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研究者OS & 起業家OS 変えるのではなく、つくる

前回までのあらすじ

前回は「元研究者が起業して壁にぶち当たり立ち止まるまで」を書きました。

出来過ぎな流れで大学発ベンチャーの研究員と博士学生を始めながら起業し、チームを作り、資金調達をし、サービスを作り、ピッチで多数入賞しつつローンチをしたものの、チームもサービスも歯車が狂った状態で暗礁に乗り上げ、満身創痍で掴んだ勝ち筋をいざ進めようとした際に自分の中での違和感が無視できなくなって立ち止まる。

という、なかなか重い内容を書いていました。そんな半端なところで止めつつしばらく間を開けてしまい申し訳ありません。

今回は「研究者OS & 起業家OS 変えるのではなく、つくる」を書きます。
「「研究者OS vs 起業家OS」問題にどう対処するか?」3部作の最終作。
立ち止まった後、どう折り合いをつけて再び歩み始め、進んでいるか、という話です。

研究から起業に踏み出した・踏み出そうとしている方、踏み出してみたけど投げたしたくなっている方、また、そんな方々を支えている方々の参考になれば幸いです。

自分の状態を認識する


進めようとしても自分でブレーキをかけて前に進めない、これはおかしいぞ、と立ち止まってはっきりと認識しました。
資金を確保しないといけない状況ですが、そんな半端な状態で資金を出していただくわけにもいかない。そこで、一度立ち止まって、冷静になって考える、ということにしました。

元々自分ってどんな人間だったっけ?

どんなことが好きで、どんなことが嫌いだったっけ?

どんなことが得意で、どんなことが苦手で、どんな時に嬉しくて、どんな時に苦しくて、どんな風になりたいんだったっけ?

等と、自分に問いかけて書き出したり、過去を深く振り返ったり、人と話す場にたくさん行ってみたり、知人と深い話をしてみたりし、改めて自己の解像度を上げていきました。

起業してからはひたすらに走り続けていましたが、立ち止まることで、ようやく改めて考えなおし、元々の自分の特徴や思いを思い出していくことができました。
これは、とても大事なプロセスでした。

結論↓
駄目だこいつ…早くなんとかしないと…(某死神の出るマンガ風)

周囲の期待にも、自分自身の期待にも、囚われすぎていて、迷走している自分がいました。

自分でいうのもなんですが、今進めている研究リソースシェアリングが常識になると世界が変わると心から思っております。社会的価値が極めて高い。その絶対正義ゆえに、それに囚われすぎていました

異なる各種のステークスホルダー(メンバー、顧客、投資家、家族、応援してくれる人々)それぞれに期待されていることは異なります。
その間で、中途半端にバランスを取りながらやり過ごしていました。

本来興味ドリブンで探索するのが好きで、その方が圧倒的に力も発揮しやすいにもかかわらず、やりたいこと、得意なこと、好きなことはおざなりにしてしまっていました。それではエネルギーは減少するばかり。期待と自分が本当に在りたい姿とが解離していく中で、力も発揮できずにすり減っていました。

仮にこのまま上手くいって大きく成功したとしても、それはおそらく自分自身と周囲との幸福とは一致しないと、内心気付いてしまっていました。

それを気づいていないフリで突き進んでも抵抗はあるから進めるのにためらうし、在りたくない方向性ではそもそもうまく進められず限界がきます。

自分は研究者であるという定義を変えきれておらず、研究者が起業・経営してみているような感覚で事業をしようとしていました。

そんな状態でした。

さて、どうしようか?


これはまずい。ではどうするか?

その時点では会社の完全な内部者はもう自分のみで、心身ともにすり減っていたため、辞めることも本気で考えました

ですが、これまで応援してくれた人々、信じて投資をしてくれた人々、我慢して見守っていてくれた人々のためにも、自分自身のためにも、ここで歩みを止めるわけにはいかない。

目指す世界、研究のハードルが劇的に下がる新しい研究開発エコシステムは変わらない。そこに対して抱く魅力も変わらない。

ならば、そこに対してどう貢献するか、そこにどうやってたどり着くか、ということを練り直し、改めて進もう!

そう決めて、また一歩踏み出しました。

目指す山は変わらない。登り方が合っていなかったのなら、ゴールは変えずに登り方を工夫する。得意なルートから登れば良いのです。

変えるのでは無く、作る


しかし、上記を認識したところで、そう簡単には変われません。

資金面の制約、人材面の制約、マーケットの制約、顧客の制約、など様々な制約があります。
染みついた習性や考えはそう簡単には変わりません。

元々の自分の価値観・イメージと大きくずれた行動が必要になって実行しようとした時、やってみてもなかなかうまくいきませんでした。

スキルが未熟というのもありますが、それ以前に変えようとすると無意識のブレーキがかかるのです。律速はスキルではなくマインドです。

であれば、足りないところを補ってくれる人を獲得しよう!と思って動いてもそう簡単には見つかりません。マインド・スキル・タイミング、全てが揃った人と出会い、共にやっていこうと決断するのは最高の結婚相手を見つけて結婚するくらい難しいです。

候補者を獲得できたとしても、強い思いを持って始めた創業者と近いレベルのマインドを持っていなければ、いずれ無理がきます。

そんなバディ的存在が見つからず、なかなか中途半端に研究者である自分も変えられていない中、それがなぜなのか、どうすればいいのか。

そう考える日々の中で気付きました。

…そうか、研究者 or 起業家 ではなく、研究者 & 起業家 であればいいんだ、と。

研究が好きで、研究での考え方や動き方が好きで、それらが染みついているんだから、そこを消しにかかっても抵抗するに決まっている。
なりたい人物像には、起業家ではなく、物理学者のリチャード・ファインマンさんが浮かんでしまう自分は、研究者の自分が嫌いじゃないし、捨てたくもない。

であれば、好きで作り上げてきた研究者としての自分を無理に消滅させるのではなく、起業家モードの自分を新しく構築すれば良い。そう気づきました。

人は、元々1つの人格であるようでいて、複数の自分自身を自然と使い分けています。
わかりやすいのは、仕事での自分と、プライベートでの自分。
仕事では徹底的に厳しい人物でも、家では子煩悩なパパだったりします。

場面毎でも人格は切り替わります。
プライベートでも友人といる時と家族といるときは異なりますし、高校の同窓会では自然と当時の自分に戻ってしまうのではないでしょうか。

それでよいのに、自然と変わっていけるのに、仕事の自分=研究者の自分となってしまっていて、モードチェンジできていませんでした。

それに気づいてからは、動きやすくなりました。

そのままでいいし、変わってもいいんだと。

起業家ならどう動くか意識


それからは、起業家たるものどう動くか、というのを意識するようになりました。

普段からあるべき姿を思い描いていると、その方向にいい意味で引っ張られるので、少し起業家らしい動き方ができるようになっていきました。

学生の頃も、研究者たるものどうあるべきか?を意識して動いていて、修士のうちに博士相当の実力を身につけようと決めて動いていた結果、ある程度成果を残せました。
腹落ちした状態でそれができるのであれば、非常に有効な手ではないかと思います。

起業家に囲まれた環境を作る

とはいえ、元々の行動に引っ張られてしまう部分も多いので、意識的に起業家・経営者の中に身を置くように意識し始めました。

勝手に敬愛している馬田隆明氏の著書「成功する起業家は「居場所」を選ぶ」にもあるように、素晴らしい起業家に囲まれて日々刺激を受け続けるのが、おそらくOSをアップデートする最良の方法です。

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働く場所も、コミュニティも、ありたい姿に近い起業家の中に常に身を置けるような環境を作れると、加速度的に元のバイアス外しと起業家OSのインストールが進むと実感しています。

振り返りと自己対話

起業家に囲まれた環境を作ったり、起業家としての動きを意識していてもなお、元々の状態に引っ張られていってしまうことはあります。

それを防ぎ、変化を加速するには、振り返りによる自己の状態の観測が有効です

自分がどんな状態なのか振り返ると、前はできていなかったことがいつの間にか息をするようにできていたり、逆にいつの間にか元に戻っていたりします。

更に自己理解を深めるための自己対話もおすすめです。他者の力も借りつつできると、自分では無意識に避けてしまうようなところにまで到達できるので、日々の振り返り以外に定期的に行うと良いと思います。

ゆきつ戻りつ進まざるを得ない部分はあり、まだまだ不十分ですが、そのようにして、起業家OSを作っていっています。

没入する


そして、極めてシンプルですが、没入する、要は事業にハマるのが、なんだかんだ効果的かなと感じています。
これまで書いたようなことを実践していく中で、知識や実践が増え、小さな成功体験も増えてきて、起業家としての自分にだんだんしっくりくるようになってきました。
そうすると、最終のゴールではなく今やっている取り組み自体もだんだん楽しくなり、夢中になってきます。四六時中、あれをああしたらもっとうまく回りそう、こんな施策打ったら思いっきり伸びるんじゃないか、と前向きにそのことばかりを考えるので、そうなったらしめたものです。

研究で成果を出している人は皆、何かしらの形で研究にハマっています。きっかけさえあればハマるのはおそらく得意なはずです。事業の成功に照準があった状態でハマれれば、研究者は事業においても成功していけると信じています。

これから

私はこれから、研究者&起業家として、新たな研究開発エコシステムを、研究し、開発し、実現していきます

現在、Co-LABO MAKERで研究設備・ラボのシェアリングサービスを運営しながら、博士課程で研究開発エコシステムについての研究を開始し、東北大学のリソース活用も進めています。たまに研究者が事業を起こすことについての講演もします。
それぞれルートは違いますし、これからも変化していきますが、全ては一つのミッションに繋がっています。

見切り発車からのスタートで、様々紆余曲折ありましたが、それがあったからこそ、今、迷いなく、宣言できます。

これが私の生きる道です。

終わりに

以上、いかがでしたでしょうか。
今回は「「研究者OS vs 起業家OS」問題にどう対処するか?」を書いてみました。
私もまだ部分的に解決している状態でしかありませんが、解決しきれると最高に面白いことになるのではないかと思います。

足りない部分を補いあってともに成長し、研究開発の常識を塗り替える仲間も募集しているので、面白そうだと思った方は是非お声がけください。

引き続き研究者と起業家の狭間にいて見えてきたこと、感じていることなどを書きつつ、最高の事業を作っていきたいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

株式会社Co-LABO MAKERでは一緒に働く仲間を募集しています
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