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6時間で女子大生が「空き家マッチングアプリ」をつくる!非システムエンジニアのためのハッカソンプロジェクト

LINEを使ったハッカソンを現役女子大生と取り組んでみた!

はじめまして、IRIS(イリス)データラボの久保です。今回は「空き家問題」に取り組む調布市空き家制作担当の方と共立女子大学と一緒に取り組んだ「Linyハッカソン」についてレポートさせていただきます!

「ハッカソンってなに?」って思われた方もいらっしゃると思います。この言葉は「ハック」と「マラソン」をかけ合わせた造語です。エンジニアやデザイナーといったいわゆる技術畑の方が集まってチームを作り、特定のテーマに対してそれぞれが意見やアイディアを出し合い、決められた期間内にアプリケーションやサービスを開発し、その成果を競い合うイベントです。

「共立女子大学 家政学部 建築・デザイン学科 建築計画研究室」の学生たちは、未来の建築家の卵、彼女たちはいわゆる「非システムエンジニア」ですが、彼女たちが「ハッカソン」に取り組む意義とはなにか?それは、課題を感じてる当事者が自ら課題解決に取り組めることです。

いわゆる「ハッカソン」はエンジニアのためのものだと考えられていました。今年、新型コロナウィルスの大流行により、テレワーク推進が叫ばれ、各種の「デジタル化」の必要性が注目されるようになりました。社会課題、企業課題の解決にはテクノロジーが必要不可欠というのはもはやいうまでもありません。しかし、テクノロジー、プログラミング、システム、デジタル、IT••••••こういったものは、エンジニアにしか扱えないものだと思っている方も多くいらっしゃいますよね。

ぼくはもともとシステム屋にいたこともあり、そのエンジニアと非エンジニアの「溝」が気になっていました。なんとなく小難しいという雰囲気で敬遠される「テクノロジー」••••••しかし、課題を解決するためには、課題に直面している当事者が主体的に考えていくことが必要不可欠だと思うのです。また、既成概念にとらわれず新しい発想が生まれる、という点からも「エンジニア」という属性にこだわらず、さまざまなバックボーンを持った方からアイディアを募ることも重要だと思います。

今回のハッカソンプロジェクトはまさにぼくの理想を具現化した第一歩!予想以上の新しい発見と成果につながったことにぼく自身が驚きました。

少子高齢化社会の進行にともない、加速する「空き家問題」の実情

テレビやニュースでそれなりに耳にする「空き家問題」ですが、何が「問題」になっているのか実際によく知らない••••••ということも多いのではないでしょうか。ぼくも、このハッカソンプロジェクトに取り組むまで、恥ずかしながらほぼ知識がありませんでした。




日本全国の空き家率は60年代からずっと右肩上がりに上昇しており、最新の調査結果(総務省統計局平成30年住宅・土地統計調査)では、2018年度の全国空き家件数は846万件であり、空き家率は13.6%でした。たったの13%かと数字では感じるかもしれませんが、(株)野村総合研究所による、「2018年、2028年および2033年における日本の総住宅数・空き家数・空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)の予測」では、2030年ごろの日本では空き家率が30%まで増加する予測がされています。

空き家増加の要因は日本社会全体の少子高齢化といわれています。つまり、この問題は、いま顕在化されていなくても、確実に未来に起こりうることなのです。




※参考 調布市 空き家等対策の取組

調布市は「予防」をキーワードに、空き家問題の解決を図ろうと取り組んでいます。実際に問題に直面する市民と共に、教育機関である大学、地域事業者、金融機関、政府、地方公共団体の幅広い連携を視野に「空き家スタディラボ」プロジェクトを開始しています。今回のハッカソンプロジェクトもその一環といえます。地域社会の問題を自治体が市民と共に考え、みなが自分ごと化し、持続性の高い事業として成長させていく良いモデルケースになるかもしれません。

多角的な視点から空き家問題を考える!建築家の卵にはアイディアがつまっている

今回のハッカソンプロジェクトのゴールは「LINEを使って空き家問題に対する解決策のアイディアを何か出せるか?」に設定しました。課題に取り組める時間はたったの6時間。集まってくれた学生はなんと25名!1日目を基本的な機能説明に時間を費やし、2日目に学生たちのアイディア発表という構成にしました。

学生たちの発表は実にさまざまなものでした。空き家の利活用をベースに、「空き家を持っているユーザーと活用したいユーザーのマッチング」や「未来を担う子どもが興味を持つためのコンテンツづくり」といったアイディア、それを実現可能にするためのステップや必要な手順、幅広いITツールの活用といった実用的な内容でした。


社会課題は当事者自身が解決する!それが次世代のスタンダード

ぼくが一番驚いたのは、調布市の空き家施策担当の方とまさに今後の構想として会話していたアイディアが次々と学生から出てきたことです。学生たちはまさに空き家問題に直面している「当事者」です。ほんの数時間ITツールを学ぶだけで、課題を解決するためのアイディアだけでなく、そのアイディアを実現可能にする手立ても一緒に得ることができました。これは、まさしくぼくがこのプロジェクトで達成したいゴールのひとつです。

ハッカソンプロジェクトとしての活動は終わりますが、学生たちが予想以上の成果をあげ、プロジェクト終了後にも学生たちは自分たちが発表したアイディアの実現のために活動することが正式決定しました。来年3月末に本番アカウントのリリースにむけて、彼女たちと一緒にサービスを練り上げていきます。

課題に取り組みためには、まず現場で何が起きているのか正確に把握する必要があります。また、課題によって何が起きたのか、何を感じたのか、何をどうしたいのか、といった機微の答えは、「当事者」しか持っていません。だから、ITシステムやITアプリの導入には、提供元が一方的にそのサービスをおしつけても、うまくはいきません。やはり、課題の渦中にいる方の「実体験」「ノウハウ」「声」によって形づくられるべきなのです。

そして、ITシステムやITアプリは導入して終わりでは決してありません。サービスは「運用」されることで初めて真価を発揮します。だから、「当事者」が「主体的」に考え、行動することが何よりも重要なのです。

「当事者がテクノロジーで課題を解決する」これがぼくの理想です。この理想をスタンダードにするための糸口を、今回の試みでつかむことができたように思います。

実際に彼女たちのアイディアがどう実現したのか?!ぜひ、レポートの続報をお待ちください!

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