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サイエンスのお話 初級編

ミラクアとサイエンス

ミラクアは段ボ-ル工場向け排水処理設備を販売している会社です。

排水処理とサイエンス(特に化学と生物)は切っても切れない関係にあります。

1年以上雑記ブログのような形でストーリーを更新してきましたが、今まで一度もサイエンスについて触れたことがありませんでした。

ネタも尽きてきたところで、たまには大真面目に弊社の事業の根幹をなす部分について語ってみよう、初歩的な知識の紹介をしてみようと思います。


キレイな排水とは

段ボール工場で生産を行うと、廃水が出ます。

この廃水はもちろんそのままでは工場外に排出することが出来ません。

ちなみに「はいすい」には2通りの漢字があり、生産工程で出た未処理の汚れた水を「廃水」、処理を施しある一定の基準までキレイにしたものを「排水」というように使い分けます。

ではキレイの基準とはどんなものなのでしょうか。

透明になれば良い?

魚が死なない程度のキレイさ?

人が飲めるくらいにしたい?

もちろんそういった見方も基準のひとつなのですが、それだとあいまいですよね。

排水処理の世界では定量的で具体的な数値基準を設け、それらをクリアしたものをキレイな排水と位置づけています。

その基準をいくつか紹介しましょう。


段ボール排水の主な排出基準

「pH」

ペーハーまたはピーエイチ。表記は小文字pに大文字Hが正しい。

酸性かアルカリ性かを示す指標。

1~14までのレンジで表され、7が中性、7未満が酸性、7より大がアルカリ性。

5.8~8.6の排出基準を求められることが多い。


「SS」

エスエス。

suspended solid の頭文字を取ったもので、日本語では浮遊物質量と訳します。

水の透明度を示す指標です。

河川放流の場合いくら、下水放流の場合いくらという感じで定められていますが、弊社の排水処理でこの基準をクリア出来なくて困るということはまずありません。


「BOD」

ビーオーディー。

生物化学的酸素要求量。

一番重要な指標なので少し説明が長く、難しくなります。お付き合いください。

段ボール生産工程ではインク、でんぷん糊、化学糊、油分等たくさんの有機物を使用します。

これらの多くは自然界にとって有害なものなので、無害化・低害化しなければいけません。

有機物は主にN(窒素)、C(炭素)、H(水素)が複数結合して構成され、それらを分解し酸化することで無害化・低害化します。

窒素はNO2に、炭素はCO2に、水素はH2Oにといった具合です。

水が汚れていれば汚れている(有機物が多い)ほど、キレイにする(分解して酸化する)ために多くの酸素が必要になります。

汚れている=酸素要求量が多い、というわけです。

さて、分解し酸化すると言いましたが、それは誰がやってくれるのでしょうか?

答えは微生物です。

微生物はこれらの有機物をいわば餌として体内に取り込み、酸素を要求しながら分解・酸化してゆきます。

微生物が有機物を無害化するのに、どれくらい酸素を要求したのかを測定したものがBODというわけです。

ちなみに排水を下水に放流する場合、排出基準は600mg/L未満が一般的。

河川に放流する場合は120mg/L未満だったり、80mg/L未満だったり、時には10mg/L未満なんてとんでもなく厳しい場合もあります。

10mg/L未満の排水などは、大げさでなくほぼ飲めます。

おいしくはないですが…。

その基準に合わせて設備や処理方法を設計し、提案してゆくというわけです。

私も駆け出しの頃はこのBODの概念を理解するのに時間がかかりました。


上記3つ以外にも「COD」「n-ヘキサン抽出物」「DO」等、知っておくべき指標はあるのですが、今日は初級編なのでこのへんで。

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