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ビズリーチ、リクルート、LiB創業CTOを経験したBIZ✕TECHのエキスパートがアンドパッドで仕掛ける「組織戦略」

米山 諒(よねやま りょう)さんは、採用や人事、キャリア開発という言葉だけでは表し尽くせない、唯一無二の役割を持つアンドパッドの組織戦略部の部長です。3つの専門分野を持った人材を「トライアングル型人材」と呼びますが、米山さんはビジネスとテクノロジー、マネジメントの知見を併せ持つ希少な「トライアングル型人材」と言えます。

幾多の失敗と成功体験を経て創業者になった米山さんが、その地位をあえて手放し、新天地アンドパッドで何をしようと考えているのか。まずは米山さんの人格形成に影響を与えた出来事から伺いました。

米山 諒 | 開発本部 組織戦略責任者
早稲田大学大学院在学中、創業期のビズリーチにインターンとして参加。2011年4月、リクルートに入社し、プロデューサーとして新規事業の立ち上げ、事業運営責任者を務める。フリーランスとして複数社のスタートアップを支援後、株式会社LiBを創業し取締役CTOに。現在はアンドパッドの組織戦略部の部長として、開発本部の組織戦略にコミットしている。


未知の世界のワクワクを求めてITの世界へ。関心分野がビジネスにも広がった。

ー米山さんはビジネスとテクノロジーのどちらにも精通している稀有な存在です。子ども時代からトライアングル型人材の片鱗を見せていたのでしょうか?

子ども時代は典型的な理系少年だったと思います。数学と理科が得意で、国語と社会が苦手。遊ばなくなったゲームボーイがどうやって動いているのか気になって、分解したこともあります。分解したところで何かわかるわけではないけれど、中身を知りたい衝動を抑えられなかったんですよね。

実家にPCがやってきたときも、私がそれに興味を持つのは必然の流れでした。あるとき、PCがワームに感染してしまったんです。勝手にシャットダウンと再起動を繰り返す症状だったのですが、これが知的好奇心を燃やすきっかけになりました。「入力通りに動作するのが当たり前のPCが、思い通りに動かないのはどうしてなのだろう」と。

ー米山さんの好奇心を刺激する「未知との遭遇」だったわけですね。

そうです。「プログラミングやハッキングってどうやるんだろう…自分も学びたい」と思いました。それでITを学べそうな環境を探し、早稲田大学理工学部コンピュータ・ネットワーク工学科に進学。プログラミングの基礎的な部分は学べたのですが、もっと深く学びたいと思い、大学院在学中にプログラミングの実践ができる環境を探しました。そして紹介されたのが創業したばかりのビズリーチ。図らずも創業メンバーの間近でビジネスとITを学ぶことになりました。


ー今なら願っても叶わないような素晴らしい環境ですね!

本番環境で多くのユーザーの皆様に影響するバグを出してしまうなどの失敗もありました。CTOから「動作保証含めて実装だから、しっかりテストしよう」と叱られたのも良い思い出です。当時未経験の自分が本番環境で失敗できるくらい責任のある仕事を任せてもらえたのは幸運でした。創業メンバーからは「勉強になるから経営会議に出なよ」と。そこで議事録をつくったのですが、出てくるビジネス用語が自分にとっては意味不明なことが多く…。でも、意味不明だからこそビジネスの世界に興味がわきました。

ビズリーチの経験を経て、ゼロから事業を立ち上げる経験と、ITの知見を深める経験の両方をしたいと思い、リクルートに新卒で入社しました。当時はIT人材採用の第一弾が行われており、「前例がないから好きなことをやれるのでは?」という期待で入社したんです。ちなみに、採用担当は現アンドパッドCEOの稲田さん。稲田さんはアンドパッドの前身となる事業作りを週末にしていたので、ちょこちょことお手伝いをしていました。

新規事業やベンチャーの立ち上げ支援を経て、LiBの共同創業者に

ーリクルートで新規事業とITの両方を深めていく経験はできましたか。

胸を張って成功とは言えないものの、ITを活用したサービスを生み出す経験はできました。そして次のステップとして、自分で出資して起業する経験をしたいと思ったんです。

リクルートで学ぶこともまだまだ多くありましたが、それ以上に「億単位の会社のお金を使い、制約条件の中で事業をつくる」ことよりも「数百万円程度の身銭を切って、自由に事業をつくる」ことに興味が湧いてしまったのです。身銭を切ったところで、ユーザーへの提供価値や社会貢献など、事業を興す際に制約条件がたくさんあるんですけどね(笑)。

ーそれが、ジョブマッチングサービスを提供するLiBの創業につながったのですね。

共同創業者としてLiBを立ち上げてCTOを担当しました。そこで今度は「組織づくり」や「組織を動かす」という大きなテーマと出会ったのです。組織設計について社員との1on1で面と向かってダメ出しされたこともありました。当然の話ですが、プログラムは書いた通りに動きますが、組織は感情を持つ人が動かすものだから、一筋縄にはいきません。だからこそ、全力でコミットする価値があると思いました。

LiBでは経営者、CTO、組織開発を経験し、「自分にしかできない仕事」を一通りやり遂げた感覚がありました。自分の仕事を任せられる人も出てきたので、次の挑戦を模索していたところ、アンドパッドの稲田さんから相談を受けました。

アンドパッドはすでに大きく成長した組織で「整ってしまっている」というイメージがあり、最初は自分がアンドパッドで働くことに意義はあるだろうかと考えていました。しかし、内情を知るにつれて、自分がやれること、やったことがないことが見えてきて、心が傾きました。アンドパッドの組織をよくする「自信」と、まだ見えない「未知」の領域が50:50くらいに思えてワクワクしてきたのです。


ビズリーチ、リクルート、そしてLiBでの学びをアンドパッドで深化する

ーアンドパッドでは「組織戦略部」を立ち上げて、エンジニア組織の組織づくりを行うだけでなく、新規事業の開発にも携わるという多忙ぶりです。

ビジネスとテクノロジーのどちらにもコミットしようと思ったら、それなりに自分のリソースを削ってやるしかないですよね。中途半端にはできません。また、アンドパッドでは過去の経験を生かせる場面も多いと思っています。

例えば新規事業の開発では、ビズリーチやリクルートの経験を生かしています。これは多分、エンジニア領域のあるあるだと思うのですが、いくらリソースがあっても足りなくなるんですよね。なぜなら、リソースがあるといろいろなことがやりたくなって、結果としてリソースが分散するからです。

ボウリングではストライクを狙うとき、「センターピン」を倒すのがセオリー。それと同じで、最初に何を開発すれば効率的に次の開発につなげられるか、波及効果を生み出せるかを考えることが重要です。また「ロケットの射出角度」を間違えると目的地に辿り着くことはできません。それと同じで、開発にしろ、新規事業にしろ、ゴールを明確にして射出角度を間違えないことが大事だと学びました。

加えて、ソフトウェアはできるだけ早く、関係者やユーザーが目に見えるカタチにしたほうが、効果的なフィードバックを得やすくなります。特に新規事業は他社に先駆けてリリースすることが、その後のシェアを左右しますから、スピードが命です。

LiBで学んだ組織づくりのエッセンスも反映させています。例えば、コミュニケーション面で欠かせないのは「前提情報の認識合わせ」。同じ言葉でも、人によってイメージする意味が異なっていて、例えば「進捗中」は、これから手がけるところでも進捗中ですし、終わり間近でも進捗中です。言葉の意味するところを明確にしないと混乱が生じ、積み重なって軋轢が生じたりします。だから認識合わせを大事にしています。こうした経験を新規事業のマネジメントで生かし、深化させていきます。


ー組織戦略部というネーミングにも米山さんの狙いを感じます。しかも、メンバー構成は高い知見を持つシニアエンジニアが中心です。

エンジニアの採用をするにしても、どういうメディアに向けてどういう発信をすべきなのか戦略が必要ですし、採用後のオンボーディングや、将来に向けてのキャリア開発まで一気通貫で設計したいと考えています。エンジニアは自分がやりたいことをやっているときに、最もパフォーマンスを発揮するものです。そのパフォーマンスを組織の力に変えていく仕組みをつくりたいと考えています。

エンジニアとしての高い知見を持つメンバーが組織戦略部に所属しているのは、入社前の採用活動から入社後のキャリア形成まで、一人ひとりのエンジニアと向き合って、共通言語で対話し、理解し合いながら組織の仕組みをつくっていく必要があるからです。どんなチームでどんな技術を有するエンジニアを求めているか一番理解しているのは、やはり当事者であるエンジニアなのではないかと思います。

だから、「エンジニアが採用活動を自分たちの手で行う」というのは、「採用活動は人事が中心となって行う」というこれまでの常識と比べて、むしろ自然で効率的なようにさえ思います。もちろん、私たちエンジニアとタッグを組む優秀な人事メンバーがいてこそ、それが可能になるため、組織戦略部にはエンジニア以外に人事出身メンバーも所属しています。

将来的に組織戦略部のメンバーには、エンジニアや人事、リクルーターというロール名の枠を超え、社員のキャリア開発を牽引する新しいポジションを創造していってほしいと考えています。

アンドパッドの組織戦略部で描く、大きな野望

ー組織戦略部でこれからどんなことに力を入れていく予定ですか。

まず採用に力を入れます。様々なバックグラウンドを持つ人を採用して、多様性のある組織にしたいからです。これまで組織にいなかったタイプの人が加わると、一時的に混乱が生じますが、混乱を抜けた先に組織のパフォーマンスの向上が待っています。

これまで組織にいなかったタイプの人は、自分たちが持っていない知見や感性を持っています。だからカオスになるのですが、カオスや不安は情報不足と似ています。組織も人間と同じで新しい要素が入ることで、結果として知らないことが減って安定するものです。

そもそも、アンドパッドは建築・建設業界という裾野の広い業界で、ソリューションを提供しようとしている会社です。ミッションへの共感といった共通の価値観が求められる一方で、今までアンドパッドと接点のなかった人材も必要だと思っています。

ー組織づくりを通じてアンドパッドで実現したいことを教えてください。

私はアンドパッドを建築・建設業界のすべての仕事をソフトウェアで表現する会社にしたいと思っています。デスクワークの人たちがGoogle Workspaceさえあればなんでもできてしまうような感じで、「ANDPAD」があれば仕事が完結するという世界観です。建築・建設業界は関わる人が多いし、資材の流通も多く、さらに裾野が広い。この広大で複雑な現実世界の動きをどの様にソフトウェア化すればよいのか、まだ自分もその答えを持っていません。だからこそ、この難題に立ち向かうチームで、一緒に試行錯誤する仲間が必要だと感じています。


ープログラマーから出発してエンジニアとしても専門性が高い米山さんが組織を語っている…この現象も興味深いです。

プログラムもビジネスも、組織戦略も未知の領域だからこそ、深めたくなりました。未知との遭遇に心躍るのは昔から変わらないんです。いろいろなことを学んで成長したいというより「全部やりたい、知りたい」という衝動に突き動かされています。ゲームボーイを分解した子どものころから、あまり変わらないのかもしれないですね。

今は「顧客に価値を届けるための最適なチーム設計とは何だろうか?」と考えながら、アンドパッドの組織を観察している最中です。当然ですが、個人を見れば一人ひとり考え方や得意な能力も異なります。よさそうなチーム設計を適用したところで、結果の再現性はありません。一人として同じ人はいないから、同じチームをつくることも不可能です。

プログラム的にいえば組織に属する「個性」は副作用です。組織構造は関数で、アサインされるメンバーは引数であり、そして返り値は、顧客への提供価値です。「流動的なチーム設計において純粋な関数を取り出せるか?」という問いと日々向き合っています。だから、テーマこそ変わってきましたが、プログラムを書いていたころと根っこの部分は変わっていないですね。

マトリックス型組織、スクラム、DevOpsなど参考にできる設計はありますが、出発点に過ぎないと思っています。一人ひとりの動きを観察しながら、どうすれば一人ひとりが楽しく自分の強みを活かして仕事ができるのか。そのために用意しなければいけないチーム設計は何か。結局「組織」も分解して楽しんでいる自分がいる気がします。

ーまさに今も夢中ということですね。米山さん、ありがとうございました!

アンドパッドでは、 1つのアプリで課題を解決するのではなく複数のアプリを展開することで、建築・建設業界全体の生産性を改善するプラットフォーム化の実現を目指して開発を進めています。

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