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ブランド名を表示しない、服の新しい売り方『Rename (リネーム)』誕生ストーリー

COOの津田です。株式会社FINEでは、ブランドさまやメーカーさまの在庫に対し、ブランドネームタグ(襟ネーム)や洗濯表示タグ(内タグ)などを付け替えて再流通する『Rename(リネーム)』事業を展開しています。ブランド名をクローズして流通することで、ブランド価値を毀損することなく、在庫の換価や廃棄コストの圧縮が可能です。これまでとは違う顧客層へも商品価値を提供できる、新しい流通方法です。

今回は、FINEの代表取締役CEOの加藤に、起業からRename事業にたどり着くまでの経緯や今後の展開について聞きました。

加藤 ゆかり|プロフィール

愛知県出身。椙山女学園大学で臨床心理学を学ぶ。卒業後はミサワホームに入社し、2年間営業職を務める。2008年4月に株式会社FINEを共同経営で設立し、取締役に就任。メディアソフト(音楽・映像)全般の卸売事業を名古屋市昭和区で開始する。2013年7月より、代表取締役CEOに就任する。

メディアソフト事業からアウトレットアパレル事業へ

—まず、自己紹介をお願いします。

加藤:大学では、臨床心理士を目指して、臨床心理学を学びました。人の人生に関わる仕事をしたいと思うようになり、卒業後はミサワホームというハウスメーカーに就職して、2006年からの2年間、営業職をしていました。

2008年に大学時代からの知人に声をかけられて、共同経営という形で創業にいたりました。当時は現在のようなアパレル業ではなく、CDやDVDなどのメディアソフトのアウトレットと販売が主要事業でした。

—会社立ち上げからアパレル事業に至るまでの経緯を教えてください。

加藤:メディアソフトのアウトレット販売で創業してから3年ほどは、順調に売上が伸びていきました。関東と九州にも営業所を構え、社員が30人くらいの規模でした。

ところが、あるDVDの海賊版事件があり、弊社も気付かずに販売してしまいました。それをきっかけに、売上が3分の1に落ち込み、一気に約9,000万円の赤字になりました。毎月のキャッシュがまわらなくなり、まさに倒産の危機でした......。創業代表と2人でこの会社をどうしていこうかという話になり、私が借金も含めて会社を引き継ぐことにしたんです。数人だけ残ってくれたスタッフがいるので、彼らとともに、新たなスタートを切りました。

メディアソフト事業が失敗に終わったので、そこから家具や家電、雑貨など、いろんな商材のアウトレットの流通に手を広げました。日銭を稼いでいかなければならなかったので、アウトレットの流通をやりながら、何をメインにするかを探っていたところで、アパレルに出会いました。

ファッションの面白さもありますが、それよりも家電やDVDなどの「型番商品」にはない面白さに気づいたんです。型番商品というのは、市場の相場を読み取りやすく、資本力があれば少し安く大量に買って、より高く需要がある場所で売れば利益が稼ぎやすいものです。それでは、資本力がある会社に負けてしまう。しかし、ファッションは違います。この服は誰によってどこで売られているのか、で価値が変わるんです。ここなら勝てると思い、事業ドメインを「ファッション」に決めました。それが2015年のことです。

Renameの生み出す新たな価値

—そこから現在の『Rename(リネーム)』事業にたどりついたのはなぜでしょうか。

加藤:あるブランドの商品を買い取り、販売したことがきっかけです。そのブランドは

10代〜20代前半がターゲットでした。当時、弊社のECの販路である『ヤフオク!』のストアで売り出したところ、とても売れ行きが悪くて。ヤフオク!のストアはターゲットが30〜40代なので、いくらブランド名で売り出したところで、ミスマッチだったようです。

しかし、「このブランドのターゲット世代ではない私でも、この服は着たいよね」と気づいて。「このブランドのタグが付いていたら買わないけれど、そうでないなら手にとるかもしれない」と思い至りました。そして、表上のブランド名を出さずに販売してみたところ、当初より売れるようになったんです。


現在の形でのRename事業としてスタートしたのは、タグを取らないと販売できない案件があったときです。弊社が現在提携している株式会社共伸物流の坂口さんに相談して、一緒にRename事業をスタートさせました。Renameは、ブランドさま・メーカーさまにとって、ブランド価値を毀損することなく、在庫の換価や廃棄コストの圧縮が可能です。

—Rename事業の背景には、ブランド・メーカーの抱える在庫廃棄問題もあるのですね。

加藤:大量生産・大量消費・大量廃棄は、社会的にも問題になっています。Renameによって、お客さまに消費していただくことで、社会課題へ少し手助けができて、エコにも繋がります。もともとは別のブランドの在庫残りのものなので、消費者にとっては高品質なものがお得に購入できます。そして、ブランドさま・メーカーさまにとっては、これまでとは違う顧客層へ商品価値も提供できます。在庫残りでありながらも、まだ“生きている商品”なんですよ。

—Renameの取り扱い実績や現在の販路について教えてください。

加藤:弊社が取り扱うアパレル品は年間約100万点以上で、そして、Rename品は開始して約2年ですが累計で25万点以上販売しています。ECのほか、小売店に卸しています。卸売りが4割で、ECが6割です。10月18日に、Renameの公式オンラインストアがオープンしました。

—会社の立ち上げから現在に至るまで、さまざまなことを乗り越えてきたと思います。現在は、何名のスタッフがいますか?

加藤:経営層としては2名です。EC・マーケティングチームは正社員3名とアルバイト3〜4名、BtoBチームは1名です。常滑市・各務原市・奈良県に物流の拠点があり、外部企業の従業員にはなりますが、関わっている人数としてはそれなりにいます。社内で一部作業することもありますが、基本的にはアウトソースが多いですね。

FINEが目指すアパレルのエコシステム

—今後の事業展開について教えてください。

加藤:Rename事業は、私たちが目指すエコシステムの、ほんの一部分の取り組みなんです。アパレルに限らず、企業にとっても市場にとっても、デッドストックは負の資産になってしまっています。その出会いを変えることで、ポジティブな資産になると思うんです。Rename事業をきっかけに、アパレル業界で“ロス”を少しでも低減できるような新しいエコシステムを作りたいと考えています。

—具体的に、どのような取り組みを考えていますか?

加藤:次のフェーズに持っていきやすい服づくりを考えています。実は、Renameにも課題点があって。それは、加工しづらいものがあるということです。例えば、製品にブランドロゴが入っているもの、タグが外しにくいもの。これは次のフェーズに持っていきにくいものです。また、ブランドの許可がないとRename加工もできません。なので、加工しやすい服の作り方を、取引のスキームを含めて弊社で設計し、ブランドさま・メーカーさまに提案していきたいです。

また、服の素材についても廃棄は存在します。Rename事業の一環として、残反(生地の売れ残り)を使って企画・デザインをしてブランドを立ち上げることも考えています。そういった形で、アパレルのエコシステムの入口から出口までをプロデュースしていけるようなブランドモデルを作りたいですね。

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