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【登壇レポート】Aerial Partners代表沼澤が語る「暗号通貨/仮想通貨を取り巻く日本の今・未来」

代表の沼澤が、CRYPTONOMICS TOKYO 2018において緊急セッション「暗号通貨/仮想通貨を取り巻く日本の今」に登壇しました。

モデレーターの藤本真衣(株式会社グラコネ代表取締役)さんの進行で、河合建(アンダーソン・毛利・友常法律事務所)さん、西村依希子(株式会社マネーパートナーズ)さんと、仮想通貨領域の規制の現状や法律・税務分野の課題についてお話しました。


以下、沼澤からの発言をまとめましたので紹介します。

-仮想通貨の最近の動向は?

沼澤:会計や税務分野においてブロックチェーンプロジェクトをサポートする中で、昨年まではかなりのペースで新規事業の芽が出てきていました。仮想通貨交換業免許制度が本格的に施行された2017年秋以降は、全体的に規制が強化されている流れがあり、日本発のプロジェクトが少なくなっているのが現状です。

一方で、法規制等のルールを前提条件として認識しつつ、その中でどうやって事業展開していくか、或いはブロックチェーン技術を応用していこうかという前向きな取り組みが行われるフェーズに変わってきているとも感じています。

-日本のブロックチェーンのエコシステムやプロジェクトはどう?

沼澤:日本の状況について悲観する声もありますが、僕自信は前向きに考えています。去年までは仮想通貨投資という軸で、仮想通貨取引所に関する興味・関心が高い状況でした。一方で取引所外で世界を相手にしていくぞというベンチャーをサポートしてきた立場からすると、日本の国産プロジェクトの「息吹」も感じています。ブロックチェーン関連のインキュベーション施設が立ち上がっきているのがいい例だと思います。

他の領域でいうと、日本は十分なマーケットサイズがあることや、規制や言語の障壁で守られていることから、海外動向を気にしなくてもスタートアップできていた部分があると思っています。しかし、ブロックチェーン領域では、海外動向を無視した事業活動は現実的ではなく、大きなチャレンジとなっています。こうした中で、初期から世界のマーケットを意識したプロジェクトがどんどん出てくるんではないかと考えています。

ー税制についてどう考えている?

沼澤:個人的興味としてはブロックチェーン技術の応用にあるのですが、去年一般に普及したという意味での「仮想通貨元年」と呼ばれている流れでいうと、ブロックチェーン技術のキラーアプリは「仮想通貨投資」であったことは間違いありません。その次のテーマとしては、一般の方が仮想通貨をどのように使っていこうかという点に移っていくと考えています。

河合さんともよく話すのですが、分かりやすい例として、ブロックチェーン業界で飲み会をする際に「税金計算が面倒だから仮想通貨払いはやめておきましょう(笑)」と、仮想通貨決済を避けてしまうんですね。こういった状況ではまずいと思っています。

こうした状況の改善のため、「暗号制度に関する租税制度研究会」では、JBA・JCBAを通じて仮想通貨の少額決済に関する税法上の特例措置を定めることを提言しています。まずは一般の方が使いやすくするために、また制度的にもチャレンジしやすい部分から変えていけたらいいと思います。日常決済の中で仮想通貨を使える世界が来たら嬉しなという個人的な思いもあります。


-今後どこに注目していく?

沼澤:まず個人としては、中間者を置かずに取引可能になるという、ブロックチェーンの原理そのものについて興味があります。例えば、弊社が事業活動を行う上で身近な「専門家」の働き方は、ともすると中央集権的な看板を背負って仕事することになってしまうという問題意識があります。国家資格は中央集権の権化でもあるのと思っているのですが、究極、ありとあらゆる取引がP2Pに流れていく世界では、各ノードたる専門家個々人の能力値や信頼性が担保されていれば、資格そのものはいらなくなってしまうとも思うんですね。

また、別の大きな視点でみると、どんなマーケットにおいても投機からスタートして投資に発展して、最終的に実需につながるというサイクルがあると思っています。あらためてブロックチェーン技術がどういった実需を生み出すかに注目しています。

既存の経済圏でワークしているサービスをブロックチェーン技術でさらに効率化する流れや、トークンエコノミーという新たな経済圏が生まれる流れが模索されています。僕個人は、その2つの流れの「交差点」がどこなのかを追求していきたい。

ブロックチェーン技術は「革命的」技術ですが、決して「破壊的」技術ではないと思っています。既存の大きなマーケットを打ち壊して新たな世界が幕あけるとは考えていません。既存のキャピタルマーケットとどう共存していくのかを追求していきたいと思います。

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