1
/
5

原価の100倍「高すぎる補聴器の価格を壊す。」売れるべくして売れた、聴覚サポートイアホン開発秘話【CEOインタビュー】


こんにちは!株式会社OliveUnion、広報の走内です。Oliveメンバーの生の声をお届けするため、社内の様々な人にインタビューをしていきます。今回お話しを伺ったのはCEOのオーウェンです。

今回は「難聴」という社会課題を解決することを選んだ理由や、不可能と言われたイヤホンを開発するに至った経緯を社長に聞いてみました!


【プロフィール】

ソン・ミョンクン(オーウェン)

1987年 韓国・ソウル生まれ。SAMSUNG ART & DESIGN INSTITUTEにプロダクトデザイン専攻で入学。韓国電機・通信大手、サムスンでプロダクトデザイナーとして働く。その後コロンビア大学院 建築学専攻に進学するものの、叔父の難聴をきっかけに革新的なヒアラブルデバイスの開発を開始し、Olive Union Inc. 創業。


【会社概要】

現在世界で約4.6億人で、2030年にはその倍の9億人を超えるともいわれる難聴者の「聞こえ」に関する社会的課題に対し、革新的なヒアラブルデバイスの開発・販売を行っている。

アメリカのクラウドファウンディングサービスINDIEGOGOにて1億円超の資金調達に成功。韓国・アメリカでFDA認定(医療機器認定)を取得。CES2020(世界家電見本市)にてイノベーションアワード受賞。2019年本社を日本に移転し、現在日韓米で事業展開を行う。累計12億円を超える資金を調達済み。

ものづくりを目指した幼少期と大学生時代


ーーー今でもプロダクトの最前線で商品の開発に携わっているCEOですが、物づくりにはいつから興味を持ち始めたんですか?

私は小さい頃から未来を描いた日本のメカ系アニメが好きで(笑)、小学生のときはアニメから着想を得ては放課後、発明クラブの活動に熱中していました。

そこからものづくりの道へいくことを決めたのは、サムスン直下のSAMUSNG ART & DESIGN INSTITUTE(サムスン アート&デザイン インスティテュート )でプロダクトデザインを学んでいた大学2年生のときです。

ーーー サムスン!世界の有名ブランドですよね!どのようなきっかけだったんですか?

私が手掛けた、日常生活での鍵の締め忘れを防止するプロダクトが、世界三大デザインアワードのひとつ『Red Dot Design Award』で『Best of Best』という賞を受賞したんです。同じタイミングで、「サムスンでプロダクトデザイナーとして働いてみないか」と声をかけられ、大学に通いながら社員と同じチームで働き始めました。

授業と仕事の両立は想像以上にハードで、遂には栄養失調で入院するほどでした、苦笑。それでも自分が選んだ道でNo.1になりたいとその時は必死に頑張っていましたね〜。ただ、その日々があったからこそ、『頑張ればちゃんと結果がついてくる』ことが確信に変わり、いまの自信につながっています。


世界三大アワード「Red Dot Design Award」で「Best of Best」を受賞したミョンクン氏の「鍵」のプロダクト

「聞こえ」の問題に取り組むと決めた叔父の存在

ーーー結果を出したサムスン時代を経て、その後名門コロンビア大学院の建築学科に進学されたんですよね?

そうです。2年間のサムスンでの仕事を経て大学を卒業した後、アメリカ・コロンビア大学院の建築科に進学しましたが、期待とは裏腹にフラストレーションがたまるような日々が待ってました。

学んでいたことが未来の都市計画やNYの交通渋滞を緩和する方法などで、サムスンで実際のプロダクト作りに携わっていた私にとって、どれもリアリティのある問題には感じられなかったんです。周りの友人たちに「なぜこれをやるべきなのか?」と聞いても、皆「課題だから」という答えばかりで、研究に没頭できず、学んでいることに意味を見出せなかったんです。


ーーーなるほど。そんな中で、聞こえの問題になぜ注力しようとされたですか?

アメリカに住む叔父の補聴器に違和感を感じたのがきっかけでした。

当時、家族と離れて暮らしていた私を気にかけてくれていたのが、アメリカに住んでいた叔父で、週末になるとよく韓国料理を振る舞ってくれたりと、心のよりどころになってたんです。ただ叔父は難聴で会話を楽しむのが難しい状況にありました。そこで、会話を楽しむために数十万円の高価な補聴器を買ったのですが、聞こえ方に満足できず、なんと1週間もしないうちに使うのをやめてしまったんです!!笑


“聴覚サポートイヤホン”の開発にきっかけになった叔父夫婦


ーーー叔父さんの補聴器がきっかけだったんですね!

数十万円の補聴器ですよ?こんなにも高価なのになぜ満足のいく「聞こえ」にならないのかを知りたくて、叔父の補聴器を分解してみました笑。プロダクトデザイナーだった私には、その補聴器の原価は5,000円ほどに見えるのに、実際の販売価格は、その100倍ほどです。大事な家族がその補聴器に期待と信頼を寄せていたからこそ、ものづくりをする者として強い憤りを感じたことを覚えています。叔父の「難聴」という課題に出会い、「大切な家族のために」という今まで見つけられなかった『なぜやるのか』に初めて納得する目的ができたんです。いつか、補聴器とは異なるアプローチで聴覚サポートが可能なプロダクトを開発する!という目標ができた瞬間でした。



ーーー目の前の大切な人のために一刻も早く補聴器の課題を解決したいという思いが、CEOをプロダクト作りに向かわせたんですね!開発をする上での困難だったことを教えてください

サムスンのオーディオ担当に「Impossible(不可能)」と言われたことがあります笑。最初のアイディアは、Bluetooth機能を搭載した聴覚サポートデバイスの開発を目指していたのですが、当時は自動で「聞こえ」にあわせて音を調整するイコライジング機能を持つソフトウェアを、独自で開発することは相当な技術が必要だったんです。今では無事に製品化していますが、当時そのアイディアをもってサムスンのオーディオ担当に相談すると『Impossible』と言われました。



ーーー「インポッシブル」と言われたんですね、苦笑。ただ諦めなかったから今があるんですよね。

そうですね。「聴覚サポートイヤホン」は補聴器や集音器の市場にありながらも全くの新ジャンルのプロダクトだったため、だれも正解を知らないという未開の分野です。だからこそ今までの『頑張ったら結果は必ずついてくる』という経験を信じて、ただトライし続けました。

そこから兵役に従事している2年間は補聴器市場の調査や、ビジネスモデルの設計、プロダクトやソフトウェアの開発仕様を作成することに集中しました。そして2016年3月から1人で起業する準備を進めたんです。投資家からの資金調達のためにプレゼンを重ね、補助金の申請、試作機の開発、経理、採用などをほとんど1年間、1人で行っていました。プロダクトデザインと開発以外は全てが初めてのことだったのでたくさん失敗もしましたし、資金が尽きそうになってヒヤヒヤしたこともありました。とにかく一つ一つが手探りでした。


ーーー1人でやられていたことがここまでつながったんですね。このプロダクトは「行ける!」と思った時のことを教えてください!

INDIEGOGOによる約1億円の資金調達で開発した聴覚サポートイヤホンの初代モデルと、次期モデルの試作機


2016年11月にアメリカのクラウドファウンディングサービスINDIEGOGO(インディーゴーゴー)を使い試作品の先行販売を始めました時のことが印象に残っています。

当時商品はまだ試作機の状態で、私が持っていたのは思いとコンセプトのみ。それでも私たちの初めてのお客様だった一人の男性は、アイディアとそこにある可能性を期待して、購入してくれたんです。信頼して購入してくれたその人にとても、とても感謝しましたね。

その後、順調に売り上げも伸びていき記念すべき1期目の最終日、2016年12月31日のことです。突然、INDIEGOGOから大量の通知が届き、iphoneが鳴り止まなくなったのです・・・。大勢の購入者がサイトに殺到し、私たちのプロダクトを購入してくれるという奇跡が起きたんです。 その1日でこれまでの累計売り上げを超えるほど。もう、何がなんだか全くわからず、もちろん嬉しいのですが本当に信じられない気持ちでした、、。もし神様がいるとしたら『人生をかけてこのビジネスを続けなさい』と背中を押してくれているのかと思ったほどです(笑)。それほど予想だにしていない状況でした。

実はその日、INDIEGOGOで話題のプロダクトとして私たちのプロダクト「聴覚サポートイヤホン」がニュースレターで取り上げられ、それがきっかけで多くの人に見てもらえたのでした。そして彼らは、プロダクトへの期待を「購入」というかたちで背中を押してくれました。

この経験は、それこそ幼少期から発明家に憧れ、ものづくりにハードにチャレンジし続けてきたこと全てが報われた瞬間であり、確信に変わった瞬間でした。


2019年の販売開始から約30,000台を販売する、聴覚サポートイヤホン「Olive Smart Ear(オリーブスマートイヤー」


ーーーそれから4年。今後の展望を聞かせてください。


既存の補聴器とは異なるアプローチで開発された、私たちのプロダクト「聴覚サポートイヤホン」は進化をし続け、『価格・デザイン・機能性』の課題を解決しました。価格は約3万円ほどと安価でありながら、見た目はワイヤレス音楽イヤホンのようにスタイリッシュで、スマートフォン1つで簡単に自分にあった聞こえに調整ができるものになっています。

嬉しいことに世界3か国で累計30,000台を販売し、少しづつですが社会を変えることができていることに嬉しさを感じています。

ただ、私たちはまだまだ始まったばかりです。3月には新しい機種の発売がありますし、中長期的には「聞こえ」だけに止まらない健康課題を解決し、世界を代表するヘルステック企業に成長していきたいと考えています。

Olive Unionは一緒に働く仲間を探しています!


<こんな方を募集中です>

・「業界を変え、社会課題を解決する事業を立ててみたい」・・・社会課題や事業開発に興味がある方

・「人と一緒は嫌だ、他の人よりも早く成長したい」・・・成長意欲の高い方・スキルアップしたい方

・「新しいことをしてみたい、会社を上場させたい」・・・自分の可能性を試してみたい方

・「英語を使って仕事をしてみたい、世界を舞台に活躍したい」・・・グローバルに働いてみたい方

興味をお持ちいただけた方は、Wantedlyで掲載中の下記募集ページよりご連絡ください。

まずは話を聞いてみたいという方も、お気軽にご連絡お待ちしています!


オープンポジション
2000万人を感動させる!日韓米グローバルベンチャーでのリーダーポジション
Olive Unionは日本に2000万人いる難聴者の ”聞こえ”の社会課題解決 に本気で取り組む日・韓・米のグローバルスタートアップです。 ■実績■ 補聴器の低普及や、認知症の拡大といった聞こえに関する社会問題に対して、従来の補聴器や集音器とは違う、革新的なヒアラブルデバイスを開発し、日韓米で事業展開をしてきました。私たちが開発した「Olive Smart Ear」は販売1年で世界で20,000台売り上げ、ラスベガスで開かれた世界最大の展示会CES2020(米国家電見本市)でイノベーションアワードを受賞しました。また会社としても前年比で約10倍の成長を遂げており、急成長中のベンチャーです。 ■今後の展望■ WHOの試算によると、2030年には現在の約2倍、全世界で10億人もの人々が耳の聞こえに課題を持つとされていますが、特に難聴者に限っても補聴器利用率は13.5%と非常に低水準に留まり、多くの方が聞こえに課題を抱えたまま日常生活を送っています。また、補聴器の場合、平均価格は10~20万円と非常に高額であることに加え、補聴器に対する“ネガティブな社会認知”が普及のハードルになっていると考えられています。今までも、そしてこれからもIoT、AIテクノロジーを用いたヒアラブルデバイスの事業拡大を目指していくとともに、新規事業を創出し、真の健康社会を実現します。 ■経営陣説明■ 代表)韓国、ソウル生まれ。 SAMSUNG ART & DESIGN INSTITUTEにプロダクトデザイン専攻で入学。サムスン電子のプロダクトデザイナー・リーダーとして活躍後、コロンビア大学建築学科修士課程に進学。その後叔父の難聴から創業を決意。2016年弊社を創業。 取締役)オーストラリアの大学を卒業後、Foxconn、ヒュンダイ自動車、ベンチャーキャピタルで韓国に加えてインドやシンガポール等の複数国での事業開発を経験後、2017年Oliveunion入社。同年取締役に就任。CGO(Chief Global Officer)として海外事業展開の責任者を務める 執行役員)新卒で大手専門商社に入社し、財務・新事業開発を歴任。スタートアップとの協業及び投資プログラムをゼロから設計。その後LITALICOで、経営企画・管理会計を担当し、OliveUnionへの出資プロジェクトに参画。2019年、当社に入社、管理本部長としてファイナンス及び管理部門をを管掌。一橋大学経済学部卒。
株式会社Olive Union

【他のおすすめ記事】


「どうみてもチャンスしかない」世間を騒がせた!某ブランドの立役者がスタートアップに入るまで【社員インタビューVol.1】 | 株式会社Olive Union
こんにちは!株式会社OliveUnion、広報の走内です。Oliveメンバーの生の声をお届けするため、社内の様々な人にインタビューをしていきます。今回お話しを伺ったのは営業・CS責任者の坪井さんです! 今回は坪井さんがOliveにジョインした理由や、普段のお仕事について聞かせてもらいました! 【プロフィール】 坪井 伸太郎(つぼい しんたろう) 大阪生まれ。University of ...
https://www.wantedly.com/companies/company_4702996/post_articles/303957


My Journey from California to Olive Union and Japan【Employee Interview Vol.2】 | 株式会社Olive Union
Hello! This is Mana from PR department at Olive Union inc. I will interview various members in Olive to deliver the fresh members' voice. This time, I talked to Nick from the US team !!! I asked Nick about why he joined our company and about his usual wor
https://www.wantedly.com/companies/company_4702996/post_articles/306286
株式会社Olive Unionでは一緒に働く仲間を募集しています
4 いいね!
4 いいね!
同じタグの記事
今週のランキング