声を吸い上げて、上層部や経営者を、そして組織を変えていくことも、リーダーの役割なんじゃないか。

そう感じて、そのための本をつくりたいと考えました。

「組織への違和感」はみんなが感じていた

制作はめちゃくちゃ大変でした。

ビジネス書は早ければ半年くらいでできるものがある一方で、本書は1年5か月かかっています。原稿も第12稿まで磨かれていきました。制作過程については、また別の機会にでも書いてみたいと思います。

そんなこんなで、本書は2021年11月29日に発売したところ、発刊後の反響は予想以上でした。Amazonなどに投稿された読者の声をいくつか紹介させていただくと、こんな感じです。

「現場の一人からでも行動を起こせる。経営者の考え方を変えられる。その勇気を促してくれるバイブルです。」

「働き方や生き方に悩みを抱えている人にとって大切な本になると思います。」

「心理的安全性の大切さ、自分にとっての仕事の意味、自らの内面を変えること等、これからの生き方を変えるための金言が詰まっています。」

「超ハイレベルな組織理論と実践がまとまりながら、分かりやすい語り口と柔らかく優しいイラストで敷居を下げてくれています。」

「組織について、もう絶望しかないと思っていた私に少し光を見せてくれました。」

「変わらなくちゃいけない、変えなくちゃいけない。そう思ってるけど周りが動かない。自分だけ悩んでる。そんな私に希望を与えてくれる本でした。」

「ただのノウハウ本じゃない。まさにバイブル。組織改革の「すべて」が詰まっている。久しぶりに良いビジネス書に出会った。各章、読み応えがある。」

とくに意外だったのが、経営者の方々からも賛同の声をいただけたことです。社員数数万人の大企業もふくめて、本書を読んだ多くの経営者から、著者に講演の依頼が来ています。

なんだ、本当はみんな組織に違和感を持っていて、変えたかったけど、その方法がわからなかっただけなんだ。そう思いました。

好きな仲間と働き続けるために

この本では、大量生産時代に定石となった「管理型組織」を否定しています。
市場や価値観の変化が大きくなった現代では、従来の方式を上意下達で指示するより、ユーザーに近い人の持つ違和感や感覚を大事にし、対話を促し、イノベーションを起こすことが重要だからです。

でも個人的には、管理型組織のツライところは、成果が出ないだけじゃないと思っています。

成果が出ないことで、チームの、部内の、社内の雰囲気が悪くなり、これまで仲が良かった人たちとの関係までもが崩れていく。
好きだった人を嫌いになる自分を嫌いになってしまう。これが一番、ツライことだと思います。

組織に絶望した人が歩む道は、諦めと転職だけではない。好きな仲間と、一緒に働き続ける。そんな道も示したくて、本書をつくったのかもしれません。

著書『ファンベース』が有名な佐藤尚之さん(さとなおさん)は、本書を以下のように表現してくれました。

「組織はひとりでは変えられない。そう思っているあなたにこそ読んでもらいたい希望の書だ。」

まだまだ道半ばですが、少しずつ、「組織を変える輪」が広がってきているように感じます。

組織を諦めそうになっている方がいたら、ぜひ、最後の希望として、本書を手に取っていただけたら嬉しいです。

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