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デジタル時代で存在感を放つ、紙の世界で目を鍛え抜いてきた校閲者の存在

PEACSには、独立した校閲チームが存在します。
校閲チームが発足したのは、現在から8年前。「美しいデザインを目指す会社が、言葉を、日本語をないがしろにすることはできない」という、代表・保坂の意志により部署が設立されました。コンテンツスタジオとなった現在では、活動の幅を雑誌・書籍から、ウェブに至るまで広げています。誤字・脱字確認、事実確認はもちろんのこと、「読者に届いてこその日本語」を信条に、国語学・文法的な観点からの指摘を得意としています。

校閲者は言わば、原稿の門番、最後の砦。プロフェッショナルな校閲者たちが専任で世の中に出ていく最終原稿に鋭い目を光らせています。そんな彼らが社内チャットツールのSlackを使って始めたのが「校閲便り」です。日本語のプロである彼らが社員に対して、校閲という視点で言葉の奥深い面白さを伝えてくれる回覧です。

記念すべき第1号が、こちら。

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【校閲便り】

第1号 満天の星空に何を想う

みなさまおつかれさまです。

梅雨が終わると、夏の星空が美しい李節になりますね。(東京ではあまり見えませんが)

いきなりですが、「満天の星空」という言葉、よく耳にしませんか? なんだか、慣用句のようになってしまっているし、耳障りも良いですよね。

ですが、違和感を覚えない人は少し危険です。

なぜか。「天」にはすでに「空」という意味が入っているからです。「なんだかシツコイ表現だな」と思えた人、良い線いっています。

ここでは「満天の星」がいわゆる正解です。

同様に、「古来より」というものもありますね。

これも、「来」に「ある時点から」という意味が入っていますので、「古来」で良いです。

このように、日本語(日本人)は重複的な表現を嫌います。一文のなかに同じような表現を重ねたり、次の文でも文末表現が同じだったり(小学生の作文は、文末が「〜と思います」ばっかりなんですよね)。明確なルールが文書化されているわけではないので理由は定かではありませんが、恐らく読者ファーストなんだと考えます。単純に、つまらないですもんね。不快にさえなってきてしまったりもします。

さて、満天の星が正解なのは良いのですが、仕事をしていると「満点の星空」という表現に出合うことも少なからずあります。

マジかよ。笑 この間違いはさすがに俺・私でもわかるわ。笑 ←と思ったあなた、もう少し慎重に考えてみましょう。

恐らく 満天 の変換ミスだとは思うのですが、この場合は注意が必要です。重言(重複表現)にはなっていないからです。つまり、「間違い」ではありません。

筆者が意図的に打っている可能性があり、赤字を入れてしまうと気分を悪くされる恐れがあります。この場合は、エンピツで指摘を入れます。

かいつまんででしたが、いかがでしたでしょうか? 重言の例は他にもたくさんあるので、探してみると新たな学びになるかもしれませんよ。

では、また次回。

※上の文章中↑に間違っている言葉があります。もしよければ探してみてください。
(何個 とは言えません。僕たちの仕事を少しだけ味わってほしいからです)

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紙の世界は、印刷してしまったらどう足掻いても原稿を直しようがありません。だからこそ出版業界では、細心の注意を払って最終原稿を徹底的にチェックします。このチェック力こそ、レガシーメディアの信頼を培ってきた源泉でもあります。そんな視点から見るとデジタルの世界は、何と誤植の多いことか……。公開後も修正できることが大きな要因ですが、言葉が大切に、適切に使われていない情報が多いことは残念なことです。出版という世界でコンテンツ力を鍛え抜いてきたからこそ、私たちPEACSは紙であろうがデジタルであろうが、メディアとしての緊張感と責任感を持って、常に言葉を大切にしているのです。

<答え>
×李節→○季節
×耳障り→○耳触り


「校閲便り」のバックナンバーはnoteから閲覧できます。興味のある方は覗いてみてください。

PEACS校閲チーム|note
"PEACS" の校閲チーム公式アカウントです。言葉の本質を伝えるべく、「校閲ダヨリ」を発信していきます。 URL:https://peacs.net/ Instagram:https://www.instagram.com/peacs_inc/
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