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日本が誇る食の文化をテクノロジーで革新する。フードテックキャピタルが見据える外食産業の未来

日本の外食産業は世界に誇れる文化です。これほど食材のバラエティが豊かで、サービスの品質が高く、どのような価格帯でも美味しい料理が味わえる国は他にありません。

それにも関わらず、日本の外食産業は現在、危機的な状況に陥っています。DX化の遅れにより、諸外国と比較すると日本は収益性の悪さや業務の非効率さが目立っています。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により外食産業は甚大なる被害を受けました。

私たちは外食産業におけるDXを推進し、この業界をテクノロジーで変革するために、株式会社フードテックキャピタルを設立しました。外食産業の現状や当社の目指すビジョンについて、代表取締役 CEOの鈴木大徳が解説します。

鈴木 大徳
株式会社フードテックキャピタル 代表取締役社長
2008年株式会社CFO Consulting Group創業。約10年間で累計1,000社以上の財務コンサルティングを手掛け、外食企業クライアント300社4,000店舗以上。うち上場した企業は一家ダイニングプロジェクト、串カツ田中、 ギフト、NATTY SWANKYなど(出資先含む)。新たな支援の形として「外食産業DX革命の一翼を担いたい」という思いから、株式会社フードテックキャピタルを創業。

外食産業が抱えるDX化の課題

――日本では、外食産業のDX化がなかなか進まない課題があったと伺っています。この原因は何にあるのでしょうか。

日本で外食産業に携わる企業のうち、上場しているのは100社に満たず、99%以上が中小・零細企業です。ITリテラシーがそれほど高くない企業がほとんどのため、社内にDX推進をする人材がいません。さらに一店舗あたりの利益率も低いため、システム投資をする資金的な余裕がないのです。そうした事情により、他業種と比較して外食産業はDX化が遅れている状況が続いていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の流行という大きな環境変化が起こりました。従来のビジネスモデルが通用しない状況が生まれ、テイクアウトやフードデリバリーなど、テクノロジーの導入を前提とした業態へ転換する必要性が生じたのです。

――相当に大きな転換期ですね。

これを商機と捉えて、国内外のフードデリバリーのプレイヤーたちが、日本のマーケットで自分たちのシェアを広げようとしています。また、テクノロジーの重要性に気づいた外食産業の企業の中には、徐々にDX推進に取り組もうとするところが現れています。しかし、各社がうまくテクノロジーを導入できていないのが現状です。

――なぜでしょうか。

理由はいくつかあります。1つ目は社内にテクノロジーに詳しい人材がいないことです。DX化を進めようにも、何からどう手をつけたらいいのかわからないという状況が生まれています。2つ目はDX化を支援するテック企業側が、外食産業の経営ノウハウを持っていないことです。こういった理由により、テック企業と外食産業の企業側とでコミュニケーションがうまく成立せず、DX化のプロジェクトを成功させることが難しいのです。
3つ目として飲食店では現在POSシステムや注文管理システム、フードデリバリーのシステムなど多種多様なシステムが利用されていますが、それらのデータが統合・連携できていないという課題があります。

例えば、複数のデリバリー・テイクアウトプラットフォームを導入している店舗は、サービスごとに別々のタブレット端末を設置する必要があります。サービスの種類が増えるごとにタブレットはさらに増えるでしょうし、それらのデータを集約して一元管理するには人の手で別のシステムに入力し直すなどの手間がかかっています。

また、フードデリバリーとイートインの注文データをうまく連携できていないため、現場の調理オペレーションが最適な状態になっていないなどの課題があります。

フードテックキャピタルが推進する事業とは

――その現状を打破し、外食産業のビジネスモデルをテクノロジーで刷新することをフードテックキャピタルは目指しているのですね。他企業と比較して、フードテックキャピタルの事業優位性は何にあるのでしょうか。

前提として、私たちは他のテック企業と明確に異なる点があります。これまで、財務コンサルティング事業とキャピタル事業を通じて飲食店の経営に対するアドバイザリーとバリューアップの経験・実績を蓄積していること。そして、外食企業・店舗との強固なネットワークを形成していることです。

財務コンサルティング事業においては、これまで1,000社以上の支援実績があります。キャピタル事業においては、飲食店企業3社のIPO支援や40店舗の直営・FC店舗運営・飲食業でのニーズ把握、飲食店企業へのキャピタル投資を実施しています。

この実績やノウハウをビジネス基盤としつつ、私たちはフードテック企業への転換を目指しています。外食産業向けテックの新規事業として、注力している施策は大きく3つあります。1つ目は飲食店向けSaaS事業の「delico」です。


フードデリバリー注文一元管理システム delico

先ほど、複数のデリバリー・テイクアウトプラットフォームを利用している店舗は、それらのデータを統合できていない課題があるとお話ししました。「delico」はそれらの注文・売上情報を統合管理できます。つまり、複数フードデリバリープラットフォームの注文・売上を「delico」ひとつだけで取り扱うことが可能です。

現在、のべ20万店舗以上の飲食店がデリバリー・テイクアウトにチャレンジをしており、そのうち約10万店舗が複数タブレットを保持していると言われています。端末をひとつにまとめたいというニーズを多くの店舗が抱えていますから、「delico」はかなり時世にあったサービスと言えます。今後はデリバリー・テイクアウトプラットフォームだけではなく、POSなど飲食店で用いられる他のシステムとの連携も積極的に行います。

2つ目は加盟開発の事業です。この事業ではフードテックキャピタルが他企業と手を組み、DX店舗のシステム設計・開発と店舗開発をセットで支援します。この事業の事例をいくつかご説明させてください。

©ブルースターバーガージャパン

まずは、高品質×低価格のグルメバーガーを提供する「ブルースターバーガー」です。「ブルースターバーガー」の根幹には「質の高いハンバーガーをなるべく安価に提供する」というコンセプトがあります。価格を下げるためにいくつもの工夫が行われています。まずは、テイクアウト・デリバリー専門店にするというアイデアです。

イートインの場所が不要であるため店舗のスペースを小さくできますし、一等地にある必要がないため店舗の賃料を抑えられます。少人数で店舗運営できるため人件費も削減できます。そして、オペレーションを可能な限り効率化するため「delico」を導入しています。浮いた分の費用を原価に投下することで、グルメバーガーでありながら低価格を実現しているのです。

©株式会社カシュ・カシュ

別の事例として、中国で広く親しまれているスープ春雨「麻辣湯」と「薬膳火鍋」の専門店である「七宝麻辣湯」も運営しています。「七宝麻辣湯」は30種類以上の薬膳スパイスと鶏や豚のコラーゲンを含んだスープを用いており、非常に女性人気が高いです。また、春雨は時間が経っても麺が伸びないため、テイクアウト・デリバリーに向いていることもポイントです。この店舗でも「delico」導入により、生産性の向上を目指しています。

これらの事例では「焼肉ライク」など複数の飲食店チェーンを国内外グループ会社で展開する株式会社ダイニングイノベーションと協業しています。これまで飲食業界を牽引してきた素晴らしい企業とこうして新たなチャレンジができることは、非常に意義のある仕事ですね。

そして、3つ目の施策は加盟店向けの、注文管理をハブとした、生産・調達管理やCRM管理などの包括的なシステム設計・デザインです。テック事業においては、主にこれらの3施策を私たちは推進しています。

今のフェーズならば、外食産業を変革する先駆者になれる

――2022年にフードテックキャピタルが目指す目標を教えてください。

事業の展望としては、2021年は仕込みの年だったため2022年は事業やサービスを世の中に広めるフェーズにしていきたいです。「delico」をさらに良いプロダクトに育てていきます。そして導入先を増やしていくことで、飲食店が抱える課題を解決します。また、「ブルースターバーガー」をはじめとするDX業態を作り、全国にそれを広げていきます。

加えて、2022年はフードテックキャピタルに優秀な方々がたくさん参画してくれる世界観を実現したいです。私は現在、経済的な利益を得ること以上に、優秀な人材を可能な限り集めることを優先して会社経営したいと考えています。そのコンセプトを大切にしていたからこそ、2021年はかなりのスピード感でスキルの高い経営陣を集めました。2022年はその流れをさらに加速させたいです。

経営陣や社員と撮影した写真

――スキルの高いエンジニアやビジネス職の方々が、他社ではなくフードテックキャピタルを選ぶ意義はどのような点にあると思われますか。

まずエンジニアについてお話ししますと、インタビュー内でも触れましたが外食産業ではエンジニアリングを担えるプレイヤーが非常に不足しています。かつ、日本国内のDX推進において力を発揮している企業も当社より他にはありません。今のフェーズならば、私たちと一緒に外食産業のDXの先駆者になれます。

フードテックキャピタルでは、エンジニアたちが実際に店舗へと足を運び、現場で行われているオペレーションを把握しながらプロダクト開発することも特徴です。加えて、外食現場の経験が長いメンバーが店舗における実際のユースケースを設計しています。自社運営店舗でフィードバックサイクルを回すことで、プロダクトを継続的に改善しているのです。自分が携わったサービスが実際に店舗で活用されているところを目の当たりにできるのは、非常にやりがいがあると思います。

外食産業はマーケットのボリュームがかなりありますから、事業として大きな売上を生み出し、その利益をエンジニアの方々に還元することも十分に可能だと考えています。食が好きで、外食産業に未来を感じている優秀なエンジニアの方々に参画していただけたら嬉しいですね。

また、ビジネス職の方々にとっても非常に働きがいのある環境を提供できます。今回のインタビューで解説したように、食の関連ビジネスは大きな可能性を秘めていますし、業界構造を変えていく意義が大きいと思っています。そして、私たちはこれまで飲食店の経営に対するアドバイザリーとバリューアップの経験・実績があり、かつ優秀な経営陣が集まっていますから、他社と比較して事業上の優位性も大きいです。


――どのようなタイプの方がフードテックキャピタルの業務にマッチすると思われますか?

まず私が非常に重視しているのは、仕事を通じて成長したいというマインドを持っていることです。自分の人生と仕事における成功とを、リンクさせてもらえたら嬉しいですね。やはりどれだけプライベートが充実していても、仕事がうまくいかなければ、なかなか人生は豊かにならないですから。未知の領域にチャレンジして何かを生み出したいとか、仲間と協力して外食産業をより良くしたいという価値観を持っていることを大事にしています。

それから、私たちは「テクノロジーで食の未来をつくる」というコーポレートミッションを掲げていますから、今回のインタビューの内容に共感してくれて、日本の食文化を大きく発展させることにモチベーションを感じてくれる方がいいですね。

また、フードテックキャピタルには経済的な意味合いでも成功したいというマインドのメンバーが集まっています。お金なんて二の次という人よりは、プロフェッショナルとしてクライアントを豊かにして自分たちも豊かになりたいという人が、私たちの企業文化にはマッチしているはずです。

そして何よりも、前向きに事業や会社を良くしていこうという気持ちや一緒に働く仲間たちを成功に導きたいという気持ちを持った人と、一緒に働きたいと思っています。2022年をフードテックキャピタル飛躍の年にしたい。周囲の方々から「フードテックキャピタルはすごい事業やサービスをどんどん生み出しているな」とか「優秀な人材がみんなフードテックキャピタルに参画しているな」と思っていただけるような一年にしたいと考えています。

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