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目指すのは、ウェルビーイングな社会。DXとクリエイティブの掛け算が生み出す未来とは


こんにちは!Arentです!
今回は、チームラボの共同創業者であり、現在は「ロボティクスで、世界をユカイに。」をビジョンに、しっぽのついたクッション型セラピーロボットQoobo(クーボ)や、プロジェクターやスピーカーの機能を凝縮したシーリングライトpopIn Aladdin(ポップイン アラジン)などを開発されているユカイ工学代表 青木 俊介氏とDXの力で創造的な産業成長を目指すArent 代表鴨林の対談企画をお届けします!

(以下、ソトコトオンライン12月23日配信記事より)

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DXで新しい働き方を提案。コミュニケーションロボットで社会を愉快に


Arent、ユカイ工学、それぞれの強みを教えてください。

鴨林広軌(以下、鴨林) Arentは数学力に強いメンバーが多く集まった会社です。その数学力を活かしたDXが強みですね。建設関連の企業向けDXのコンサルティングからビジネス立ち上げまで一貫して関わるのが特徴です。
例えば、石油化学工場の建設などを手掛ける千代田化工建設とともに『PlantStream』という設計・製図システムを開発しました。これまでプラント建設を担ってきた職人さんたちのノウハウや経験値を数式化し、パソコン上で自動的に配管を引いたり、パーツを組んだりすることができるようになりました。
僕らはDXの力で新しい働き方、人間らしい仕事との向き合い方を提案していきたいと考えています。

青木俊介(以下、青木) 我々はメンバーの半分以上がエンジニアとデザイナーです。ロボコンの全国大会出場者など、本当にロボット好きなメンバーが集まっている会社です。ユカイ工学という名前の通り、「世の中を愉快にするプロダクトを生み出そう」と日々活動しています。
現在、家庭向けのロボットを手掛けていて、尻尾のついたコミュニケーションロボット『Qoobo』もその一つです。撫でると尻尾を振ってくれるんですが、撫で方によって振り方がいろいろと変わったり、ほっておくと「かまって」という動きをしたり、ペットのように愛着のわくロボットに仕上げました。

鴨林 撫で方で反応が変わるという所にこだわっているのがいいな、と思いますね。ITやロボットには「データ」や「デジタル」と、どうしても冷たいイメージがありますよね。IT技術を使いながらも真逆の発想を取り入れ、人間の心に訴えかけてくるものを大事にされていると感じました。
一回り小さい『Petit Qoobo(プチ・クーボ)』は心音がするって本当ですか。私はそれを聞いたときに「耳に当てて寝たいな」と思いました。そういう手触り感はなかなか数値化できないけど人の心に届くものがありますよね。
お互いデータやテクノロジーという近しい世界にいるものの、やっていることはまったく違うという点が面白いですよね。

青木 他にもスマートスピーカーがちょっと可愛らしくなった様な『BOCCO emo』というコミュニケーションをメインとしたロボットがあります。共働きで忙しいお父さんやお母さんと、子供がやり取りをしたり、一人暮らしのお年寄りをサポートするという面で活用されています。
今までスマホやITに馴染みがなかった人たちも、接しやすいデバイスがあることでぐんと使いやすくなる。デザイナーとエンジニアが緻密に話し合って製品を作るという所が肝だと思っています。

データを活かす。Arent×ユカイ工学の可能性とは


2社の強みを活かしてコラボレーションすると、どのようなものが生まれそうですか?

鴨林 お互いに目指してきた領域が、ユカイ工学さんの「暖かみのあるtoC(対消費者)」とArentの「データ主義のtoB(対企業)」という部分で結構違うなと感じます。ユカイ工学さんは、自社製品をしっかり作って販売するところが事業の柱になっていますよね。
Arentはどちらかと言うとクライアント企業と組んで、要望に合わせたプロダクトの受託などもやりつつ自社製品も作るので、その部分においても違いを感じますね。

ですが、すごく2社が交わりそうだなと感じる部分もあります。例えば、職場で感情的な動きが無いのかと言えば…、絶対ありますよね。それはまさにメンタルヘルスの領域。先ほど『Qoobo』に耳を付けてうつぶせで寝たいと言ったじゃないですか。あの気持ちの芽生えこそ社内のメンタルヘルスにおいて効果があると思っています。
Arentとしては、データに強い会社なのでロボットを触ったり、一緒に寝たりするときの状態を統計的に見てみたい気持ちがわいてきます。ユカイ工学さんのロボットとともに過ごす様子を、スマートウォッチなどの計測器でデータをとり分析・解析してみたいですね。

青木 まさに今、ウェルビーイングという職場の環境にも注目が集まっていますよね。例えば、オフィスにCO2センサーを置いたり、計測器を使って働く環境を良くしていこうという考え方が拡がり始めています。
人間はあくまでも動物なので、日当たりや風向きなど環境に左右される部分がすごく大きい。いかにウェルビーイングな環境を作るかという部分において、センサーやデータによる統計的な分析は非常に役立つ情報だと思います。

CO2濃度が上がって集中力や思考力が落ちてきたとか、目に見えない環境の変化は気づきにくいですよね。そういった変化をとらえて知らせる機能も、オンとオフが切り替えにくい在宅ワークが主体になるとより重要になってくると思います。
自分で環境を整えることって意外と難しい。それをテクノロジーの力でアシストしてあげることでより仕事にも集中出来たり、朝ちゃんと起きられるようになったり、それが本当のウェルビーイングですよね。

こころから楽しいと思える環境づくりをテクノロジーの力で

2社の力を活かすとすれば、具体的にどのようなイメージがわきますか?

青木 オフィス環境のシミュレーターやCAD(コンピュータ支援設計作図)システムみたいなものがあるとより良いかもしれませんね。人の流れをデータや計算を基につくる。
例えば、米アップルのスティーブ・ジョブズがアニメ制作会社ピクサーのオフィスをリニューアルした時に、作業は皆個室でやっているので、全員が必ず通る場所を作り、自然とコミュニケーションが生まれる環境をオフィス内に作ったという話があります。
色々な物の配置を変えることで、人の流れを制御してコミュニケーションを生みやすくしたり、普段あまり顔を合わさない人でも顔を合わす機会を作る。
そういった制御もArentさんのDXの力である程度出来る可能性があるように感じますね。そういうシミュレーターが今は無いので、そんな取り組みができたら非常に面白いかなと思います。

僕たちも、ウェルビーイングは重要なテーマだと思っており、それをロボットが手助け出来るんじゃないかと考えています。ただ「癒す」というだけではなく、センサーなどを使って人のマインドを前向きにできればすごく良いと思っています。
人間の幸福度という部分は、結構シンプルなセンサーで数値化できると言われています。環境の働きかけで、仕事への向き合い方は変えることが出来ると僕は思っています。人間の心に働きかけるという所は、どうしても物理的な物や実際の仕組み、それを検知・分析するセンサーが必要になりますよね。そして、そのデータを解析するような基盤のソフトウェアが連動する必要があると思うので、そういう部分でArentさんとご一緒できそうですね。

シュミレーターなどを駆使してオフィスの内装を快適なものに、そして最高にウェルビーイングなオフィスを自動で設計出来るようになったら非常に面白いと思います。それこそオフィスだけではなく、老人介護施設などもそうですよね。色々な所で活用できる可能性があると思います。

鴨林 ユカイ工学さんは、本当にクリエイティブな事をやられていますよね。勿論生み出す上でしっりとしたロジックはあると思いますが、「ふっ」と心に感じることを上手く形にされていてすごいなと。「こうあったら人ってもっとユカイになれるよね」という考えを、追求されていると思います。我々の数学的な部分とは違う、人間のソフトな部分だったりするので、その両方が混ざり合うと本当に面白いものが出来る気がします。

理想とするウェルビーイングな未来に向かって


ものづくりを通して社会にどのような関わり方をしていきたいですか?

鴨林 Arentのプロダクトの要は暗黙知と言われる、熟練の方々が有するノウハウやデータをしっかりとDXの力で結晶化することを常に意識しています。Arentの製品を使うことで効率が上がり、より生産性の高い働き方が生み出され、皆がハッピーになる社会を目指しています。突き詰めると負を減らすというイメージですね。
ユカイ工学さんは、どちらかと言うと正を増やすことを意識されているような気がします。 幸せになりたい、と誰しも思いますよね。でも「じゃあ何があったらそう思えるんだ」という部分の「何が」の答えを出すのは難しい。
ユカイ工学さんは、その応えの1つとしてこうしてプロダクトを世に生み出している。ずっと触り続けたくなるものを作るってすごい。「仮説と検証」という冷たい言葉ではなく、クリエイティブな力で突破していく。
会社に戻って「疲れたー」って机に突っ伏す時にQooboがあったら良いじゃないですか。それって大切な感覚だと思います。

青木 僕たちのものづくりは、「面白い物を見つけた」と思ったら、それを形にするところから始まります。最終的に目指したい所は「究極の愉快」であり、つまるところ「ウェルビーイング」と言えると考えています。ロボットに可愛い尻尾があったとしても、本人が病気だったら全く愉快じゃないですよね。
究極的には、自分自身と家族や友人がみんな健康で困っていないというところが大切なので、そこに貢献できるロボットを作りたいと考えています。
「DX」は、ハンコやFAXが無くなるから便利というのが本質的なことではありません。
デジタル技術を使って、個人個人の発想をもっと引き出したり、生産性や創造力を高めることが本当のDXの意義ではないでしょうか

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