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VC歴1年、やりがいはこれから。
自分の名前で仕事をする世界だからこそ
「自分のコミットする領域を見つけたい」---
Investment Manager 向川恭平②

DNX Venturesには多様なバックグラウンドをもつメンバーがいます。
これまでManaging Director以外をご紹介する機会があまりなかったので、
今回は改めて東京オフィスのInvestment Professionalたちのキャリアや仕事を紹介します。

2009年に入社した大手総合商社・三菱商事を退職し、DNXへ転職したInvestment Manager 向川恭平。
頭脳明晰さと前職で培った多様なスキルをもって
アソシエイトの多種多様な仕事をテキパキとこなす向川が、
「ロジックに限界を感じている」と話します。なぜ?

VCに転職して1年、彼の目に映るベンチャーキャピタルについて、
そして入社1年DNXカルチャーについて、そして今後の目標について語ってもらいました。
弊社の中途採用を受けるか考えている方々にはもちろん、
大企業から転職を考えている人にも共感する内容になっているかと思います。
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起業に至るストーリーは三者三様、いろいろな人がいて面白い。

三菱商事を退職し、この業界へ来て付き合う人の幅が増えたと感じています。ファンド出資者に数多くの大企業(事業会社や金融機関)がいるので、三菱商事にいたときに会っていたような大企業の方々とのコネクションは切れていません。

一方起業家側の方を見ると、本当にいろいろな人がいてとても面白いんです。大企業にいると、学歴や経歴、そして強みにしている特徴(例えばコミュニケーション能力など)が似通ったりしていると感じましたが、起業家は人によってバックグランドも強みもバラバラ。東大卒マッキンゼー出身で明晰な頭脳を活かして起業している人もいれば、ひとつの業界に何年も従事してきたからこそ業界の深い課題や業界での振る舞い方を理解し、それを活かして起業している人もいる。無論優れた技術者やエンジニアの起業家もいます。また、モチベーションも人によって異なります。すでにある程度お金を稼ぎ切ったからこそ大きな社会課題に挑戦したい人もいれば、過去の大きなトラウマがきっかけになってそれを解決するために誰よりも情熱を持って努力する人もいます。

そんなふうに、起業するに至ったストーリーが複数あることが面白いですね。自分と異なるバックグランドの人と自分がどんなに異なる意見を言っていても、世の中の見方や価値観が違うので、あらゆる会話が「この人のレンズで見れば、一理あるんだろうな」というところから始まるんです。


何事も論理的に考えることが好きな自分ですが、
VCの投資判断は、ロジックだけではなく、アートの部分も多分にある。

VC業界にきて一年ちょっと経ち、いろんな会社・起業家と出会うなかで、VC投資に向いている案件と向いていない案件はだいぶわかるようになってきました。ただ、投資すべき案件と良い案件だけど投資までは至らない案件の差が見極めにくく、判断がつきません。

ファームとして出会う起業家のうち、投資に至るのは大体1〜2%くらいと言われています。100ある案件の中から投資に向いている10を選別するには、論理的思考や過去事例の勉強が非常に有効で、MBAで培った知識や論理的思考が生かせるところ。例えばシードステージであれば、やろうとしている事業に潜在的なお客さんはいそうか?そのお客さんは有料でも使いたいくらいペインを感じているのか?起業家はそのマーケットでお客さんにどっぷりと入り込んで本音を聞き出し、プロダクトにフィードバックできるような人柄や経歴があるのか、将来的な市場規模は大きいか?など色々な切り口から確認します。

一方、10ある案件の中から投資すべき1−2件を選別するところは、ロジックだけでは不十分、かつ、キャピタリストによって判断ポイントが違う。例えば、起業家の魅力度を最終判断の拠り所にするキャピタリストは、その人との馬が合うかとか、意見交換をするときにリスペクトができるかとか、キラキラしていて人を惹きつける魅力があるかとか、そういったロジックで説明のつかないところで投資が決めることも多いと感じます。また、カスタマーペインの大きさを大切するキャピタリストは、マーケットが現時点で全くなくても、起業家が解決しようとしている課題が大きければ横論で投資を行います。そういう場面でこそ、キャピタリストであるパートナーの判断が重要ですし、すごい面白い。ゴマンとある切り口の中でなにを重要視するのかというところに、論理的には説明できないアートがある。同じ投資の仕事でも、ベンチャーキャピタルはその点、分析できる案件の情報量が多く、判断基準もしっかりと確立されている再生ファンド(いわゆるPE)とは、かなり特質が違うと感じています。


経験もネットワークもないから、起業家の力になれることをコツコツと。

この一年間は、新ファンドの設立、資金調達、既存投資先の支援、パートナーと新規案件のDue diligenceを共同でやったりしながら、キャピタリストとはなんぞやということを学習することで手一杯でしたが、まだキャピタリストとしての醍醐味は感じられていません。パートナーを見ていても思いますが、キャピタリストの醍醐味はあくまでも自分が信じきれる起業家を探し、投資し、その後の成長を支援すること。僕はようやく最近、自分の応援したい会社を見つけて、社内を通して投資するというVCの醍醐味[1] に挑戦し始めたところです。

パートナーの横で仕事をしていると、並々ならぬ責任感をもってスタートアップと向き合っています。投資をしない/できないと決まった会社には、諦めや悔しさや失恋のような想いを見せたり、投資先にはいつも丁寧かつ真剣に向き合っています。投資先が苦しいときこそ、信頼関係を維持している起業家に関しては、金銭的にも精神的にも全面的にサポートしている。キャピタリストはこうあるべきだなと思う。

一方、起業家からすると数多あるVCから一社を決めるのには、その投資家から出資を受けたい何か理由がある。アソシエイトからパートナーになるまで道のりはなかなか長いですが(笑)、尊敬するキャピタリストたちを見ていると、ステップアップをしていく上では、起業家が求めるものに応えられることが重要だと思っています。

私見ですが、アソシエイトクラスは、起業家のためになることをなんでも精一杯やって、付加価値の高さ関係なく、貢献の量で勝負するのかなと。今の僕はまだここです。例えば、事業計画を一緒になってつくったり、顧客を紹介したり、ディカッションパートナーになったり。プリンシパルクラスでは、[2] 領域や要素技術などなにかしらの軸で強い専門知識を持ちつつも、歴史、業界、地理的な横断比較などを用いながら、投資先にアドバイスできる水平的垂直的な専門性を持っている人が多いかなと感じています。[3] 最終的にパートナークラスの方は、上述したことに加え、上質な投資家、起業家とのネットワークを深くもち、また、ネットワーク内での評判をピカイチに高めている人が活躍されている。そして無論投資リターンの実績が伴っている。そうすればスタートアップが人に困っていたら、適任を紹介・供給できるし、経営課題に対してソリューションを提示することもできるようになりますよね。


DNXの魅力は素直でフェアな人が多いこと。

最後になりますが、DNXの一番の魅力はとにかくみんな清々しいほど、フェアネスと素直さをもっていることだと思います。タームシートの出し方や交渉などの場面では、少しでも有利な条件を引き出すという思考ではなく、業界のスタンダードから逸脱しないフェアな関係を築こうとしているし、起業家に対しても、いいことも悪いことも思っていることはしっかりとフィードバックする勇気を持っている。基本的には性善説で、相手を信じすぎて失敗することもある。もうちょっとずる賢くいくべきと思うこともあるくらいです(笑)。僕自身、仕事をする上では、あまり裏表を作ることなく、自分が思うこと、考えていることをちゃんと伝えることを大切にしているので、DNXには強くカルチャーフィットを感じています。

また、カバーしている地理と運用している金額の大きさに対して、チームの人数が少ないので、ひとりひとりが任される仕事の領域がひろいのも特徴。スタートアップで言えば、プレ・シリーズAくらいの会社と似ているんじゃないかと思います。逆に言えば、常にやることが多すぎて、心を鬼にしてプライオリティをつけないと、どれも中途半端になるなと気を引き締めています。どの投資先も全部サポートしたくなっちゃうんですが、全部やろうと思うとキャパシティが溢れちゃう。ぜひ自らそういった仕事のマネジメントができる方にぜひお越しいただけたら嬉しいです。


前編はこちら👇
「三菱商事からDNXヘ。完璧を求める大企業と、不完全な情報量で早く最適な判断を求めるVC」---Investment Manager 向川恭平①

(文/写真・上野なつみ)

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