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行列の不満を1週間で解決! 現場に寄り添って実現した小さなDX

こんにちは! アイムデジタルラボ採用広報担当です。

今回は、現場スタッフと協業して着想し、お客さまの不満を解消したDX事例を取り上げます。

2021年にアイムデジタルラボに参画した、三越伊勢丹 情報システム統括部 システム開発推進部 中社(前回のインタビューはこちら)に、アイムデジタルラボならではの課題解決のアプローチについて語ってもらいました。

「行列」への不満と、現場スタッフの悩みから着想

―― システム導入のきっかけについてお聞かせください

三越伊勢丹では北海道展やサロン・デュ・ショコラなど、人気の食品催事が開催されると多くのお客さまが来場されるため、どうしてもお店や会計で待ち行列ができてしまいます。すごく昔からある課題でしたが、改めてアイムデジタルラボに相談があったことがきっかけです。

相談の内容は「お客さまが行列に並んでいても、目当ての商品が売り切れてしまっているのかどうかがわからない」というものでした。また行列の整理をしているスタッフは別の売場から応援として来ているため「お客様から商品の賞味期限やアレルギー物質について質問があっても、担当者に確認しないとわからず、すぐに答えられない」という悩みもありました。

―― 相談を受けて、アイムデジタルラボではどのように動いたのでしょうか?

まずは、トライアルの場所を探しました。大型催事は現場も混乱しているので、いきなり新しいことを試すわけにはいきません。そこで、日常的に行列ができるような常設店舗でのトライアルを提案しました。アイデアを試しながら短期間で改善を重ねていくのが、アイムデジタルラボのやり方です。
トライアル店舗として選んだのが、ある和菓子のショップです。行列が長くなってくるとショーケースの中ある商品がよく見えないという問題がありました。そのため、常連のお客さま以外は「どんな商品があるのかわからないまま列に並ばざるを得ない」という状況だったんです。また、「いざ自分の番がきたら、後ろに人が並んでいるので急いで選んで会計しないといけない」という不満も寄せられていました。

従業員視点での発想が価値のあるシステムにつながる

―― トライアルをする上で、気にされたことはなんですか?

仕組みとしては、行列で並んでいるお客さまにスマホ経由で情報を提供するだけです。ただし、そのシステムを価値があるものにするにはお客さま視点と従業員視点の両方を成立させる必要があります。お客さま視点では「どうやってタイムリーに情報を提供するか?」で、従業員視点では「 どうやって商品情報や在庫情報をタイムリーに更新するのか?」です。

今回の場合は、従業員によるタイムリーな情報入力が重要だと考えました。せっかく、お客さまに情報提供されても、それが正しくなければ意味がありません。とはいえ、売場でお客さまの対応をしている販売員には、販売状況をシステムに登録する余裕はありません。

そこで、店頭状況確認のため売場を回遊する現場マネージャーが、情報を更新することを提案しました。さらに、作業効率化のために、売場でスマホから「完売」や「残りわずか」という販売状況だけを入力する運用にすることを考えました。

―― 具体的にどのようなシステムを構築したのでしょうか?

お客さまは、行列の脇に設置されたQRコードをスマホで読み込むと、カタログページが表示され、その店舗で販売している商品の情報や、各商品の在庫状況を確認できる仕組みです。

とはいえ、ゼロから作ったわけではなく、既存の「三越伊勢丹リモートショッピング」の一部機能を前提に、若干のデザイン変更と改修だけで済ませました。ニーズを完全に満たしているわけではなかったのですが、70点は取れていると判断して、ともかくトライアルの開始を優先しました。その結果、話し合いから1週間後にはトライアルを開始することができました。

―― 既存のシステムを応用することになった経緯を教えてください

IMDLではツールから発想することをやめよう、と言っています。今回のような待ち行列の改善になると、まずは世の中にある「待ち行列改善システム」を探してしまいがちです。大事なことは、お客さまや従業員の視点で何が求められているかを考えることで、それに合うツールを考えることです。

今回は、求められていることを考えた上で、運用についても提案し、その上で、今あるシステムを生かして、スピーディーに課題解決ができたと感じています。

現場を知っているからこそ、活用されるシステムが提案できる

――「行列の不満」という課題に対し、アイムデジタルラボだからこそできたことはありますか?

私たちの存在意義は、お客さまと従業員の要望に対して、デジタルを生かした解決策を「全社最適」の観点から提案することです。

私自身、三越伊勢丹の店舗での接客販売からキャリアをスタートしているので、システム導入時の店頭オペレーションの負担は想像できました。せっかくのシステムも、わざわざバックヤードに行ってパソコンで入力しないといけないような負荷のかかるオペレーションでは活用されないこともわかっていました。

お客さまと接してきた経験と、店頭運営の経験で培った視点を持って、お客さまと現場スタッフに寄り添い、そこにエンジニアチームにも参加してもらうことで、実際に活用されるシステムの提案ができたと実感しています。

―― システムリリース後、顧客や現場スタッフからの反響はいかがでしたか?

お客さまからは「スマホでその場で見られるのが便利」「会計のときに焦ることなく、待ち時間を使ってゆっくり選べる」といったお声が寄せられています。

現場のスタッフからは「お客さまのイライラが軽減された」「販売状況に関するお客さまからの質問にきちんと答えられるようになってよかった」などの反響がありました。

年に1度の大型催事でも成功。楽しみながら並んでもらえるように

―― 和菓子売場でのトライアルを経て、大型催事でも導入されたそうですね

はい。2023年1月の大型催事に導入し、成功を収めることができました。結局、最初に実施したシステム改修で十分だと判断されたので、利用増に合わせてサーバスペックの増強だけ対応しました。

事前にSNSや催事のホームページにも掲載して、お客さまが商品情報や在庫状況を予め「予習」してもらい、会場でも並んでいるお客さまに「QRコードから現在の販売状況を確認できます」と伝えると、楽しみながら並んでいただけるようになったのがよかったですね。

お客さまが望むスタイルで買い物ができる環境づくりを目指す

―― 今回の開発を応用する構想はありますか?

今回の経験から、このカタログにはさまざまな活用方法があることに気づきました。「お客さまが知りたい商品情報をリアルタイムでお伝えする」ことによって、次のアクションの選択肢が広がります。

食品は宅配が難しいケースがあるので、例えば、「行列に並び始めたけど、そこで商品を注文してしまって後で取りに来てもらう」とか、「来店前に予約だけしておいて取りに来る」などができれば、お客さまにとっても嬉しいのでは、と考えています。

食品に限らなければ、特別なお客さま向けには、その方向けのお勧めカスタマイズを作ってやり取りするというアイデアも出ています。

早く実現することで「もっとこういうことができるのでは?」という新しいアイデアが集まり、次につながる、というサイクルになってきています。

そもそも、百貨店では一点モノや限定商品などが多いため、ECサイトに掲載できていない商品が多くあります。そうしたものでも写真を撮ってカタログに載せることは可能です。お客さまが、そういうカタログをチェックした後、店頭やリモートで接客を受けて購入するなど、百貨店らしい買い物体験に取り組んでいきたいですね。



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