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”仲間と共に、社会にインパクトを” - NPOの理事としてソーシャルビジネス経営に挑む

創立して6年となるAfriMedico。健康と笑顔を届けるべく、アフリカで置き薬事業を展開する認定NPO法人だ。ビジネススクールで生まれたアイデアは、その後、実際に海を越え、今も広がり続けている。2021年秋、新たに就任した理事に話を聞いた。

-坪井さんは、理事候補者としてAfriMedicoに参加され、理事に就任されています。どのようなきっかけでAfriMedicoの理事として加わることに関心を持ったのでしょうか?

COVID-19による歴史的転換期に直面し、連日連夜、医療機関や医療従事者に関する報道を目にする中で、自分もヘルスケア領域に何かしらの形で関与しなければという思いを抱いていました。折しも、「これからはNPOの理事を外部から採用する時代だ」という主旨のコメントが添えられたAfriMedicoの理事募集の情報をSNSで目にしたのですが、経営により近い立場で社会インパクトを生み出したい、と考えていた自分の中に響くものを感じました。

以前からMBAを取得したグロービスのつながりでAfriMedico代表の町井のことは認識していたのですが、町井と直接話をする中で感じたその強い志、また組織としてのミッションに強く共感したため、AfriMedicoに参画することを決意しました。

自身のキャリアの中で、アフリカと医療・ヘルスケアはいずれも経験が少なかったのですが、これまでの経験から活かせることはあると思い、またいずれも今後発展が見込まれる分野であることから、挑戦することに対して魅力を感じました。

-地域・領域ともに坪井さんにとって新しい分野とのことですが、これまでのキャリアや国際協力との関わりについて教えていただけますか?

自分にとって国際協力の原点は、学生時代に東南アジアの農村部を一人旅したことですね。本やインターネットでしか知り得なかった、電気や水などのインフラがままならない人たちに出会い、この人たちのために何かできればという気持ちが芽生えた原体験となりました。新卒で入社した企業はエネルギーインフラ会社で、アジアを中心とした途上国向けのインフラプロジェクトに関わりました。その後、より生活者にダイレクトに貢献できるような仕事をしたいという思いからキャリアチェンジし、現在は外資系コンサルティングファームで生活者の体験を起点とした企業変革支援や新規事業開発に携わっています。もともと「働きながら社会を変える」というマインドや営利企業だけに留まらないキャリアには関心があり、AfriMedicoに入る以前よりマイクロファイナンスを担うNPOに参画するなど、パラレルキャリアを実践していました。

電力インフラプロジェクトとメンバーと

ミャンマーでの現地メンバーとの会食風景

-AfriMedicoの理事として活動する醍醐味は何でしょうか?

素晴らしいメンバーと共にソーシャルビジネス経営の醍醐味を味わえることです。理事として様々なメンバーと関わり、多角的な視点を得られています。AfriMedicoでは理事を含め、メンバーが皆プロボノとして活動していますが、とにかく自律的という印象を持っています。メンバーの発言・行動が自発的で、意見やアイデアがあらゆる方向からどんどん出てくるんです。活動に取り組む中で、本業に活かせるヒントをもらうことも多くあります。パラレルワークであることにより、本業の自分とAfriMedicoの自分の相互作用がとてもポジティブに働いていると感じます。

理事として団体を代表して登壇の機会をいただくこともあり、先日は中高生を対象に講演しました。AfriMedicoの活動を一方的に紹介するだけでなく、将来を担う世代の考えを知る機会になり、生徒たちの反応が純粋に嬉しく、心に残っています。依頼をいただいた教員の方も大変熱心で感銘を受けました。このようにソーシャルビジネスという文脈だけでなく、普段の仕事で関わらない人たちとのつながりを持つ機会があることも醍醐味の一つです。

-AfriMedicoの強みや良さはどんなところにあると思いますか?

AfriMedicoに参加した当初から、発言しにくいと感じたことや、発信したことに対するネガティブな反応はなく、心理的安全性が担保されていると感じます。うまくいかなかったことや計画通りに進まなかったことに対しても、誰かを責めたりするのではなく、次はこうしようと前向きな姿勢があります。言葉にするのは難しいですが、「あたたかさ」が感じられる組織です。メンバー個々がそれぞれの想い、成し遂げたいことを持ちながらも、ミッションへの共感という深いところでつながっているので、組織としての軸がぶれないのだと思います。理事として、その文化やこれまでの活動の歴史を尊重しながら活動を支えていきたいと考えています。AfriMedicoの行動指針の一つとして、「仲間と共に」ということがありますが、私自身も組織として共に昇ることを重視しています。

コロナ禍においても、各地にいるメンバーと共に活動を進める(最前列左から2番目)

-「仲間と共に」という言葉がありましたが、理事として心掛けていることはありますか?

非常に自律的な組織ということもあり、理事だからといって特別な立場にある訳ではありませんが、団体としての意思決定をしていく役割があると考えています。先日も今後の団体方針に関わる重要な決定をする場面がありましたが、理事会で議論を何度も重ね、最終的に団体としての原点に立ち返って決断を下しました。そのプロセスも含めて私自身にとって大きな学びがあったと同時に、重責を担っていると改めて感じました。将来の構想を描き、組織のベクトルを合わせながら、どのようにミッションの到達へと導いていくか-リードすることに対するプレッシャーは常にありますが、組織の目的志向とチーム感が、深い学びと次の一歩に繋がっています。

また、現地との関係性構築も重視しています。AfriMedicoはタンザニアで置き薬事業を行っていますが、現地の取り組みに関しては、現地の責任者やメンバーの声を尊重して進めていくべきだと感じています。日本側で議論をすることもありますが、感度を持って物事を動かすということに関しては現地メンバーが最もよく理解していますので、彼らの意思を尊重しコーディネートすることが重要だと考えています。

-これからAfriMedicoで取り組みたいことを教えてください。

コレクティブなインパクトを創出し、社会をより良くしていくことにチャレンジしたいです。これからの世界では、一社単独で何かを行うのではなく、所属や組織の垣根を超えて手を取り合うことが当たり前になっていくと考えています。AfriMedicoではその実現に向けて「未来会議」というプロジェクトを立ち上げ、皆でアイデアを出し合いながら少しずつ実行に移しています。方法は他にもあると思いますし、「未来会議」はその中の一つですが、AfriMedicoのミッションに共鳴頂ける仲間と共に大きなムーブメントを創っていきたいですね。

未来会議のミーティングより(右下)

-AfriMedicoの活動への参加に興味がある方、理事に関心がある方へのメッセージをお願いします。

AfriMedicoは医療×アフリカという特色を持った団体ですが、それらに関する知識やスキルだけではなく、マインドセットが最も重要だと考えています。その意味で、活動の源泉はやはりミッションへの共感に尽きると感じます。予想外の出来事、思ってもみなかったことがたくさん起こりますが、その変化を楽しみながら推進力を持ってチャレンジしていける方がフィットすると思います。ミッションとご自身の生き方を重ね合わせながら、志を成し遂げようという強い想いを持った方をお待ちしています。


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