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「都市全体をバーチャル化する!?」デジタルツインの活用からスーパーシティ実現へ

近年「デジタルツイン」という言葉が注目を集めていますね。

私たちトラジェクトリーも、都市のデジタルツイン化を通じた「スーパーシティの実現」を目指して、現在デジタルツインを活用した実証検証を積極的に進めています。

一方、「デジタルツイン」とは具体的にどのようなものなのか、言葉だけではイメージが湧きにくいかもしれません。そこで今回は、デジタルツインの概要やメリット、そしてデジタルツインを活用したトラジェクトリーの取り組みについてご紹介いたします!

——デジタルツインって?

デジタルツインとは、現実世界(物理世界)に実在しているものをデジタル空間に表現し、バーチャル世界を構築することを指します。

「ツイン」は英語で双子という意味です。したがってデジタルツインは「デジタルの双子」という意味になります。要は、現実世界に存在する本物の場所、物、事などからできるだけ多くのデータを収集し、そっくりそのままデジタル空間内に再現してしまおうという概念のことです。

一般的なシミュレーションシステムとデジタルツインの違いは、「リアルタイム」および「現実世界との連動」という点にあります。デジタルツインは、静的なシミュレーションにとどまらず、状況がリアルタイムに連携され、もう一つの現実をバーチャル世界に作り出すのです。

デジタルツインを作り出すためには、現実世界からデジタル空間へと送られる大量のデータが必須になりますが、近年はIoTの普及によりあらゆるデータ取得が可能になりました。さらにAI技術の発達により膨大なデータを分析することが可能になったことでデジタルツインの技術も飛躍的に進化しています。

――デジタルツインの5つのメリット

・物理的な制限を超えた作業ができる

現実世界では制限や制約により実現が難しいことも、デジタル空間ならリスクを抑えて容易に行うことができるため、さまざまな試みが可能です。コストやスペース、法規制などの制約もデジタル空間では気にする必要がなくなります。

例えば、オリンピックのような大規模イベントを新しく開催することになった際、どれくらいの人員が必要か、かかるコストはいくらか、どのくらいのスペースを確保するすべきか、といったこともデジタルツインによる試算で算出できます。また仮に失敗したとしてもリスクを最小限に留められるのも大きなメリットです。

・コストダウン

デジタルツインを活用すれば、現実世界で行う試行・試作などは不要になり、実行までのプロセスは全てデジタル空間で行えるため、大幅なコスト削減が実現します。

さらに実行までのプロセスだけでなく、実行後のデータ取得も可能です。どれくらいのニーズがあるのか、活用・使用状況はどうなのかといったことも把握でき、今後のマーケティング戦略にも役立てられます。わざわざ別途リサーチを行わなくて済むため、問題点の改善やマーケティングにかかるコストも抑えられるのです。

・サービスや品質などの向上

サービス提供後のモデリングなどもリアルタイムで行えるため、アフターケアなどの充実により顧客満足度を高めることが可能です。また提供後のデータ分析により、顧客が求めているニーズや不満点も理解できるようになります。ニーズを深く掘り下げられるため、新たなサービスに向けたマーケティング戦略を打ち出すことも可能になるでしょう。

・リードタイムの短縮

デジタルツインを活用すれば、企画、開発、設計など、実行までの各工程の業務効率化が期待できます。リアルタイムに工程をモニタリングでき、改善すべき点も見えるため、効率よく改善活動を進めることが可能です。生産業を例にすると、発注から製造、出荷、納品までの製品流通に関する全工程を短縮などが期待できます。

これらのメリットは、あらゆる業界・分野に置き換えても共通しています。今後デジタルツインの活用は、様々な産業分野においても適応されるでしょう。

――「都市のデジタルツイン」とは?

もともとデジタルツインのコンセプトは製造業などにおいて、検討や実証、実装が先行しており、デジタルツインといえば製造業への活用イメージを持つ人も少なくはないでしょう。


出典:Gartner

一方、このデジタルツインのコンセプトを都市のスケールにまで拡張しようというアイディアが「都市のデジタルツイン」です。3Dマップなど都市の地理空間データ上に、様々なインフラに設置されたセンサー端末を通じて取得できる情報を重ねあわせ、バーチャル空間上に都市全体の姿を、そのままツインとして再現することを目指しています。

ーー「都市のデジタルツイン」実現の先に待っている世界

「都市のデジタルツイン」は私たちの暮らしにおいてあらゆる可能性を秘めています。

都市の課題発見・解決や災害予測・対策、疾病拡散予測・抑制などに加え、地球・宇宙規模という非常に大規模なシミュレーションにおいても、デジタルツインの活用が期待されています。

例えば、台風や大雨などの災害時には、河川水位・治水設備の稼働状況、孤立地帯や避難施設の収容状況などのモニタリングが行えます。

モニタリングデータを踏まえて、堤防決壊のリスク分析や決壊時の人的・社会的被害のシミュレーション、避難施設や支援物資の過不足の分析が可能に。さらに、これらのシミュレーションデータをもとに、避難ルートや移動手段の確保、支援物資の確保や輸送ルートの選定も可能になるでしょう。

実際に、シンガポールでは「バーチャル・シンガポール」という取り組みを実施しており、国を挙げてデジタルツイン導入を進めています

出典:National Research Foundation Singapore

建築物や地形・景観、交通網などの様々なデータをベースに、国土全体の3Dモデルを構築し、そこにあらゆるリアルタイムデータを統合します。これにより、インフラの整備や渋滞の緩和など都市問題の解決つなげようという取り組みです。

現実世界では国民の同意を得ることが難しい施策も、デジタル空間なら容易に実験できます。今後、デジタルツインの活用は、人々の暮らしを豊かにする鍵となってくるでしょう。

――トラジェクトリーが手がける「都市のデジタルツイン化」

私たちトラジェクトリーは、「都市のデジタルツイン化」を通じた「スーパーシティの実現」を支援しています。

ドローン事業を手がける私たちは、デジタルツインを活用し3D地図の仮想空間を作り上げ、ドローンが災害時の状況把握や医薬品や日用品の物質輸送を安全に行うための飛行ルートや飛行シミュレーションを行い、実証検証を進めています。

例えば、昨年2019年7月には、デジタルシティとしてのまちづくりを目指す石川県加賀市とドローン利活用に向けた連携協定を締結し、ドローンやエアモビリティなどの無人航空機によるサービス導入に向け、まずはデジタルツインを活用するためのインフラとして3Dマップの整備を他の自治体に先駆けて進めています。今年3月には、ドローンを活用して3Dマップを作成、ドローンが建物などの障害物を避けて飛行できる安全な空域交通網の整備一部エリアで実現しました。将来的には、災害時の物資輸送や被害状況の把握に加えて、物流及び監視・点検といった商業利用などにも3Dマップをベースとしたデジタルツイン技術を活用し、スーパーシティとしてのまちづくりの実現を目指しています。

是非、あなたも私たちと一緒にデジタルツインを活用した「スーパーシティ」実現を手がけませんか?

少しでもご興味をお持ちいただけましたら、まずは募集ページをご覧ください。

「もっと詳しく知りたい」という方は、【話を聞いてみたい】よりお気軽にご連絡ください。

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