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【Vol.2】航路を核としたまちづくり。地場資本でのエリアマネジメント。

シークルーズの拠点がある上天草前島エリアはここ10年で急速に発展してきた注目のリゾートエリア。「ホテル竜宮」や「ホテルろまん館」などOTAで九州の人気ランキング常連の宿泊施設やオシャレなカフェやレストランが人気の「リゾラテラス天草」、当社と九州産交グループが共同運営する上天草市観光拠点施設「ミオカミーノ天草」、老舗観光施設「天草パールセンター」など地方では珍しい観光集積エリアだ。

当社は創業の昭和53年以来、この地で商売を営んでおり、平成6年のイルカウォッチングの開始以降は遊覧船の発着地としても利用してきた。今でこそ賑やかなエリアだが当社の定期航路「天草宝島ライン」が就航する前までは天草パールセンターがある程度であとは廃墟になった国民宿舎と草むらしかない閑散とした寂しいエリアだった。当社の社員でさえその当時を知るものは少なくなっていて、開発後の姿しか知らない。


地域を変えた一本の航路

JR九州との連携で日本初の鉄道と船が連動した路線を構築 | 株式会社シークルーズ
2008年末。2年後の2011年3月に全線開業を控えた九州新幹線に期待が高まる一方の熊本県の中で蚊帳の外に置かれていた天草。何故なら天草五橋で九州本土と繋がっているとはいえ離島だから勿論線路はない。天草の住民は九州新幹線には全くと言って良いほど関心がない状況だった。 ...
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2009年4月に定期航路「天草宝島ライン」の運航開始以降、上天草の海の玄関口となった松島(前島)港は年々利用者が増加していった中で、旅客ターミナルやトイレもない場所だったので乗客から厳しい評価を受けていた。そこで港の所有者である上天草市が国民宿舎を解体し更地に。そして、2011年10月の特急「A列車で行こう」の運行開始に合わせて植栽を整備した。


リゾラテラス天草の開業

しかし、日に日に増える乗客数に対して更なる整備が求められる中で、市の方針で以前から計画されていた前島エリアの再開発を実行することが決まり正式に前島エリアの再開発がスタート。まずは国道からの進入路の拡張と駐車場の整備が進められ、2015年7月にリゾラテラス天草が開業。これまでの雰囲気と打って変わりオシャレなリゾートエリアとして変貌した。中高年が海鮮料理を食べに訪れるのが天草観光の中心だったがリゾラテラス天草の開業後は若者が多く訪れるようになり、スマートフォンの普及・Instagramの流行により熊本で人気No1の撮影スポットとして人気に火がつき若者だけでなくファミリーも多く訪れるようになった。


ミオカミーノ天草の開業で更なる進化

リゾラテラス開業後、前島エリア再開発の集大成として「上天草観光拠点施設」の整備が進めらた。その中で指定管理者として「九州産交グループ・シークルーズ共同企業体」が選定され2019年10月に開業。バス会社と船会社が連携することで「路線バス」or「JR×船」の公共交通の2つのモードで訪れることができるようになり利便性が向上。熊本市の主要ターミナルである熊本駅またはサクラマチバスターミナルから1日22往復が確保され、地方としては稀に見るアクセスの良いエリアとなり、その結果首都圏や関西圏の大都市圏はもちろんインバウンド客の誘致に成功。コロナ禍前までは九州有数のFIT客が訪れる結果となった。また、ミオカミーノ天草は交通機能だけでなく、レンタカー・レンタサイクルの3次交通の拠点としても充実。カフェやショップ、BBQテラスなども併設した地方の新しい形の公共観光施設として注目されている。


現在進行形でさらに開発が進んでいる

上天草市の再開発はひと段落したが、コロナ禍でも前島エリアはまだまだ開発が進行中。天草パールセンターが建て替えを決定し解体工事が進行中。レストランやショップを中心とした施設として再開予定。また、周辺では複数の宿泊施設の開業計画が進行中。コロナ禍が落ち着いたら更に発展する可能性を秘めているのが前島エリア。


一つの航路の就航がきっかけでわずか10年足らずで地域が劇的に変化

このように、当社の天草宝島ラインの就航をきっかけに前島エリアは寂れた何もない港から、九州屈指の人気観光エリアへと変貌。その中で特筆すべきは官民連携で地場資本で開発が進められたこと。民間も補助金に頼らず、自己資金で投資を続けていることは地域の誇りでもある。これからも地域で連携しながらエリアマネジメントを進めていきたいと思う。

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