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エンジニアリングの観点から顧客に価値を提供する『CRE』。プロダクトとビジネスを融合させる指揮者として

弁護士ドットコムが提供する電子契約サービス『クラウドサイン』。2015年の提供開始以来、累計契約送信件数500万件以上の実績(※)をもつ電子契約サービスです。
現在、急激なサービスの拡大・浸透に伴い、使い方も利用場面のバリエーションも飛躍的に増加し、それまでに想定していなかったような問い合わせや課題が頻出しています。ここに技術的な観点からお客様の課題を解決するという使命を担うのが『CRE』という新しい職種です。

今回は、当社CREの取り組みを推進し、クラウドサイン事業本部の5月月間MVPに選出、さらに17期1Qの全社総会でベストルーキー賞を受賞した谷さんに、この仕事が生まれた背景や現状、今後のビジョンなどについて語ってもらいました。
※数値は2021年4月末時点

【Profile】
クラウドサイン事業本部 プロダクト部 CREチーム
谷 佑輔(Tani Yusuke)

新卒でSIerに入社し、データエンジニアとしてキャリアをスタートさせる。以来7年間にわたりBI/BAソリューションSASの導入に必要なシステムの要件定義・設計・開発・保守・運用を担うSE、PL業務に従事。2021年に弁護士ドットコムに入社。クラウドサイン事業本部における一人目のCREとしてクラウド型電子契約・電子署名サービスの管理ツールや業務改善、お客様からの技術的な問い合わせ対応を担当。お客様からいただくご要望をを実現するため、サービスに反映させるための施策や課題解決をエンジニアリングの視点から推進中。

Customer Reliability Engineeringという新しい仕事

ー月間MVPならびにベストルーキー賞おめでとうございます!

ありがとうございます。まだエンジニアの職種としてCREはメジャーではなく、かつ縁の下の力持ち的なポジションでこのような評価をいただけたことは本当に嬉しかったです。入社間もないタイミングで事業部単位だけでなく会社からも賞賛いただけて、今後ますます頑張らなくては、と気合いが入りました。

ーそもそもCREとはどういったお仕事なんでしょうか

CREとは”Customer Reliability Engineering”(顧客信頼性エンジニアリング)の略で、2016年にGoogleが提唱した専門職です。テクノロジーの知見と技術を持ってお客様のお困りごとを解決するのがCREのミッションになります。ヘルプデスクやカスタマーサポートといった職種に近いものがありますが、大きな違いは技術的なバックグラウンドを持ったエンジニアのみで構成している点ですね。エンジニアが担当することで技術的観点を持った専門的なアプローチが可能であると同時に、機能開発を行うエンジニアへのフィードバックもスムーズに行う機能を担っています。

ーなかなか聞き慣れない職種ですね

当社でもクラウドサインの拡大に伴ってその必要性がクローズアップされました。ありがたいことに急激に電子契約が浸透するとともに、クラウドサインをご利用いただくお客様が急増しています。すると当初は想定もしていなかったようなシチュエーションでサービスが使われることもあり、自然とお問い合わせのバリエーションも増え、専門性が求められるようになりました。

ーエンジニアが取り組むところがポイントなんですね

クラウドサインの場合、今年1月にロードマップを発表し、組織も成長途中です。上司の受け売りになりますが、家づくりに例えると、階段を登る時に手すりが付いているべき箇所に、付いていないことも正直あります。そこに手を差し伸べて、お客様と一緒によりよい家を作っていきましょうというのがCREの役目だと考えています。お客様に一番近いエンジニアという立ち位置かなと思います。

ーそもそも谷さんも前職でエンジニアだったそうですね

大学ではバイオテクノロジーを専攻していたのですが、社会を渡っていくならIT技術が必須だろう、ということでSIerを選びました。プログラムをガリガリ書きながら、パッケージソフトの開発から保守運用まで手掛けていました。

ー転職を意識するようになったきっかけは?

SIerとして、「お客様に寄り添った本質的な対応ができていないのではないか?」と、お客様の期待と提供価値のギャップを感じるようになってきたのがきっかけです。他社パッケージ製品を扱う上で、お客様から要望を頂いても実現できなかったり、業務効率化に資さないシステムとなってしまうケースがあり、提供できる価値の限界を感じた部分が大きかったです。

私の仕事の判断軸は、「どうすればお客様に喜んでもらえるか」なんです。だからこそ、お客様に直接価値を届けるには売り切って終わりではなく、お客様の成功のために寄り添い、導けるSaaSがいいなと思い、転職活動をはじめました。そして、クラウドサインとCREに出会うことができました。CREは、技術的な知見を用いてお客様に対して能動的にサービスの信頼性向上のための取り組みを行う点で、私の理想の仕事に近いなと思いました。

ーSaaSでのCREですから、渡りに船というか

弁護士ドットコムという会社の魅力と、クラウドサインというプロダクトの魅力。そこに加えてCREという職種の魅力。まさにベストマッチングでした。さらにクラウドサインのバリューの一つ”CCD”(Customer Centered Design)を、情報収集しているうちに発見しました。「お客様を意思決定の中枢に置く」という意味なのですが…これも私のために作ったんじゃないかと思うぐらい、価値観にストライクでしたね。

エンジニアのリソースを30%効率化

ークラウドサインにCREが立ち上げられた背景について教えてください

私が入社する前の話になるのですが、クラウドサインでは機能開発のエンジニアが、お客様からのサービスに関する技術的な問い合わせの対応も兼務していました。ただ、お客様に丁寧に対応すればするほど機能開発のリソースが圧迫されスケジュールを押してしまうジレンマに悩まされる状況でした。

目の前でお困りのお客様は放っておけない。一方で開発スケジュールも遅らせたくはない。この状態を改善しなければ、という課題感がチーム発足の出発点でした。

ーなるほど、悩ましいジレンマがそこにあったと

中でも、エンタープライズ企業がお客様となるビジネス部門からの技術的な問い合わせや依頼を受けるヘルプデスク業務の改善は急務でした。クラウドサインでは、お客様から導入時にヒアリングシート(セキュリティチェックシート)を頂くのですが、これまでは機能開発を担うエンジニアが当番制で担当していました。しかし、サービスが拡大するにつれ、開発すべき機能が増加したため今まで以上にリソースが不足してしまう問題が浮き彫りになっていたんです。

そこで、エンジニアとの役割を分担しながら、CREチームがヘルプデスク業務を対応できるように仕組み化を進めていきました。結果的に、今ではほとんどの業務をCREが巻き取っていくことができています。

ー実際に成果もあらわれているようですね

CREチーム立ち上げからいままでの取り組みによって、機能開発をしているエンジニアが本来の開発業務に充てることができる時間が増え、30%のリソースを確保できました。これは決して小さな成果ではないと自負しています。もちろん、より改善できる部分はあるので、始めた取り組みも一定期間後に振り返りながら「このやり方で良いのか?」「これはもう不要では?」など見直しをかけるというサイクルで現状のやり方に固執せず常により良い手段を模索しています。

ー一方で社外への価値提供としてはどんなものが?

技術を通じてサービスに対するお客様の信頼性を向上する、という言葉に集約されますね。単に問い合わせに対応するだけでなく、技術の深いところからお客様の課題を解決する。クラウドサインのお客様のうち、特にエンタープライズ企業は顧客企業の社内システムといかに連携して使っていただくかが鍵ですから、先方のエンジニアと同じ目線で会話できるのが非常に重要なんです。

ー話が早いし、ロスが少なそうですね

冒頭の家づくりの例えでいうと、「いますぐ手すりを付けることは難しいが、手すりの役割を果たすものならすぐに対応ができます」というような提案が、CREであれば可能です。

例えば企業が吸収合併される場合。これまでやり取りされていた契約書を新会社で管理したい、アカウントを移行したい、というご要望をいただくことがあります。書類の管理者は誰にするのか?閲覧権限範囲はどこまでなのか?など考慮しなければいけない事項が発生します。

こうしたお問い合わせに、既にある顧客企業の社内システムとクラウドサインの連携方法を提案し、対応することで全体最適化を図っています。

ー実際の仕事の流れはどのような感じですか

お客様との窓口にはカスタマーサクセスがおり、そこから問い合わせが回ってきます。まずは技術的な観点からお客様の解決すべき課題は何なのかを汲み取って、私たちの中で分析。必要であればビジネスサイドとのやりとりも行います。本当にお客様が解決したいことは、頂いたお問い合わせ内容そのものではなく、もっと深いところに隠れているかもしれない、という仮説に基づいてヒアリングを重ねることもしばしばあります。

ー他部署との連携する業務が多そうですね

CREチームには技術的バックグランドを持つメンバーが属しているため、エンジニアと共通認識を持ちながら技術観点での調査や対応を行います。解決すべき内容がプロダクトのシステムに関わってくるものなら直接エンジニアとも会話します。言うなれば組織のハブを担う存在かもしれません。指揮者のようにいろんな部署のプロフェッショナルを上手くつないで大きな成果を出す…これはCREという職種の最大の魅力かもしれません。

ーエンジニアとは違った醍醐味がありそうです

個人的にはエンジニアとして黙々と開発に取り組むのも楽しいのですが、それ以上に技術力を以ってお客様により近い場所から課題を解決できる、というのが一番の醍醐味ですね。さらにCREは、ビジネスサイドとプロダクトサイドの中間に立っているからこそ、それぞれの立場と考えを理解しながら、良い顧客体験を実現していくことができます。

まずは効率化、続いて新たな施策に取り組みたい

ーチームとしての課題は?

エンジニアのリソース確保で一定の成果を出したCREですが、今度は自分たちがリソース不足に陥っています。ミイラ取りがミイラに、といった感じなのですが...

それにより、「新たな付加価値領域に手が出せていない」ということが課題と捉えています。効率化に全力で取り組んできたので簡単な問い合わせはCREで自己完結できるようになってきているのですが、ありがたいことにクラウドサインをご利用いただくお客様が増えている背景から、日々のお問い合わせのボリュームや難易度は上がってきており、そちらの対応を優先しているのが現状です。

付加価値的な開発やさらなる施策や次の一手など、やりたいことが山積しているんです。だからこそ新しいメンバーが必要なんです。

ー守りから攻めのCREにしたいと

顧客企業の数だけ業務フローがありますし、できる限り要望には応じていきたいです。またCREの生産性が上がるほど、より複雑かつ細かな課題にも対応できるようになります。現状の対応範囲でもお客様から「課題が解決しました!ありがとうございます」と仰っていただけるのですが、使い方の代替案を提示したり、ちょっとした仕様変更ならCREでできるようになればお客様の満足度もさらに上がると思うんです。

ーそこで積極的なメンバー募集ということになるわけですね

この記事を読んでクラウドサインのCREに魅力を感じてもらえたなら、ぜひエントリーしてほしいと思います。いろんな部署と関わりつつお客様と向き合う姿勢が求められるので、利他性がある方だと非常にマッチすると思います。今後は、もっとユーザー目線で仕事をしたい、自社サービスで顧客との接点を大切にしながら力を発揮したい、という方にもぜひチャレンジしていただきたいです。

ーもともとエンジニアにとって働きやすい環境ですしね

こういう改善をしたいという声に対して、どんどんやってくれと応援してくれる土壌がありますよね。自分で課題を見つけて動ける人なら本当に居心地がいいと思いますよ。あと、賞賛される場面がとにかく多い。勉強会などでの発表ひとつとっても、リアクションが大きい会社だなぁって。みんなでやっている感、支え合っている感を存分に味わえる環境です。

ー今後の展望としては

チームとしては目の前の効率化を図っていくことはもちろんですが、もっといろんな施策をやっていきたいと思っています。今やっていることはまだCREとしての一歩目で、新たな付加価値領域に二歩三歩踏み込んでいくために、お客様の課題を分析するフレームワークもつくりたいし、その先にある顧客体験へどのようなアプローチができるのかを考え、解決していきたい。お客様の不安を減らして信頼性向上に貢献することが使命ですから。そこをどんどん拡充していきたいですね。

ー最後に、エントリーを考えているエンジニアにひと言

黎明期の定義されていない職種とは言え、自分たち自身でその役割を定義できる、とても魅力的なポジションだと感じています。

もちろん前例がない分、道を切り拓いていかなければならないし、ビジネスとプロダクトのバランス感覚も必要。でもそれだけ得るものも大きい仕事です。ご興味をお持ちいただけた方からのエントリーをお待ちしています。

ーありがとうございました!今後もCREの活躍に期待しています!

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