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現場感を持ちながら、経営者目線でリスクを取って決断する。ビズリーチ法務の哲学。

※本記事は、2019年12月26日に、前身ブログ「Reach One」で公開したものを、一部編集した上で転載したものです。


こんにちは、BizHint事業部の村上です。

2019年11月にビズリーチへ入社するまでは、弁護士による法律解説記事の編集や、企業の法務部門へのインタビュー取材に携わっていました。

弁護士といえば、法律事務所をイメージされる方も多いのではないでしょうか。現在、弁護士資格を取得し事業会社に勤務するインハウスローヤーは、全体の6%弱と増えつつあります(日本組織内弁護士協会(JILA)「企業内弁護士数の推移(2019年9月)」)。ビズリーチにも弁護士資格を持った社員が所属していると聞き、今回記事を書く機会をいただきました。

弁護士の小田さんは、法律事務所に8年間勤めた後、2016年にビズリーチへ入社。キャリトレ事業部とHRMOS事業部の営業を経験し、2019年10月から法務室のマネージャー(※2020年2月より、法務室の室長)を務めるという異色のキャリアの持ち主です。

そんな小田さんが、現場で感じた事業創りの魅力や法務として大切にしている考え方、また、将来どういった法務組織を築いていきたいかについて、熱い想いを語ってくれました。


プロフィール

小田 将司/Oda Masashi
2007年東京大学法学部卒業。在学中に旧司法試験に合格し(旧61期)、2008年より西村あさひ法律事務所において、M&A業務やクロスボーダー企業法務に従事。2014年には三菱商事株式会社法務部に出向し、自動車・船舶・産業用機械に関するビジネスの海外展開を法務戦略面から支える。2015年より英国ケンブリッジ大学にて経営学修士課程(MBA)を履修。2016年より株式会社ビズリーチに参画。2020年2月より、法務室室長を務める。


南との出会いが、キャリアに悩んでいた自分を変えた。

──はじめに、ビズリーチへ入社するまでの経緯について教えてください。

もともと「自分を育ててくれた日本という国を、もう一度強い国へ再生したい」と思っていたんですよね。両親が公務員だったことの影響がもしかしたらあったのかもしれませんが、小学生の頃から「内閣総理大臣になりたい」と作文に書くくらい、なぜか日本が好きで、日本のためにこの人生を捧げたいと本気で思ってきました。

大学卒業後、西村あさひ法律事務所でM&Aやクロスボーダーの案件に携わり、国内外の企業とやりとりを重ねるうちに、クライアントの立場を羨ましく感じるようになりました。 もうちょっと大人な言い方をすると、 「第三者的な立場で事業に関わるよりも、当事者として事業を育てたい」という思いが日に日に募っていったんです。

海外MBAへの留学中も「パブリックセクター(公的機関)から日本を変えるよりも、経営者の立場でビジネスサイドから日本を変える方が近道なのではないか」と考えながら、登録していた「ビズリーチ」のレジュメを更新し、様々な会社のお話を伺っていました。

──転職活動をする中で、なぜビズリーチに入社しようと決意されたのでしょうか?

次のキャリアを模索していた時に、「ビズリーチ」上のスカウトメッセージがきっかけで、代表の南と出会いました。経営のことを何も分からないまま 「経営者になって日本を変えたいです」と青臭く語る僕に対して、南は「それだったらまずは営業をやりなよ。経営の基本だから」とアドバイスをくれました 。法務畑のキャリアしかない僕に、未経験の「営業をやりなよ」と言えてしまう南の、経営者としての度量や覚悟に心打たれ、ビズリーチで働こうと真剣に検討し始めました。

僕はキャリアにずっと悩み、転職しようと思うも踏み出せず、多くの葛藤を抱えて生きてきました。そんな僕に「ビズリーチ」はたった一通のスカウトメッセージをもって、新たな可能性を提示してくれました。「ビズリーチ」の仕組みをもっと世の中の当たり前にし、日本のプロフェッショナルの情熱を解放したい。そうすれば、日本はますます素敵な国になる。その考えに辿り着き 「ビズリーチは、人生の貴重な時間を捧げる価値を感じられる唯一の会社だ。ここで経営やビジネスに携わり、日本に貢献していこう」 と入社を決心しました。


現場で痛感した1円の重み、事業創りは子育てのような楽しさ。

──法律事務所から一転、事業創りの現場に飛び込んでみていかがでしたか?

営業は初めてだったので右も左も分からず、しんどい場面も多かったですけど、事業を創っていくプロセスは手触り感がありました。そもそも人から営業を受けるのが苦手な自分が、人に営業をすることの難しさ。法務と違って明確な数値目標が存在し、一切の言い訳がきかないプレッシャー。月末に達成したかと思えば再び翌月初にリセットされる高い目標。常に不安と隣り合わせで、毎月最終営業日の夜は放心状態に陥っていました。

法律業界は、基本的にロジックの世界で、論理的に正しい主張をしていれば認められる。 弁護士から営業に転じて「ロジック+感情」の世界で勝負するようになると、これまで経験したことのない難しさがありました。 同時に、営業一人一人が毎日不断の努力を積み重ねて、一件のご契約をいただいていると肌で感じ、 売り上げを1円上げることの重みを痛感しました。

事業創りは思いどおりにいかない部分も多いしストレスも溜まるけれど、少しずつ事業が成長していく過程を見るのは、感慨深いし、愛おしい。まるで子育てみたいな感覚です。

──小田さんは2019年10月から法務室へ異動されましたよね。事業の現場から法務へ戻る決め手は何だったのでしょうか?

僕が想像していた以上に、自分自身が営業として経営者のレベルに成長するという道は甘いものではなかったんです 。当時在籍していたキャリトレ事業部では、僕自身の力不足ゆえ、2019年のはじめ頃から思うように成果を上げられず「事業成長に貢献できなくて悔しい、苦しい。やはり僕の得意な法律領域で勝負した方がいいのかもしれない」と弱気になっていました。

弱りきった状態で南にキャリアの相談に行ったところ「たかだか2年ちょっとで何を弱気になっているんだ。焦るな」と叱責を受けました。意を決して、好きだったキャリトレ事業部を離れ、同年5月にHRMOS事業部へ移りました。

HRMOS事業部では、SaaSの営業という新たなチャレンジが本当に楽しく、まさに成長途上のビジネスの中でたくさんの課題に触れました。ただ、そうしながらも「本当に自分は営業を続けたいのか? このままだと、経営者になって日本を変えるという自身の目標を達成できないのではないか」という考えは消えませんでした。

数ヶ月考え抜いた末に「自分がプロフェッショナルとして経験を積み重ねてきた法務の領域で、改めて勝負をしよう」と腹を決めたのが2019年7月。法務人材の採用は非常に難易度が高く、他方でビズリーチの成長速度はそれを待ってはくれない状況でした。僕が法務に加わって、自分の最大の強みを活かせれば、会社、ひいては日本に最高の貢献ができると思ったんです。

──法務への異動を決断した時、周りからはどのような反応がありましたか?

その意志を固めてすぐに、南に相談すると「自分でどう思っているか分からないけれど、小田さんのやってきたことは決して無駄じゃないから。 価値あることを重ねてきたんだもの。ここから先がスタートだから一緒にやっていこう 」と声を震わせて喜んでくれました。弱気や逃げの気持ちからではなく、覚悟をもって法務を選択した僕の想いを受け入れてくれたんです。

南は入社当初から僕に「法務の採用を手伝ってくれ」と頼むことはあっても「法務をやって欲しい」とはただの一度も言いませんでした。僕の覚悟を尊重して営業の現場へ送り出してくれた南に、限りない恩を感じていたし、彼の夢の実現に貢献したいと心から思っていました。恥ずかしいので普段はあんまり言っていないのですが、大好きなビズリーチと南のために、自分の持てる全てを使って貢献したい。これが今の偽らざる本音です。



事業を成長させるために、リスクを取る決断をする。

──事業の現場から法務へ異動した後、何かギャップはあったのでしょうか?

法務室で扱う範囲は事業法務だったので、現場でやっていた感覚とのギャップはそれほどありませんでした。 営業マネージャーを務めていた時も、いつも法的観点を交えて事業を見ていましたし。役割が違うだけで本質的に考えるべきことは同じかなと。

ただ法務に入ってみると、1300名の企業規模かつ10に及ぶ事業数に対して、明らかに人員リソースが足りていない状態でした。これから数千人、数万人の会社になっていくことを想定して、組織の拡大や事業の成長を阻害せず、むしろ加速させる法務組織を作ろうと、日々取り組んでいます。

──小田さんが法務の業務に携わる中で、大切にしている考え方はありますか?

会社のゴールは、事業の成長や世の中の課題解決なので、それを常に究極の目的に据えることですね。法務の仕事は法務のためにあるのではなく、事業や組織のためにあります。「何が法的に正しいか?」と合わせて「事業を中長期的に成長させるには何が最適か?」を考えるのが事業法務にとって必須のマインドセットだと考えています。

あとは、経営者の視点をもって、リスクを取るかどうかの決断を下すことも意識しています。当社は多くの新規事業を抱え、日頃から新たな試みを実践しています。当然、条文・判例・学説が存在していない、いわばグレーな領域に相対する機会も少なくありません。そうした状況下では脳をフル回転させて、自身の考えやポジションを明確にする姿勢が求められ、曖昧なスタンスは許されません。会社の中長期的利益にとって自分の意見がベストだと考え、決断を下す勇気が法務になければ、絶対に経営者から信頼を得られないと思っています。

──グレーゾーンに対して、会社にとってベストな決断を下すには、どういった視点を持てば良いのでしょうか。

決断をする際には、リスクの大きさを測りつつ 「法律が守ろうとしている利益」を念頭においた上で、「一般第三者の感覚」に照らした時に妥当な結論かどうか、感覚を研ぎ澄ませることが大切だと思っています。

たとえば、ある事例が報道された時に、第三者として「法律がおかしい」と思うのか、それとも「企業がおかしい」と思うのかを想像してみる。もし前者であれば解釈として許容される力学が働くはずですし、後者であれば企業としてストップをかけるべき事案になります。

事業の成長のためにフルコミットしながらも、事業に肩入れしすぎてバイアスがかからないように、一定の距離を置いて「第三者の感覚」を持ち合わせていなくてはならない。事業・法務・第三者といった異なる感覚を、絶妙なバランスで保つ部分が事業法務の難しくも面白いところです。



法律の専門家として成長し、世の中の課題解決を担う一員に。

──今後作っていきたい法務組織の姿について教えてください。

先ほどお話ししたようにスピードや決断も重要ですが、漫然と事業部から来た質問に答え続けるだけでは、個人としても組織としても、提供できる価値が向上しないですよね。

だから何でもできる法務を目指すよりは、 個々人の専門領域を定めて強みを作っていけたらと思っています。 メンバーの得意なことや好きなことに目を向け、あえて特定の種類の案件に集中的に対応してもらい、エッジをきかせられるようになって欲しい。そしてゆくゆくは、個々人が「自分は法律の専門家である」という意識を持って事業部への回答に責任を持てるように、組織全体を成長させていきたい です。

僕自身は、法律という専門性を活かしつつ会社の成長に貢献しながら「自らの手で日本を変える」という夢に向かって、本物の経営者になります。これは、自分自身との約束でもあります。

代表の南はもとより、会社として大事にしているValueの中に「価値あることを、正しくやろう」というものがあって、僕も好きな言葉です。 誰が見ても王道だと受け入れられるやり方で、価値あるものを作っていきたい です。

──最後に、これから一緒に働きたい人へ向けて、メッセージをお願いします。

ビズリーチは「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」をミッションに掲げています。 世の中の課題に向き合うような、本質的な事業領域を選択している会社だからこそ、この意義に共感して一員になりたいと思ってくれる人と働きたいと思います。

当社は決してキラキラした会社ではなく、むしろ泥臭くて実直なところが魅力だと思っています。僕はそんなビズリーチも、中で働いている人たちも、大好きなんです。

ちょうどビズリーチは、2020年2月にグループ経営体制に移行し「Visional(ビジョナル)」として新たな体制に生まれ変わるタイミングを迎えます。法務組織もこれに合わせてゼロベースで構築していく段階です。こんな環境でも、会社全体の夢へ向かって一緒に戦ってくれる仲間を求めています。背中を預け合える戦友のような方と共に、喜びも苦しみも分かち合って「価値あることを、正しく」追い求めていきたいです。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひご応募ください。


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