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学生起業し、経営権を譲った過去。二度目の起業で目指す「FactoryTech」の未来

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本記事は弊社に投資をしている、Gazelle Capitalの公式note「Gazelle起業ブログ」のコンテンツを転載しております。
URL:https://note.com/gazellecapital/n/na64d4da60564
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Gazelle Capitalは、日本を築いてきた国内産業にインターネットの力で変革・変化を起こし、新しい時代の中で産業を彼らと共に形を変えて紡いでいくための ベンチャーキャピタルです。
創業初期の起業家へ伴走型のサポートを行いながら、レガシー産業の課題解決を目指しています。
本ブログでは、弊社が投資している企業の代表者に、起業に至ったきっかけや、今後目指していきたい世界について語ってもらうインタビューを、連載形式でお伝えしていきます。
これをきっかけにレガシー産業の改革に興味を持つ方が一人でも増えたらと考えています。

記念すべき第一回は、弊社が創業し初めての投資先となったSWIMMER株式会社の代表取締役・実川さんにお話いただきました。

こんにちは。スイマーの実川と申します。
製造工場の常識を変えることを目指すFactoryTech企業を2018年に立ち上げました。
生産計画、在庫管理、検品作業など現場で把握しきれない複雑な製造実績と在庫管理など、全体の工程をデータで見える化し、人がクリエイティブな作業に集中したりリモートワークでも製造対応可能な世界を目指しています。

目標を決め、達成に向けてストイックに打ち込んできた人生

僕はこれまで、目標を決め、その目標をひとつひとつ達成することにコミットしてきました。
0歳から始めた水泳では小5でジュニアオリンピックに出場、小6からは勉学に集中し最終的には東京大学大学院へ。大学からは起業を志し、今はIPOし1兆規模の器となるような会社づくりを目指しています。

目標にコミットする力や、その過程の楽しみ方を見つけるのが得意なところは、幼少期の水泳で基礎を作れたのかなと思います。

両親の方針で0歳から始めた水泳。物心つく前からプールに通うのが当たり前の日常でした。自分の意思で始めたものではありませんでしたが、水泳選手としては体型に恵まれなかったことが自分の持ち前の負けず嫌いな性格に火をつけ、少しでも良いタイムを出したいと日々トレーニングに取り組んできました。

(全国大会集合写真。下段右から3番目。女子含め一番低身長でジャージのサイズもなかった。)

小学校3年生の頃に選手コースへ選ばれ、水泳大会に出場するように。目標だった全国大会への出場を小学5年生の頃に果たしました。
水泳は個人のタイムとの戦いで、目標に向けてどんなアプローチをすべきかが明確でしたし、苦しいスポーツだからこそ日々の練習をどう楽しく取り組むかを考え、友人と一緒に切磋琢磨してきました。例えば練習前に早く集合して漫画を回し読みしたり、潜水勝負して目標タイムを切ったらお互いにアイス一本というゲームをするなど、頑張ったときの報酬を盛り込みつつ厳しい練習に取り組んでいました。

そんな原体験が、今の自分の大きな課題に向けて楽しく愚直に取り組む姿勢をつくったと思います。ちなみに、今回の起業では0から自分に誇れる会社を作りたいと思い、水泳時代の努力を自分に戒める意味を込めて社名を「SWIMMER」と名付けました。

ジュニアオリンピックに出場した翌年からは、東京大学への進学という目標を掲げ勉学に集中することになりました。
中学は地元でも不良や問題児が多いと有名な学校でしたし(それでも皆いいやつで仲良くしてくれた)、公立高校は学区制のため適切な高校がなく、選んだ私立の高校へは千葉の実家から片道2時間半かけて通うなど、決して恵まれた環境ではなかったと思います。さらに高校時代に所属していたバスケット部の活動がかなりハードで、朝練のために朝5時起きで学校に向かい、終電一個前の電車で帰宅するような生活だったため、毎日電車の中で勉強するのが日課でした。

バスケットは自分の中で楽しく生活するために必要不可欠な存在だったので、そんな状況でも辞めることは考えたことはありませんでした。むしろ、バスケットを続けるためにどう勉強時間を捻出すれば良いか、物を書くことができない電車の中で勉強するにはどういう方法が良いのか、それを工夫することも含めて楽しんでいた自分がいます。
結果、慶應大学を経て、目標であった東京大学の大学院に進学しました。

起業に目覚めたきっかけは企業でのインターン経験

大学院では流体力学×陸水学系の研究を行っていましたが、そんな折に担当教授が取り組んでいた”cyberforest”という森林をITを駆使して音声配信する研究に触れました。当時としては非常に先進的な内容で、それをきっかけにITの魅力にのめり込んで行き、大学院での研究に止まらず、当時創業期だった株式会社ブランディングエンジニアで営業職のインターンをすることになりました。
当時はエンジニアの人材派遣、エンジニアの人材紹介などの事業を行っていました。機会に恵まれ、なんと創業直後のタイミングでジョインすることになったため、インターンではありますがかなりの裁量を任せていただいたと思います。
理系学生の新卒採用を任された際には、優秀な学生に早期のアプローチをすべく大学の研究室に飛び込んで学生にアプローチしていました。地域と大学を決め、今日は○○大学△△学部という形で全国を行脚し、地道に信頼を勝ち取ることで面談に参加してもらってたのですが、各地方の大学に出張して同じ年代の優秀な学生と話すことが楽しく夢中になっていたら、気付いたら営業チームとしての目標を達成していました。当時の営業チームには社長の河端保志をトップに、現インキュベイトファンドHRの梅崎薫がいてとても刺激的な環境でした。その成功体験は今も自分の糧になっています。

(ブランディングエンジニア創業オフィスでの一枚。地下でした。)

今年、東証マザーズに上場を果たしたその会社の立ち上げ期を経験できたことは、その後ベンチャーというフィールドに身を置く大きなきっかけになったと思います。
実際には大手企業への就職も選択肢にあり就職活動を行いましたが、面接官からの「君はこうした大手企業よりも、その突破力を生かして起業する方が向いていると思う」という言葉をいただいたり、他の優秀な学生が外資コンサル・外銀に内定していくことへの焦りもあり、自分が勝っていくには他と同じことをしていたらダメだと考え、当時コンサル企業のインターンで出会った友人とともに学生の身ながら起業を決意しました。

当時、特定の事業や領域に興味を持っていたというよりも、まずはしっかりと事業を伸ばしていくことを目標に掲げていたので、「どんなサービスなら勝てるか?」を軸に合理的に判断し事業の立ち上げを行うことにしました。
「バズる」という言葉が出始めた2014年当時。インターネットの世界で勝負するのであれば、そうした口コミ要素が強いサービスを作りたいと考えたことや、ちょうど自分の顔の写真をSNSに上げるセルフィー文化が一般化し、アプリによる画像加工技術が飛躍的に向上してきた時代だったこと、ファッションも料理も既にHow to系のサービスが存在していたなかで美容はまだ決定的なものがなくブルーオーシャンの領域だったことから、女性が自分に合ったメイクを見つけることのできるメイク共有サービスをリリースしました。

リリース後、現代表の中村が大手化粧品会社とのタイアップを決めてきたり、有名メイクインフルエンサーが自然流入してくれてバズったり、インキュベイトキャンプ8thで優勝するなど、注目いただく機会も多く、初めての起業にしては(もちろん一筋縄ではいかないこともたくさんありましたが)手応えを感じていました。

また、そんな中で業界が盛り上がり強力な競合も増えてきたタイミングだったので、他社との差別化をはかろうと、事業をピポットしYouTuberの育成事業に参入することに。メイク紹介動画を配信するYouTuberをプロデュースし、事業は堅実に成長を重ねていました

大きな挫折から、いち従業員として修行する身へ

経営者として、事業を成功させるべく会社にコミットしてきたつもりでした。しかし当時の僕は社会人経験もなく、今振り返れば目線が短期的で未熟だったと思います。事業に集中するあまり、マネジメントが疎かになってしまっていたり、事業においても軸がぶれることもあり、周囲のメンバーに負担をかけてしまっていたと思います。全般的に全てを自分で抱え込みすぎていました。

最終的に、このまま自分が突き進んだら多分他のメンバーはやめてしまうだろうな、という状況を引き起こしてしまいました。結果的に一部株式をデジタルガレージ社に売却し、ほぼ全ての経営権を共同創業メンバーに譲る形に。こういった類の決断では、一人で残る社長のほうが圧倒的に多数かと思うのですが、社長も一つの役割に過ぎないと考えている自分にとっては、今考えても自然な決断であったかと思います。
基本的にポジティブな僕ですが、自分が引き起こしてしまったことの大きさに当時は大きな挫折を感じていました。ありがたいことにデジタルガレージ社の子会社のいち従業員として再スタートをきる機会をいただいたので、まずは2年後の再起業を目標に、ビジネスの基礎を学ばせていただくことを決めました。

その会社はレガシー産業のDX化を目指している会社で、プロ野球チームや物流、幼稚園保育園…様々な領域に対して事業の立ち上げからグロース、M&Aなど、なかなかできない経験にチャレンジさせていただきました。
ビジネスの様々なフェーズを経験できただけではなく、マネジメントを含む「経営」とはなにかを学ぶことができ、再起業の準備期間としてこれ以上ない経験をさせてもらったと感じています。
最初から再起業を目標に掲げていたにも関わらず、受け入れていただいたデジタルガレージ社や同子会社社長の懐の深さには頭が上がりません。

2度目の起業は、共同創業者の実家である製造業のDX化から

再起業に向けての過程の中で、レガシー産業の課題を手触り感を持って体感したことが、今の事業につながっています。
中でも、M&Aを行ったワインスクールでワイン販売を行うECの立ち上げを行ったのですが、棚卸しで必ず数が合わない、スクール授業後に購入したいワインをオーダーする時はネットではなく紙に記入する、テイスティングノートが紙のためデータ蓄積ができない、会員データをまとめて分析するシステムがない、莫大な倉庫費用がどんぶり勘定、スクール申込が対面でweb導線がないなど、あまりの非効率さに衝撃を感じました。そうしたきっかけもあり、2回目の起業ではデジタルトランスフォーメーションを、中でも、最もインパクトの大きいであろうブルーワーク領域でやりたいと思っていました。

最終的には、元々共同創業を決めていたCTO浅井の実家が製造業であったことが現在の事業の決め手となりました。共同創業者であるCTO浅井とは、事業問わず近いうちの創業を決めていました。彼は、家業を町工場から一流企業へを自身の長期ミッションとし、20代で培った受託開発の経験を元に地元愛知に戻ったところでした。そこで、お互いの使命感と将来像が繋がり事業化へ向け二人三脚でスタートしました。実際に、浅井の実家の工場にもサービスを利用していただいています。

まずは実家の工場を救うべく、利益率改善をITでしよう、というところから取り掛かりました。実家のためオペレーションの部分からしっかりと寄り添うことができ、比較的スムーズにシステム導入に繋がったのは良かったです。同時に、この製造業や工場ワーカーが抱える課題や非効率性の根深さを強く感じ、これらをインターネットの力を導入することによって解決し、革命を起こすべきであると確信しました。

ノールックで「投資するよ」。衝撃的なGazelle Capitalからの調達

実は元々は、しばらくは調達せずに自己資金で運営を行っていきたいと考えていたんです。
Gazelle Capital創業者である石橋さんとは学生時代からの友人で、スイマー創業前に手伝っていたCROOZ VENTURESでも一緒に働いた経験があるなど、お互い切磋琢磨してきた関係でした。
調達に至ったきっかけは、起業のタイミングが近かったことや、彼自身もレガシー産業のDX化を目指す起業家を支援したいという近しい志を持っていたということもあり、密に情報交換を行っていたこと。いつもアドバイスが的確な彼にあらゆる悩みを相談していて、実際に起業時にも背中を押してもらいました。
その中で、創業1ヶ月目のスイマーに対して、なんとノールックで「投資するよ」と提案をもらったのです。これには流石に驚きましたが、もちろん彼も無鉄砲に投資を決めているのではなく、これまでの僕やCTO浅井のキャリアを評価してくれていたり、製造業という余白の大きい市場へのチャレンジを評価してくれての判断です。その彼の心意気に胸にこみ上げるものがあり、調達を決意しました。一番リターンを返したくなるVCを一番最初のシードで選びたいなと思ったことも決め手でした。

Gazelle Capitalは創業前ないしは創業直後の起業家への支援を決めており、その分資金的な支援だけでなく、営業先・案件の紹介や採用の支援など、悩みの尽きない創業期の経営者を様々な面から伴走してサポートする方針のVCです。例えば、石橋さんは元々wantedlyで業務委託をしていた経験もあり、採用の募集記事の作成から写真の選定などの細やかな部分までサポート頂いています。普段はどしっと構え、専門分野については細かくアドバイスをして一緒に手を動かしてくれる。頼れる彼の後ろ盾があるからこそ、思い切り事業に集中できています

スイマーの描く未来

「製造業の業務を全てDXし、コストを改善し、時間を創出する。」これがスイマーが達成したいミッションです。

人はもっと「暇」になるべきだし、「クリエイティブ」にもなれると思っています。空いた時間でプロゲーマーを目指してもいいし、Vtuberになってもいい。そんな時代がもうそこまできているし、そのための手助けをしたい。

製造業は、まだまだ属人化の作業が多く、利益構造が見えにくい課題があります。また、生産を実施する際に、在庫が不明であったり、製造が間に合わない計画を立ててしまったり、計画を無視して製造してしまったりなどということが工場ではよくあるのです。これに対し、在庫や社員の行動計画、人件費管理など、あらゆるものを見える化することで、生産管理者が工数をかけることなく上記を解決しながら働けるよう、汎用的なシステムの開発を行っています。

「暇になれる余白」がもっとも多いのがブルーワークの領域ですし、達成した時世界をもっとも変えられる領域だと考えています。

現在スイマーでは、この製造業の課題を共に解決するエンジニアを募集しています。

少しでも興味を持っていただけるようでしたら、奮ってご応募ください。お待ちしています!

Gazelle Capitalはレガシー産業に革命を起こす起業家を応援しています

Gazelle Capitalでは、日本のレガシー業界を変革するスタートアップへの投資に力を注いでいきます。
農業・林業・漁業の一次産業から、建設業、製造業、不動産や保険、金融、小売、医療・ヘルスケアといった領域も含め、IT化により大きな革命を起こそうとしている創業前後の起業家をメインに、あらゆる成長支援を行っていきたいと考えています。

▼投資のお問い合わせ、ご相談などはこちらから▼
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