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未経験で介護の世界に。豊泉家一筋で施設長までキャリアアップした西脇さんの仕事哲学とは

高校卒業後、資格もなく未経験で介護の世界に飛び込んだ西脇さん。介護の仕事を選んだのは、人の助けになる仕事がしたいといった純粋な気持ちからでした。

西脇さんは、現場に真摯に向かう姿勢が認められ、施設長までキャリアアップしてきました。女性が働きやすく、女性管理職の登用も積極的に行っている豊泉家ですが、西脇さんが働いてきた20年間、どのように取り組んできたかを詳しくお聞きします。


西脇麻衣 / 社会福祉法人福祥福祉会 芦屋コミュニティ コミュニティ長

高校卒業後、豊泉家に介護職で入職。ケアハウス豊泉家 桃山台でバイスキャプテン・キャプテンに。キャプテンを10年経験したのち、2022年からCCRC豊泉家芦屋山手の副コミュニティ長、2022年10月からコミュニティ長(施設長)に就任。マイナスを取り除くのではなく、プラスを見つける介護を。

マイナスを取り除くのではなく、プラスを見つける介護を。

ーー介護の仕事に興味を持った経緯を教えてください

小学校・中学校でのインクルーシブ教育のおかげで、チャレンジド(弊社では障がいを持つ方のことをチャレンジドと呼んでいます)の子も同じ教室で学んでいました。日常でチャレンジドと接する機会があったから、私にとって福祉の世界も身近。職場体験ではデイサービスを選び、将来は人のためになる介護の仕事をしたいと思っていました。

ーー高校卒業後すぐに豊泉家に入職とのこと。

高校卒業後は、介護の専門学校に行こうと思っていましたが、学費の工面が厳しく諦めざるを得ませんでした。以前から興味があった介護職に応募したのですが、資格がないので面接すらしてもらえない状況…。

そんななか唯一、豊泉家だけが未経験でも採用してくれたんです。豊泉家モラル手帳というものがあるのですが、そこに「学歴や年齢で差別しない」というポリシーが書いてあります。そのポリシー通り、経験や年齢ではなく介護への情熱を評価してもらい、「これから勉強していこう!」と雇ってもらえました。

ーー介護職員時代のことを教えてください

業務内容は、おもに特別養護老人ホームで利用者の生活支援をすることです。身の回りのこと・食事のお手伝い・お風呂の介助・生活に関する相談・計画書の作成など介護全般ですね。利用者の課題や希望に寄り添っていくことが私たちの仕事です。

ーー利用者の希望に寄り添うとは?

介護の現場では、利用者に危ないことをさせたくないとリスクを回避しようとする傾向があります。その結果、いろいろな行動を規制してしまうことに。しかしそれではできることがどんどんなくなっていき、生活や人生の楽しみも狭まってしまいます。

それに対して豊泉家では、規制するのではなく可能性を常に探っていきたいと考えています。例えば、歩行が困難な入所者さんの希望は「足を伸ばしてお風呂に入りたい」でした。しかし本人は自力で湯舟を跨げません。そのため、リフトに載せての入浴(機械浴)となっていました。

ただリフトでの入浴では「足を伸ばして入りたい」といった希望と少し違う…。その課題に対して、解決方法を考えるのが私たちの仕事です。

ーーマイナスを取り除くのではなくプラスを見つける方針なんですね

できないことを代わりにやってあげるのではなく、その人にとっての可能性を見つけてあげたい。最近では、イベントでたこ焼きパーティを開催したときも、自分で咀嚼できない方に対して、ソースの味を実感してもらえるよう工夫し、出来るだけ参加を楽しんでもらいました。

法人の理事長も「人間の可能性を広げていくことが大切」とよく発言します。もともとある介護の価値観を変えていかなくては、と感じています。

入職8年目でキャプテンに。現場職員から管理職になったとしても大切なことは同じ

介護の現場で経験を積み、5年目にはバイスキャプテン(副責任者)に任命された西脇さん。「一人で頑張る」から「チームで頑張る」そして「皆が頑張れるように」と視座が変化してきたようです。

ーーバイスキャプテンになっていかがでしたか?

2002年の6月に入職し、2007年にバイスキャプテン(副責任者)に任命されました。今までと同じ業務もしつつ、今まで自分一人でやってきたことをチームワークで考えるように。そのため、ルールをつくる・指導する・利用者の声を聞く・提案するなど、今までと違う視点が必要になってきました。

ーーキャプテンになったときはいかがですか?

みんなで一つのことに取り組める、同じ目標に向かって頑張れるのは素晴らしいと感じました。一人ではできないこともチームなら実現できることが増えますよね。

一個人としては限界がありますが、自分が理想とする介護を実現するには、責任ある仕事に就くべきだと実感しました。

ーー失敗談などはありますか?

キャプテンになって最初の3年間は思うような成果がでませんでした。チャレンジしたいという想いは人一倍強かったのですが、チームがうまくまとまらない。結果、離職者が多いチームになってしまいました。

そのときは、この仕事に向いていないのではと考えましたし、指示通りに動いてくれないフェロー(スタッフ)が悪いと人のせいにしていました。上長にも何度も相談しましたが、いつも同じアドバイスをいただくんです。それは「自分事としてとらえないとダメ」ということ。

この言葉が理解できたのは、チーム運営ができるようになった4年目です。

ーーチーム運営の秘訣はありますか?

フェローの意見を聞いて自分と反対の意見を言われたときに、最初に「利用者のためにどうあるべきか」や「家族の思いはどうか」などを確認します。フェロー個人の意見なのか、利用者を思った意見なのかの見極めが大切です。

もちろん頭ごなしに否定はしません。「そういう意見もあるのか」と受け止めたうえで、より良い方向になるよう導きたいと常に考えています。利用者のためにと考えて仕事に取り組んでいる人が多いですから。

ーーさらに上の管理職となったコミュニティ長の仕事はいかがですか?

芦屋コミュニティは、介護の入り口から終末期までを包括した施設です。新しい施設ですから、自分たちの文化を創っているところです。

今までは先人の方たちが創り上げたものを守っていく事に注力していましたが、今は新しい施設で新しいフェローに豊泉家の歴史や考え方を浸透させていく必要があります。まだまだ豊泉家の理念が伝わっていないと感じる難しさはあります。

文化の浸透と同時に、各チームが成果を出せているか、成果を出せる環境であるかなどを見るのが私の仕事です。

ーー管理職になった良さはどんな点ですか?

管理職では人のマネジメントも仕事の一つです。現場の悩みや相談に乗ることが中心です。教えることでフェローが成長すれば、利用者のメリットとなる。また、利用者の家族の相談に乗り、その解決法にスピーディーに取り組めるのも管理職の強みです。

初めてのご相談で、介護の大変さから涙する家族の方もいらっしゃいます。責任と権限がある私だからこそ解決方法を提案できる場面も少なくありません。

ーー今の施設では認知症のケアについて取り組まれているそうですね

身体的な介助と認知症の介助では、対応や気を付けるべきポイントが違います。身体的な介助、とくに重度の方の場合は、看護師との連携が必要です。さらに医療面の知識や肌色の変化に気付くなどの観察も重要。

一方、認知症の介助では、声かけや見守りが必要です。会話によるコミュニケーションや表情の変化の読み取りなどが求められます。

ーーひとくちに介護といっても対応方法や仕事内容も違うんですね

介護に興味があるといっても、興味や性格によって合う職場は違います。例えば、人前にでて盛り上げるのが得意な人であればデイサービス、看取り介護など寄り添っていきたい人なら特別養護老人ホーム、やってみたいけど体力的に厳しい人ならケアハウスといった具合です。

未経験でも慣れればできるようになります。面接時には、応募の動機や想いを聞くようにしています。「何のために介護をするのか」「どのようなケアをしたいか」などです。人生の最後に寄り添うのですから生半可な気持ちではできないことも理解していただきたい。介護はずっと勉強ですよ、とも伝えています。

みんなを笑顔にしたい!女性管理職が増えれば介護の現場はもっとよくなるはず

最後に豊泉家で求められる人財や女性管理職への道についてお聞きしました。

ーー介護業界の人財問題についてどう思いますか

重要な仕事だけど、なり手が少ないのが現状です。働きやすい職場を目指して、豊泉家ではライフステージに合わせて働き方を変えられるように環境を整えています。

例えば、夜勤の有無・勤務時間の長さ・長期休暇制度の整備・勤務距離の考慮・住宅補助手当・資格取得制度などです。さらに人間性を磨けるような研修や交流の機会を多く設けています。

そこでは、会長や理事長と話す機会も。会長や理事長が自分たちのことを知っててくれると励みになりますよね。働きやすさを整えて、やりがいを感じられる職場だと感じていただけていると思います。

ーー豊泉家は女性も管理職として活躍できるとのこと

もちろん可能です。ただ実際は、女性の管理職は少ない状況です。この仕事は性別は関係がない。挑戦させてもらえる社風もあるので、もっと女性に挑戦してもらいたいです。

当然、プロジェクトを任されるのは大変です。しかし女性が多い職場ですから、女性目線の意見は重要。女性特有の気遣いや面倒見の良さを発揮すれば、十分管理職としての素養があるといえます。

「自分なんて…」「自分はできない」と思い込んでいる女性は少なくありません。ただ、豊泉家は仲間がいるので助けてくれるし、声もかけてくれる。一緒に頑張ろうといった雰囲気があるので大丈夫です。

年代的に子育ての時期になると仕事をセーブする人も多いのですが、落ち着いたら戻ってこれる環境を整えています。ぜひキャリアアップを目指して応募してほしいです!

ーー豊泉家が掲げる「生命を守り、生活を愉しみ、人生を豊かにする。」というミッションについて詳しく教えてください

豊泉家が関わることで、利用者の可能性を広げていき、人生を豊かにするお手伝いができるといいですね。地域の方には、頼りになる存在だと知ってもらいたいです。

介護でもつれた関係を豊泉家がサポートすることで改善することもあります。笑顔で親と話せるようになったと感謝のお手紙をいただくことも。豊泉家のサポートが役に立ったとわかると嬉しいです。笑顔になれる人をもっと増やしたいと考えています。

ーー西脇さんの想いと豊泉家の想いが重なっている感じですね

家族・利用者・フェローの誰もが、豊泉家を通じて笑顔になれるようにしたいです。両親も「こんなによくしてくれる会社はない」と安心してくれています。


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