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日本のDXを推進するDXERが、情シスをこれからの時代のヒーローにしたい理由

日本の喫緊の課題であるDX

世界に比べてデジタル活用が遅れたことにより、日本はグローバルでの競争力を大幅に失いました。日本の経済を再び成長させ、生活を豊かにするには、デジタルの力による働き方の改革が欠かせません。

そして、DXの成功を左右するのが企業の「情報システム部(情シス)」。社内システムの企画や戦略、保守運用などを任されている部署ですが、日本では「コスト部門」と捉えられることも多く、その重要性はいまだ理解されないまま。しかし、DXを推進すると必然的に社内の基幹システムはクラウド化が進み、その管理をする情シスの存在は重要度を増していきます。

社内システム管理の如何によって、社内の生産性は大きく変わるため、優秀な情シスを抱えることは、これからの企業の競争力を左右すると言ってもいいでしょう。日本のDXを推進する私たちも、この情シスに着目しており「情シスをDX時代のヒーローにする」をビジョンに人材事業を展開しています。

今回は代表の向井に、現在の事業に行き着くまでの経緯と、今後の展望を聞きました。

生産性の高い働き方を日本に広めたい。DXを起業テーマに据えた理由


―まずはDX領域で起業しようと思ったきっかけを教えて下さい。

起業する前に勤めていたHubSpotの働き方に感銘を受けたからです。HubSpotでは自社でマーケティングSaaSを提供していますが、社内でもさまざまなクラウドツールを使いこなしていて、会議はZoomですし、インターネット環境下であれば、世界中のどこに居ても仕事ができる状態でした。業績は伸びているのにみんな夕方頃には帰っていたり、海外を旅行しながら仕事をしている社員もいました。その社内システムやカルチャーを日本企業にも広めたいと思ったのです。

もともと社会に出る頃から、いつか起業したいと思っていたので、HubSpotでの経験は起業テーマを「DX」に据える大きなきっかけになりました。

―起業しようと思ってから、最初はどのようなビジネスを計画したのでしょう。

最初はSaaSのアカウントを管理するクラウドツールを考えていました。今やどんな企業も平均20以上もSaaSを導入していると言われますし、多い企業ともなれば300以上のSaaSを導入していると言われています。しかし、それぞれのSaaSでアカウントを管理するのは大変な作業。

海外では既にSaaSアカウントを一元管理できるソリューションも生まれており、日本でも市場が出来上がるのは時間の問題でした。しかし、SaaSの管理ツールには参入障壁を築き上げづらいと感じました。競争が激化すれば開発力と営業力の勝負になるため、スタートアップの私達が大企業に勝てる戦略が思い浮かばない。始めるのが遅すぎると思い、ピボットすることを決めました。

―次はどのような事業を計画したのでしょうか。

次に考えたのはカスタマーサクセスのDX支援。私はHubSpotでカスタマーサクセスをしていたので、その知見をもとにプロダクトを作り始めました。しかし、Webサイトのリリースと同時に、類似サービスを展開する企業が資金調達したニュースが飛び込み、これまた断念することに。「これがスタートアップか……」と思ったのは覚えていますね。

長らく放置されてきた情シスの「働き方」の課題。情シスがうまく機能すれば企業経営はこう変わる


―次にピボットした事業についても聞かせてください。

次はDXのための人材プラットフォーム事業を考えました。DXに必要なスキルや経験を持つ人材と、DXを進めたい企業をマッチングさせるプラットフォームです。

そのアイディアを形にしている時に、複数の企業の経営者にヒアリングを行い、1つのヒントが見えてきました。それは、自社が求める水準を満たした情報システム部門の人材がなかなか採用できない、というものでした。

なぜそのような現象が起きているのか?

原因を突き止めるために、次は約50人ほどの情シスの方々に直接連絡をしてインタビューを実施していきました。

そして見えてきた大きな課題は、社内で専門的な人材がいないために人事担当者やコーポレート部門の担当者が兼務で何とか対応している、また情シス担当者が一人しかいないために会社を辞めようにも引き止められる。休日出勤なども頻繁に起きている。そうであるにも関わらず給料水準は低いと、情シスの労働環境は課題だらけでした。

そのような課題はネットで調べても出てきません。足で稼いだからこそ見つけられた課題だったので、解決しがいのあるテーマだと思ったのです。

―なぜそのような課題が今まで放置されてきたのでしょうか。

以前から課題があったものが、新型コロナウイルスの影響で顕在化したのだと思っています。


情シス業務の約75%が、主にビジネスを維持するための業務である「ノンコア業務」だと言われております。

出典:rescue-it-025.pdf


問題を紐解いていくと、大きく3つの変化によって情シスに求められる役割や業務の幅が拡大していることが分かってきます。

一つ目が、急速なクラウドシフトにより、企業の基幹システムがオンプレミスからクラウドに移り変わっていることです。クラウドは初期導入費用が安く、従量課金であるため、もし自社の業務フローに合わなかったとしても、解約やシステムの切り替えが容易です。利便性が高いため、クラウドの利用はさらに増加していくと予想されます。そして、社内システムというくくりのため、情シス部門がその管理を任せられるケースが非常に多いのです。

二つ目が、副業などの雇用形態の多角化。副業やフリーランスなど新たな雇用形態が増えた事で、企業は相対的に入退社や従業員の数は増えています。これに伴い、SaaSアカウントの発行・削除、またPCの準備やヘルプデスク対応などの数が増えたことで情シス部門の業務が圧迫されているのです。

最後は新たなセキュリティリスクの顕在化です。リモートワークになった事で、従業員が社内のネットワークから社内の情報資産にアクセスするという前提が覆りました。企業はリモートワークに対応した新しいセキュリティのアーキテクチャを構成することが求められ、情シス部門はノンコア業務だけではなく、コア業務への対応も求められているのです。

―では、優秀な情シスがいることで、企業活動はどのように変わるのでしょうか。

先程も言ったように、急成長する企業ほどSaaSを活用しており、会社管轄で使っているSaaSだけでも100を超えます。しかし、SaaSを導入しただけでは生産性は上がりません。

例えば、誰に権限を渡すのかなど運用ポリシーを決めなければいけませんし、Slackなどのコミュニケーションツールもグループやチャンネルの作り方一つで社内での情報の非対称性がなくなるため、組織の生産性は大きく変わります。1人の作業時間が5分短縮できるだけでも、100人の会社なら8時間以上も生産性向上が期待できます。

しかし、現場で働いているエンジニアは、日々の業務が忙しくて「どうすれば一番効率的なグループ分けができるか」なんて考えている暇はありませんよね。だからこそ、SaaSの使い方を最適に設計する情シスの存在が重要なのです。

日本では情シスに投資する意識が低いですが、アメリカなどでは年収1,000万円を超える方も珍しくありません。日本では少し考えられない額ですよね。それくらい日本とアメリカでは情シス、つまりコーポレートIT部門の捉え方が全く違うのです。

新プロダクトで「日本の経営をヒト・ドリブンにする」


―現在は情シスの副業・フリーランス人材シェアリングサービスを始めたばかりですが、今後はどのように事業を展開していくのでしょうか。

人材シェアリングサービスを展開するのと同時に、情シスのためのプロダクトを開発していく予定です。今は人の力によって解決されている問題を、プロダクトで解決できればと思っています。

今は社内のシステムが部門ごとに分断されているので、各部門から集めた情報を、情シスが手入力している会社も少なくありません。全社のシステムをつなげることで、各部門で入力した情報が、リアルタイムで情シスに反映されるようなプロダクトを作っていくつもりです。

現在は様々な情シスにヒアリングしながら、アイデアをプロダクトに落とし込んでいるところ。もちろん、プロダクトだけではDXを実現できないので、プロの情シスの方々に顧客企業の導入をサポートしてもらい、プロダクトの収益をサブスクリプション期間が続く限りお渡しするようなスキームを考えています。

―プロダクトを通して、どのような社会をめざしているのでしょうか。

私たちのミッションは「日本の経営をヒト・ドリブンにする」です。

情シス部門が、リモートワークを前提とした社内システムの構築、業務とルール整備、およびセキュリティ対策を実行できれば、社員がどこにいても社内と同じような環境下で業務に専念する事ができます。また新型コロナウイルスにより一気に進んだリモートワークの流れは不可逆な変化だと思っております。

そのため、今後は従業員がリモートワークを選択できるというのが優秀な人材を惹きつける上での必須要件ではないかと思っています。

これからは多くの企業が成長のためには、新しい働き方を提供する必要があると捉えるようになります。共加えて、個人にとっても一つの職場でスキルや経験を取得するのではなく、より多くのコミュニティに所属する事で、自己成長の機会を得ることができるようになるのです。

このような社会になることが、今後の日本が世界から取り残されないための手段の一つではないかと考えています。

この過程において、情シスの方々にスポットライトがあたる世の中にしていきたいのです。

日本の経営をヒト・ドリブンにするために、まずはDXERがお手本に


―これから事業を展開していく上で、どのような人材を求めていますか。

これまでの内容を読んで、情シスの課題に興味を持った人に来てほしいですね。情シスの課題を解決することは、日本のDXを進めること。そのため、日本のDXを進めたいと思っている方もぜひ話を聞きに来てください。

―情シスが活躍することで、日本の働き方はどう変わるのでしょうか。

情シスが活躍できれば、やらなくてもいい無駄な作業が減り、その分余剰時間がうまれます。その時間を作って他の作業をしてもいいですし、副業で他の企業を手伝ってもいい。そういうものが積み重なると巡り巡って日本のGDPも上がるはずです。

一流の情シスほど影のような存在ですが、そんな情シスをサポートすることで、日本全体を変えるポテンシャルがあると思っています。その可能性を感じた方とぜひお会いしたいですね。

―情シスの事業に携わる面白みがあれば教えて下さい。

会社全体の動きを見られることです。情シスは全社のシステムを見ているため、どんなデータがどのように使われているのか把握しなければなりません。それを踏まえて、経営計画に沿ってシステムを作っていくのです。

情シスはそういった会社全体の動きを見ながら働いているので、情シスを支えることは会社全体に大きなインパクトを与えます。それが大きなやりがいですし、面白みだと思いますね。

―最後にDXERに興味を持った読者にメッセージをお願いします。

私たちは日本のDXを進めるために、私たち自身が教科書になりたいと思っています。SaaSをうまく活用して一人ひとりの生産性を上げ、周囲に情シスの可能性を感じてもらえる企業になるのが目標です。

そのためには働き方の多様性も重要で、正社員以外の働き方も大歓迎。実際に今は20名弱の方に働いてもらっていますが、正社員は一人もいません。これから正社員も採用していくつもりですが、それ以上に業務委託や副業などで関わってくれる人たちも増やしていくつもりです。

フルコミットメンバーとして一緒に日本のDXを進めたい人はもちろん、それ以外の働き方でもビジョンに共感してくれた方とぜひ一緒に働きたいですね。

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