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世界に1台だけの機械を作る ~ナカガワFMT営業マンの挑戦~(前編)

静岡県焼津市に、食品工場の機械化に挑む男がいる。

中川雄斗。祖父が起こし父が継いでいる会社、ナカガワFMTの営業マンだ。

食品工場の機械化、生産工程の自動化は非常に難しいミッションである。

理由は常に進化し続ける「食品」分野の業界だから。工業製品の生産設備と違い、並大抵の努力だけでは完璧な設備というものが完成されない。

そのうえ、製造工程の機械化は常に進化を続けているため、臨機応変な対応が必要だ。

例をあげればハンバーグの製造工程は、以前はひき肉の計量は人の手によって行われていたが、現在では機械による自動計量システムが導入されているケースも多い。

また、食品の加工技術の向上や機械化は、需要が尽きないので可能性は無限に広がる。

食品会社は多種多様であり同じような製品を作っていても、規模や工程が違えば当然機械も異なる。大手企業や規格機械だけでは成立不可能な世界、市場というところは大きな魅力だ。

その市場を支える「人や企業の困難、課題に対して機械で応える」という仕事。

食品製造機械にロマンと誇りを持って向き合う営業マンのひとつの挑戦を覗いてみよう。

機械設置スペースの不足という課題

今回、関西の蒲鉾メーカーからナカガワFMTのもとに依頼された内容は、蒲鉾を製造するラインを新設するという案件だった。成型、加熱、冷却と製造工程が有る中で、ナカガワFMTが依頼されたのは「加熱」部分の加工処理をする機械の新設である。

加熱処理をする製造機械の提案自体は難しいことではないが、課題はメーカー側にあった。メーカーには希望している生産能力を持つ機械を置くスペースが無かった。

依頼者の蒲鉾メーカーはナカガワFMTの他、2社に声を掛けている状況だったが、どの会社も設置スペースには向かない機械を提案したのが最初のアクションだった。「希望する生産能力は譲れない」との条件のもと、設置スペースに対する機械のサイズオーバーはやむを得なかった。

設置したいスペースに機械が入るのであれば、単純に3社競合となりメーカーが選ぶ上で決め手となるのは金額である。しかし今回の問題点は、その設置スペースが不足していることだ。

そこで、ナカガワFMTは機械の全長を短くする手段を検討することにした。

「機械の全長を短くする」=「製造過程で加熱する時間を短くする」ということのため、製品を加熱するときに与える熱効率を上げる他に手段はない。以前から関係のあった補助装置メーカーに依頼をし、課題の解決を試みた。

食品製造のレシピ変更に挑む

しかし、食品製造において加熱時間を変えるということは、蒲鉾メーカーが大事にしているレシピを変えることになり、製品の仕上がりが変わってしまう可能性もある。

蒲鉾を作るうえで「20分加熱する」というクライアントのルールを変更するので、ナカガワFMTにとっても蒲鉾メーカーにとってもリスキーな提案になると覚悟した。

「加熱時間を短く出来る可能性があります」とメーカーに連絡し、資料を送付したところ、「面白い」と興味を持っていただけた。ただ、お互いリスクが生じる提案のため、まずテストを行いたいと打診した。

最終的には要件に合う提案を出来たのは、競合2社を抑えナカガワFMTのみとなった。

▲弊社工場内機械組立の様子


クライアント社内を巻き込みプロジェクトが始動

前述したようにレシピの変更が必要になるため、クライアントの社内全体を巻き込む形になりそうだ。

ワンマンの会社の社長と話をしているのなら、話は早くトップダウンで一発で話がまとまることもあるが、今回は違う。

案件担当者が会社を巻込み、話を上層部に上げていく必要があった。普通は多少尻込みする所だが、担当者からは嫌な顔一つせず全面協力を約束していただけた。

「でも『テストする場所は島根です。』って言った時は少し嫌な顔したかもしれません。アクセス悪いですもんね(笑)」。

中川はこう語る。「同じ方向、目標を見つけられた時はスムーズに事が運ぶ、何より案件に対する熱量が高まる」。

クライアントに様々な提案を行い同じ目標に向かって走ることは、熱き営業マン中川にとって奮起のきっかけにもなる重要なことなのだ。


いざ、製造テストへ

島根で行った初回のテスト結果は非常に良好だった。ただ、冷蔵便で送った製品サンプルを使った加熱テストのため、これが果たして製造ラインの上流から出てくるものとイコールなのか?という疑問が生まれる。遠隔地からの製造テストで、完全に製品状態を再現するのは難しかった。

その後、心配していた現地でのテスト結果も良好。テスト結果を反映した機械を無事に納めた。

機械が稼働して1ヶ月半。今のところ問題なく順調に稼働している。

クライアントからは今回のシステムを他生産ラインへ応用する案件も新たに依頼があり、「今回のプロジェクトが非常に高く評価されている」と中川は満足そうに語った。

後編では、プロジェクトの振り返りと中川FMTが目指す目標について紹介する。

中川が考える商品製造機械への挑戦と、これからの展望をチェックしてみよう。

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