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20代若者の夢・葛藤・希望・悩みに寄り添ったラノベ【ハタラクノベル】

「20代が輝く社会を作る」活動に共感を示してくれた、ノベル作家がアウスタへジョインしました。


◆文月万次郎(フミヅキマンジロウ)PROFILE
※個人アカウントより抜粋
ノベル作家。
商業的価値のある小説作品または創作企画を中心に、執筆活動を行っています。その上で、編集者や仕事仲間に対し円滑に情報共有が行える企画書作りを強く意識しています。
六年間の大学在学期間の内、二年間は創作活動に集中していました。その期間で学んだコミュニケーション能力と情報処理能力を強みにしています。
座右の銘である「強さとは己が弱さを知ることだ」を軸に、趣味から仕事まで"諦めない理論"を実践中。
現在は、個人でゲーム制作企画を進めていたり、ゲームUIデザインの勉強もしています。


その彼が企画・20代若者のリアルに寄り添ったラノベ【ハタラクノベル】をスタートしました。
弊社運営メディア「COMPASS」個人noteで配信していきます。
今回は第一弾それでもボクには夢がある【ハタラクノベル】"を、こちらでお届けします。


◆◆◆


”それでもボクには夢がある【ハタラクノベル】"


ボクには夢がある――
その夢を忘れないために、こうして日記を始めてみた。
いざ始めてみると何から書いてみたらいいか分からない。
ボクの夢は誰かを幸せにすることだ。



ボクの夢は漫画家だ。
今日は、遠く離れた東京の出版社に自分の描いた漫画を持ち込んだ。
「流行りとは違うけど、悪くはない」と言われた。
長年の努力と行動の勝利だった。これで報われる。



ボクの夢は胸が熱くなるような漫画を描くことだ。
今日は、先日の編集者の指摘通りに、最近の流行りに沿った漫画を考えてみた。
でも……どうしても、幼い頃に読んだ「友情・努力・勝利」の少年漫画が、大人になった今も脳裏から離れない。
これだけは残しておこう。ボクの描きたい漫画はこの他にないのだから。



ボクの夢は漫画を描き続けることだ。
今日は、いつも通りに家を出て、会社に出勤した。
漫画を描くためには、まずしっかりと生活をすることが重要だ。
絵を描くこととは違うし、やりがいもあるわけではないが、今はしっかりとこなしていこう。



ボクの夢はどんなことがあっても漫画を描きあげることだ。
今日は、休日に崩した体調が治らず、会社を休むことにした。
早く治そう。そして、漫画を描き上げよう。下書きは出来ているし、担当からのGOサインも出ている。
明日から仕事を再開する。ここが踏ん張りどころだ。あともう少し頑張ろう。



ボクの夢はしっかりと与えられた仕事をこなすことだ。
今日は、仕事が上手くいかず、取引先に迷惑をかけた上、上司に叱られた。
改善しなければならない。このままでは、何の成果も上げられずに周りに迷惑をかけるだけだ。
今はとてもではないが、漫画を描いている場合ではない。仕事に専念しなくてはならない。



ボクの夢は誰もが面白いと思う漫画を描くことだ。
今日は、ようやく来た休日だった。疲れた身体に鞭を打って、震える手を動かす。
漫画を描いたのは久しぶりで、ストーリーラインに違和感を抱きつつも、期待に応えようと腕は自然と動く。
このままでは、いつかきっと身体がダメになってしまう。その前に何とかして、漫画を完成させよう。



ボクの夢は評価される漫画を描くことだ。
今日は、何とか時間を作って、東京にある出版編集部を訪れた。
「編集部の○○は先日退職したので、代わりの者を呼びますね」と言われた。
不安があった。焦燥があった。何よりも、視界が揺れ始めていた。



ボクの夢は今を何とか生きることだ。
今日は、いつも通りに家を出て、会社に出勤した。
ボクの描く物語は、誰にも認められない。ボクの能力は、この会社では必要とされていない。
改善策。妥協案。具体例。共感性。全て分からない。ボクには何も分からない。



ボクの夢は漫画家だ。
今日は、夜遅くに帰宅した。帰路に偶然会った友人と話をした。近況とか夢とか。
彼は、ボクの描いた漫画を面白いと言ってくれた。でも、それでは足りない。
明日からまた仕事が始まる。シャワーを伝う温水がどこかしょっぱく感じた。



ボクの夢は誰かを幸せにすることが出来るのだろうか。
日記を書いているこの瞬間がとても辛く苦しい。
少し……少しだけ、日記を書くことを休もう。
――それでもボクには夢がある。


◆◆◆

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