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「ファッションの未来に関する報告書」からわかるファッション業界の今後とVRCの取り組みについて考えました

先日、経済産業省の有識者会議で、ファッション業界について現在の動向と今後どうなっていくのか話し合いが行われ、それらをまとめた資料「ファッションの未来に関する報告書」が発表されました。

全体は100ページ近い報告書なのですが、今回はそこからVRCの事業に関わる部分を抜粋してどんな内容なのかお伝えしていきたいと思います。(報告書はこちらからご覧いただけます。長いですが面白いのでぜひ見ていただきたいです!)

ファッション業界の変遷と現状

時代の変遷とともに、ファッション文化も進化してきました。その時その時の流行はありましたが、だんだんとファッションは自己表現するものになっていきます。さらに2010年代ごろからスマートフォンやSNSも普及していき、ライフスタイル全体で自己表現が可能になりました。モノ消費からコト消費にシフトし、それだけではなく環境保護なども問題提起され、サステナブルな社会の実現にむけSDGsなどの関心も高まっています。さらに2020年代を迎えた今はZ世代の台頭、デジタル領域での個人の情報発信による自己表現の拡大によりデジタルファッションなども進化しつつあります。

そういった環境を踏まえ、有識者会議「これからのファッションを考える研究会 ~ファッション未来研究会~」では議論を重ねて今回報告書をまとめるに至ったそうです。

報告書では、望ましい未来のファッションを下記の図のように提唱しています。

図の下段が新しい未来のファッション生産の流れです。今後はリアルだけでなく、デジタルも活用していくことがより一層求められていくものと想像されます。

需給ギャップを縮小させるビジネスモデル

現状の国内アパレル市場は、需要に対して供給量がはるかに多い状況です。報告書によると過剰生産によって、2019年には供給量28億4600万点のうち、半数以上の14億7300万点(51.8%)が在庫として売れ残っているという調査もあるそうです。

そんな中、AIなどのデジタル技術を使って需要予測や先行受注生産、消費者とのコミュニケーションを通じた需要量の適正な把握によって過剰生産・過剰在庫の課題解決を目指す取り組みを進めている企業もあるようです。

初めから消費者がどのくらいどんな服やサイズを買うのかがわかっていれば、それに合わせて生産するので、無駄もないですしコストカットにもなるということです。

その他にも需給ギャップを少なくするための取り組みはあります。

それは、個人の好みや体型に合わせてサイズ展開をしたり、部分的にオーダーメイドを取り入れたりするものです。すべてオーダーメイドすると価格が高くなりますが、展開する幅広いサイズから自分の体型にあったものを選べるならば、利用者の満足度も上がりますし、生産コストも抑えられます。また、3Dボディスキャナやスマートフォンを使ったデジタル採寸などのサービスも進んでいます。グローバルにおけるカスタムメイド衣類市場は、現在約470億ドルの規模ですが、2027年には約970億ドルにまで拡大することが見込まれているそうです。

あとはサブスクリプションサービスやシェアリングエコノミーの拡大もあげられます。服を個人で所有するのではなく、必要な時に必要なものを借りて使うという考え方も広がりつつあります。高いブランド物でも、モノ消費からコト消費にシフトしている現代にマッチしている考え方と言えるでしょう。

質量の無いデジタルファッション

スマートフォン等の普及によりインターネット環境が日常に密着した今、デジタルコンテンツへの消費や、SNS、ゲーム空間における人とのコミュニケーションも増加しています。メタバース等でのコミュニケーションの場が拡大することで、デジタルファッションという新しい概念も生まれてきました。またAR等の技術を活用した新しい試着体験等を提供するサービスも登場し、XR・MR等を活用した現実空間と融合するような新しい顧客体験を生む市場の出現も予感されています。

そういう現状の中で、人々はデジタル空間上でアバターをまとい活動します。現実空間で制限される自己表現も、デジタル空間では物理的な身体制約が存在せず、男性が女性のアバターを使ったり、バナナや動物などいろいろな姿で交流を楽しんでいます。このような自由な自己表現ができることで、メタバース上のアバターをファッションアイテムで着飾るというゲーム空間におけるファッション消費が拡大しています。例えばFortnightで見た目(スキン)を着飾るユーザーが増えていたり、VRSNS上で利用するアバターを自作したりする動きもそうでしょう。

企業の参入も相次いでいます。新市場であるデジタルファッション業界への参入は知的財産権等、従来のモノのビジネスとは異なった考え方が必要であるという指摘もありますが、様々なアパレル企業がゲーム空間内に店舗を構えたり、アバターの洋服などを販売したり、ブランドのデジタルファッションを配布したりする動きがあります。一大ブームになったあつまれどうぶつの森では、多くの企業がアバター用の服のデザインを配布する流れが一時ありました。まだ参入企業は限られていますが、今後さらに増加していくことが予測されます。

VRCは何が貢献できるのか?

私たちが現在アパレル企業向けに提供している「SHUN'X Apperel(シュンエックス アパレル)」という試着室に入るサイズのスキャナでは、見た目の撮影だけでなく採寸や着衣状態でのボディ推定の技術などを搭載しています。

私たちは撮影したアバターデータを活用してアプリなどで服の試着をし、ミスマッチを減らすことを考えております。服の丈感など着衣時の見た目がわかることで、購入判断がよりしやすくなり、購入後に思っていたのと違うから、という理由で返品されることを減らせると思います。

現在、博報堂様、東芝テック様と開発を進めており、事業化にむけて取り組んでいる最中です。(取り組みについての詳しい内容はこちらの記事をご覧ください)

また、撮影したアバターデータはECでの購入だけに使えるのではなく、メタバースでの利用も想定しています。お気に入りの服を着て、デジタル空間でコミュニケーションをすることができ、自己表現の一つになると思っています。

VRCでは、ファッション業界の今後の発展に貢献できるよう開発を進め、実際にユーザーの方に日常的に使ってもらえるようなサービスを目指していきます!

株式会社VRCでは一緒に働く仲間を募集しています
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